19 恋心
フィオナが会場に戻ると、キースとフェザー王国のローラ王女が微笑んで見つめ合っていた。
(キースお兄様のお相手って王女様だったのね。お父様、どんな手を使ったんだろ?)
ローラ王女は真っ赤でウェーブのかかった髪をハーフアップにし、グリーンのマーメイドドレスを豊満なボディーに身に纏っていた。
(16歳って聞いたけど色気が凄いなぁ。)
婚約発表が終わると、また曲が流れ始めた。コンラッドはローラ王女の妹のメリンダ王女と踊っていた。
フィオナはマックスが令嬢たちに囲まれて、見たことのない他所行きの笑顔で対応しているのが目に入った。色々な感情が溢れ出てきて、会場にはいられなくなり、フィオナは自室に戻ることにした。
自室に戻り、寝る準備をしてからもマックスが令嬢たちに囲まれて楽しそうにしている姿がチラついた。それと同時に庭園で言われた言葉も頭の中でグルグルと駆け巡った。
(もう嫌。早く別邸に帰りたい。もう誰にも邪魔されずに過ごしたい。ここには味方がいないわ。)
フィオナは声を抑えることも忘れて泣き叫んだ。
メアリーがすぐに部屋に駆けつけ、ある提案をしてくれた。
フィオナは別邸の自室でお茶を飲んでいた。アレンが新作のティラミスを持ってきてくれ、それを食べながらのんびりと過ごしていた。
(やっぱり家はいい。アレンのお菓子も最高だし。家にいればマックスも来ないし。)
ー同じ時間の王宮内のフィオナの部屋ー
「リア様はお話しされずに微笑むだけで大丈夫ですからね。全て私の方で対応致します。」
『はーい。』
フィオナそっくりの少女が返事をした。
「体調が悪いと伝えてありますので、国王陛下や殿下へのご挨拶は旦那様がいたしました。荷物は後で運びますので、マックス様がいらっしゃる前に馬車に乗りましょう。」
『りょーかい。』
二人は馬車へと向かった。
「マックス様!?」
馬車の前にマックスが立っていた。
「フィオナはどこだ?」
「フィオナ様はこちらに。」
メアリーは後ろにいる少女を見せた。
「それはリアだろ。フィオナと話がしたい。」
「フィオナ様は邸に戻られました。体調が悪く伏せっておりますので、お話はできかねます。」
メアリーはリアを急いで馬車に乗せて自分も乗り込んだ。
「俺も一緒に行く。」
メアリーは何度も拒んだが、結局マックスも乗せて馬車は走り出した。
「メアリーとリアはそろそろ着く頃かしら?」
フィオナは窓の外をみてソワソワしていた。
(上手くいったかな?マックスに捕まってないと良いけど。)
馬車が着いたのを確認し、急いで行ってみると、そこにはマックスがいた。
「何でマックスがいるの?」
「体調が悪くて伏せっているんじゃなかったのか?ピンピンしているぞ?」
メアリーはマックスを無視して荷物を持って別邸に入って行った。
「フィオナ、話がしたい。」
返事をしないフィオナの腕を掴み、侍女にフィオナの部屋の場所を聞き、部屋に入った。
「フィオナ、昨日は言い過ぎた。すまなかった。」
マックスは頭を下げた。
フィオナは何を話していいのか分からずただ首を横に振るだけだった。
それを見たマックスはちょっと困った顔をした。
「まだ怒っているのか?」
「怒ってない。」
「あー、フィオナはコンラッド殿下が……好きなのか?」
「好きじゃない。
またその話なの?」
「いや、あの。フィオナの気持ちをちゃんと聞いていなかったと思ってな。」
ポリポリと頭をかいた。
「ふーん。話はこれで終わり?」
フィオナは昨日のようにまた色々な感情が溢れ出てきそうで早くマックスから離れたかった。
「まだ怒っているんだな。ごめん。」
フィオナは優しく抱きしめられた。
心臓が破裂しそうな程バクバクし、顔が真っ赤になった。マックスの胸を叩いて離れようとしてもダメだった。
鍵をかけたリリアナの記憶が蘇ってしまった。ニックに抱きしめられた時と同じ感触に胸が震えた。欲望に負けて、マックスの背中に手を回してしがみついてしまった。
マックスの体が一瞬固まったがすぐに持ち直して、フィオナを力強く抱きしめた。




