20 婚約
一章の最終回です。
暫くするとフィオナはマックスの腕の中から解放された。
マックスは跪き、フィオナの手に口付けを落とした。
「フィオナ、俺と結婚してくれ。君を俺が幸せにしたい。」
「はい。」
大粒の涙がフィオナの頬をつたった。
マックスはまたフィオナを抱きしめた。
翌日、二人は教会を訪れていた。立ち合い人としてアレキサンドロスとマックスの父のジョン・ファレル伯爵が同席し、婚約の調印をしに来たのだ。
マックスはプロポーズする前からアレキサンドロスとジョンの予定をおさえていた。本当なら夜会の日にプロポーズするはずだったらしい。
婚約の調印書にお互いの名前を記入し、血を垂らし、キスをして正式に婚約が成立する。
調印書に名前を書く時、マックスはフィオナに先に描くように促した。血を垂らす時も何故か自分の名前を隠すようなマックスの態度にフィオナは疑問を持った。
調印書には魔法が付与されており、他人の名前やすでに婚約が成立している者の名前を記入すると、血を垂らした瞬間に調印書が燃えてなくなる。
マックスとフィオナの血を調印書に垂らすと綺麗な金色の光が現れた。
「これで二人の婚約は神にも認められました。では、誓いのキスを。」
司祭が宣言した。
マックスがフィオナの肩をそっと引き寄せ、軽く触れるだけのキスをした。
フィオナはマックスと一緒に別邸に戻り、紅茶を飲んでいた。
「フィオナは王子妃には興味がないのか?」
「私はコンラッド殿下のこと好きじゃないけど?」
少し怒った口調でフィオナは答えた。
「俺がもし王子だったらどうする?」
マックスはニヤニヤと笑いながら聞いた。
「そうね、マックスは私だけの王子様だものね。」
ニッコリ微笑んで答えた。
「そうじゃないんだけどなぁ。」
マックスは小さな声で呟いた。
「ん?何?」
「フィオナ、キスしていいかい?」
「う、うん。」
真っ赤になりながら首を縦に振った。
マックスはフィオナを抱き寄せ、そっと触れるような口付けを繰り返した。次第に口付けは深くなり、フィオナの口内に舌が入り込んできた。唇は軽く食まれ、フィオナは立っていられなくなり、マックスにしがみついた。
マックスはフィオナを抱き上げ、ベッドに座らせた。潤んだ瞳でマックスを見ると、ギラギラと欲望を滾らせた瞳がそこにあった。マックスはフィオナの横に座り抱きしめた。
「愛してるよ。」
耳元で囁かれ、フィオナは失神してしまった。
ーコンラッドのその後ー
「いつの間に兄上とフィオナが婚約しているんだ!?マキナム侯爵との契約はどうなるんだ?」
「コンラッド、もう諦めたらどうだ?」
「父上、兄上にフィオナは私のものだと言ってくれなかったんですか?」
「エドはもうジョンの息子だ。私が口を挟むことではない。」
「父上ーー!」
「それより、闇の妖精を使ってフィオナを手に入れようと画策していたようだな、コンラッド。」
『コンラッド、すまんなー。』
黒い妖精が姿を現した。
「裏切ったなぁー。」
当初の予定とは違う展開になってしまい、所々穴がありますが、これで一区切りとします。
第二章は学院編です。




