14 切り札 side アレキサンドロス
期限を付け忘れたので追記しました。
メアリーがフィオナからの伝言を持って来た。
(自分でフィオナを殺しかけておいて、責任を取って結婚するだと!?なんなんだ、あのバカ王子は。いよいよマーフィス帝国も終わりだな。)
「メアリー、知らせてくれて感謝する。例の件も目処がついた。」
「とんでもないことでございます。
例の件はキース様はご存知なのですか?」
「あぁ。来週、先方がこちらに来て正式な調印をすることになっている。」
「そうですか。正式に調印が終わればこちらにも王族に立ち向かう後ろ盾ができますね。」
「そうだな。とりあえず、婚約の件について陛下と話し合ってくる。」
アレキサンドロスは王城へ向かった。謁見の間ではなく執務室へ行き、ジェフリーとコンラッドを捕まえた。
「単刀直入に言う。フィオナとコンラッド殿下の婚約は無かったことにしてもらいたい。」
「マキナム侯爵殿、国王陛下に対して不敬にございます。王命に逆らうおつもりですか?」
王宮執事長のセバスチャンがすかさず苦言を唱えた。
「逆らったらどうする?爵位を剥奪するか?宰相の地位を取り上げるか?
平民の娘では王子の婚約者にはなれんがな。こちらとしては好都合だ。」
「アレキ、言葉がすぎるぞ。貴族のお前が平民になっても暮らせんだろ。現実的でない脅しはしない方が身のためだ。」
「平民になってもこの国にしがみついて生きていくとでも思っているのか?はっ。笑わせるな。」
「どういうことだ?」
「先日、キースとローラ王女の縁談が決まってな。モーガン国王陛下から爵位と領地を頂いた。フェザー王国は多種族の住む国だ。ちょっと目の色が違うフィオナでも受け入れてくれるだろう。」
「なっフェザー王国だと!?ローラ王女といえば変わり者の第一王女のことか?自分より強い男でないと夫とは認めないという話であったが…。」
「フェザー王国の上流貴族たちは怪我がつきまとう騎士になるものはいないからか、なかなか婚約者が見つからなかったそうだ。だが、うちのキースは腕がたつからな。キースの剣技に王女が惚れたのだそうだ。」
アレキサンドロスはニヤッと意地の悪い笑みを浮かべた。
「さて、本題に戻るが、フィオナとコンラッド殿下の婚約を無かったことにしてもらえるのかな?」
「フィオナの気持ちはどうお考えですか?」
ずっと黙って聞いていたコンラッドが口を開いた。
「フィオナは殿下との婚約は望んでいない。」
「今はそうかもしれません。でも少し成長して、あの時婚約していればと後悔させることになるかもしれませんよ?その時はどうなさるのですか?」
「うっ。そ、それは…。」
(痛いところを突いてきたな。)
「では、こうしませんか?私とフィオナがお互い思い合うようになったら婚約するというのは?もちろん期限付きで。」
「うーん。」
「契約魔法を使ってもかまいませんよ?」
契約魔法は、契約が守られなかった場合命を奪われる魔法であり、従属契約や犯罪者奴隷の契約で使用される契約であり、一般的な契約では使われない魔法である。
「分かった。それで良い。」
「ま、待て。コンラッド、契約魔法はちとやりすぎではないか?」
「父上、大丈夫です。フィオナが私を好きになってくれれば良いのですから。」
その後、具体的な契約内容を決めるまで一晩中話し合いが行われた。
「この内容で良いのだな?契約をしたらもう変更が効かんのだぞ?」
ジェフリーは契約書をヒラヒラを二人の目の前で振っていた。
「フィオナ・マキナムとコンラッド・マーフィスとの間で口付けの契約がなされた場合、フィオナ・マキナムとコンラッド・マーフィスの婚約及び結婚を認める。期限は14歳までとする。
これで良いのだな?」
口付けの契約とは男性が女性の唇に口付けをし、女性も応えるようにその男性の唇に口付けをすることである。お互い好意を口に出さなくても相手に伝わる方法であり、婚約式や結婚式でよく行われる儀式である。
「あぁ。」
「はい。」
二人は短刀で指を切り、契約書に血を垂らした。
契約書は二人の血を吸い込み、一瞬光を放つことで契約が成立したことを知らせた。




