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異世界転生侯爵令嬢は王子に溺愛される  作者: ちる
2 婚約者の前世
21/39

1 エドワード王太子

お待たせいたしました。

二部開始です。

マックスの前世編。


あ、誤字報告ありがとうございます!

フィオナとマックスの婚約から二年が経ったが、フィオナは変わらずマキナム家の別邸にほぼ軟禁状態で過ごしている。唯一変わった事といえば、別邸の扉の前に騎士団員が二名護衛と配置されていることだ。マックスが実はコンラッドの兄であり、エドワード王子であることをフィオナに告げた時にフィオナを守る為に護衛をつけることが決められた。フィオナの外出は制限されてはいないが、必ず護衛が付くことになるのでほぼ外出していない。元々軟禁生活をしていたこともあって、フィオナにはそこまで抵抗はなかった。


マックスとフィオナの婚約によって、国王であり父であるジェフリーは一つの決断を下した。()()はマックスがフィオナを守る為にも必要とする()()でもあった。この二年の間、二人は野望を叶える為に奔走した。休む暇もなく国内外を駆け巡った。マックスはフィオナとの甘い時間を削り、頑張ったのだ。その努力が今日実ることになる。


「マックス、私は一緒に行けないから、せめて着る衣装は選ばせて」


「ありがとう。来月には婚約発表があるからやっとフィオナをエスコートできるよ」


「うん。楽しみにしてる。

はい、決まった!この青のベストに黒のジャケット、ネクタイはワインレッド」


「ありがとう」


マックスはフィオナの選んだ衣装を受け取り、王城へと戻っていった。


「はぁ。私も行きたかったなぁ」

フィオナは思わずため息をついた。


『どうして行っちゃいけないの?』


「まだ私を婚約者だって発表する時期じゃないし、危険だからダメなんだって。マックスがエドワード王太子になるってだけでも大事だから、順を追って発表していくみたいだよ」


『ふーん?』

いまいち分かっていないリアは首を傾げて何か考え込んでいた。


「どうしたの?」


『私が見てきて、それをフィオナに見せれば、フィオナも楽しめる?』


「そんなことできるの?」


『できるよー』


「じゃぁお願いしようかな」


『お願いされたー!行ってくるねー』

リアは勢いよく飛び出して行った。


(見るくらいなら問題ないよねー。マックスのエドワード王太子姿見たいもん。本当はこっそり行きたかんだけど、護衛がいて迂闊に外出できないし)


エドワード王太子の正式なお披露目は夕方から始まった。招待客は近隣国の王子や王女、自国や他国の貴族やその子息、令嬢など総勢五百人にも及んだ。エドワードの婚約者はまだ発表されていない為、妙齢の令嬢たちは目をギラギラと光らせていた。


「今宵は我が息子、エドワードが王太子となる記念すべき日である。

黒髪を持つ王太子はいままでにいなかった。エドワードを王太子にすることで姿形や人種に囚わることなく、よりよい国にして行こうと思う。

これから刃向かうも出てくると思うが、私の臣下はそのようなことをする愚か者でないことを望む。

では、今日は楽しんでくれ」

ジェフリーの鋭い視線が会場を走った。

沈黙が流れたがそれも一瞬で、すぐに歓声に変わった。





エドワードは要人たちの挨拶周りを終え一息ついた頃、ダンスタイムとなった。令嬢たちはこぞってエドワードにダンスの相手を求めた。そこに一人の黒髪の美女がやってきて、エドワードと少し会話した後、ダンスフロアへと連れ立って行った。


顔立ちが整い凛々しい青年と艶やかな肌で見目麗しい女性はとても釣り合いが取れていた。息の合ったダンスは完璧で、二人は終始微笑み合っていた。


「もういいわ」

フィオナはそれ以上映像を見るのを辞めた。


リアが撮ってきた映像は前世のビデオカメラ並の性能だったが、少し遠い位置からだった為かエドワードと美女の会話の内容は分からなかった。たが、フィオナを不安にさせるには十分であった。


(あぁ。二人とも黒髪でとってもお似合いだったなぁ。エドワード殿下も楽しそうだったし)


この二年、フィオナとマックスはあまり二人きりの時間を過ごせていなかった。その為、軽い抱擁や口付けさえしていなかった。フィオナはマックスに不満などなかったが、エドワード王太子になることで自分より素晴らしい女性が現れ、フィオナが捨てられるのをとても恐れていた。


フィオナは前世で何度も恋人に浮気をされていた。その度に泣き崩れ、罵倒し、(なだ)められ、許す、を繰り返し、最後には捨てられるのだった。

創世の女神リリアナの記憶が蘇ったことによって、ぼんやりとしていた前世の日本人、吉田一花(よしだいちか)の記憶も鮮明に蘇ってしまっていた。


(もし他に好きな人ができたって言われたら、受け入れよう)


フィオナは溢れ出す涙を止めることが出来ず、気が済むまで泣き、疲れて眠りに落ちた。

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