1 フィオナ・マキナム
初めまして。
小説書くのは初めてなので、誤字脱字等ありましたらご指摘ください。
少し修正しました。
マーフィス国の侯爵令嬢であるフィオナ・マキナムは産まれた時から膨大な魔力を持ち、創世の女神と同じ、右目がブルー、左目グリーンの瞳の色を持っていた。そのため、娘の身の危険を案じた父のアレキサンドロス・マキナムによって別邸に軟禁されていた。
「フィオナ様、そろそろ昼食にしませんか?」
「そうね。そろそろお父様もいらっしゃる頃だし、一緒にお食事できるかしら?」
「かしこまりました。すぐに準備いたします」
侍女のメアリーが部屋を出て行き、ソファで本を読んでいたフィオナはふーっと息をついた。
この軟禁生活も今日で10年になる。今日はフィオナの10歳の誕生日であり、普通の令嬢であれば婚約者を探すためにお茶会や夜会に参加できるようになる喜ばしい日である。
(んー前世であまり良い恋愛出来なかったから、この容姿なら素敵な方に出会えるかもって思ったけど、恋愛結婚は諦めた方が良さそうね。お茶会も夜会もきっと参加できないし。
まぁ前世が前世だからあまり人と関わらずに生きたいから結婚せずに修道院でもいいんだけどねー。一番はこのままの生活が続くことだけど)
フィオナには前世の記憶があり、前世では今世とは違う世界で中学校の教師をしていた。仕事自体はやりがいもあり楽しかったのだが、思春期真っ盛りの生徒と自分の子供に甘すぎるモンスターペアレントによって精神が削られ、心労によって命が尽きてしまった。
そのせいか、人との交流が面倒くさく感じ、今の軟禁状態に結構満足している。
フィオナはオッドアイを除いてもとても目立つ容姿で、くりっとした大きな目、長い睫毛はクルリとカールし、艶のあるうねりひとつないまっすぐなブラウンの髪に雪のように真っ白な肌、年齢にしてはしっかりとでた胸、と社交界にでられれば婚約の話がひっきりなしに来るのは間違いなしである。
「フィオナ様、旦那様がご到着されました」
メアリーがフィオナに声をかけた。
フィオナは立ち上がり、エントランスへ向かった。
フィオナと同じブラウンの髪に整った容姿、細身でありながら筋肉もしっかりとあり、背が高い父であるアレキサンドロスはすっと腕を伸ばし、愛娘を抱き上げた。
「フィオナ、お誕生日おめでとう」
フィオナの頬に唇を当てた。
「ありがとうございます。お父様」
フィオナは照れながらアレキサンドロスに抱きついた。
その後、食堂で豪華な昼食を終え、庭園でお茶をしながら二人でまったりとした時間を過ごしていた時、慌てた様子で執事のカーティスが一枚の手紙を持ってやってきた。
「旦那様、国王陛下から書状が届きました」
アレキサンドロスはその言葉を聞くなり、ガバッと立ち上がり、カーティスが持っていた手紙を受け取った。
手紙は通常の手紙とは異なり、金色の薔薇と百合があしらわれていた。この手紙は国王のみが使用できる手紙であり、特殊な魔法がかけられている為、受取人本人でないと開封することが出来ないようになっていた。この種類の書状は最重要事項を知らせる案内である。
アレキサンドロスが手紙に触れると音も立てずに手紙が自動的に開封された。フィオナは思わず驚きの声をあげてしまったが、父は娘の可愛らしい言動に見向きもせずに一心不乱に手紙の中身を読んでいた。すると次第に顔が険しくなり、読み終わる頃には顔が真っ青になっていた。
フィオナはどんなことが書かれているのか不安になり、尋ねようかと思ったが、父が宰相であるため仕事の内容の可能性もあり、口をつぐんで心配そうに見つめていた。
(まさか、また仕事で国外に行くのかな?あの時のお父様、大変だったのよねー。一週間もなだめてやぁーっと納得して出かけて行ったっけ)
以前に隣国であるフェザー王国との交易をはかるためアレキサンドロスは一年留守にしていたことがある。その時もフェザー王国に行くことが決まってから行くまでの間、アレキサンドロスは真っ青な顔をして、死刑宣告を受けた囚人のような状態だった。フィオナを連れて行けないのなら行かないと国王に伝え、一週間も別邸で引きこもった程だ。
フィオナはその時のことを思い出して、また同じことになるのではないかと不安に駆られていた。
暫く立ち尽くしていたアレキサンドロスは深いため息をつき、ゆっくりとフィオナの方を向き、驚くべき事を告げた。