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閑話 ミーア視点



 うぅむ…昨日武具とお金の為にシーサーペント討伐の依頼を受けたはいいものの、全く敵わなかったわね……逃げれたのは準備あってのものだけど、逃走用のアイテムも結構使っちゃってまた挑むには心許こころもとない。


 はぁ…私結構強い自信あったんだけどね〜。仕方ないわ。傭兵でも雇おうかしら?


 思案しながら大通りを歩く。そんな時、高い声が聞こえてきた。


「そこの人、俺の言葉分かる?」


 はたから聴くと、ニャーって聞こえる此処ではあまり聞き慣れない言語。ネコ語だろう。聞いた事はあるが、随分と珍しいものを使ってるものだ。そう思い、チラリと見てみる。


 話しかけてきた者の姿は、真っ黒な髪に金色な目を持った中性的な見た目の猫獣人で、白い毛と金色の目を持った猫がその隣にいる。


 隣の猫からは魔力を感じられた。恐らく魔力があるって事は普通の猫ではなく魔物だろう。でも基本猫の魔物は変異種でもない限り、大人しい為此処ここではたまに見るしそう珍しくはない。


「あら、猫語何て珍しい言葉を使ってるのね。勿論、私は猫系統に分類されるから分かるわよ」


 その言葉を受け、猫獣人は嬉しそうにはにかむ。中々表情豊かなようだ。


 それで、その者から聞いた話を要約すると、困りごと解決するから代わりに言葉教えて、というものだった。


 言葉が分からないなんて、孤児か放浪者か?などと思ったが、それは関係ないので期待せずに話してみると…馬鹿げたことに出来る、というのだ。


 こいつは分かっていない。シーサーペントはBランクに分類される強力な魔物、こんなまだ成長してないような子供に勝てるわけがない。だからこそ、その無知さ加減に苛立ってしまう。


「あんた、その冗談は受けないわよ?それにもし本当にそれだけの力があるんだったら、証明してみせなさいよ」


 我ながら何と大人気ないことか。しかしこれは自分の性格、直そうと思った事は一度もないし、それで困った事もまた少ない。


 ーーー何せ、自分にはそれに見合っただけの実力があるのだから。


 そう考えてたら、何か恐ろしく強烈な威圧感が、その者から放たれる。そして分かった。こいつは無知でも何でもない。ただ純粋に、ひたすらに、シーサーペントなど恐れる必要もないほどに、強いのだ。


 あぁ、私は馬鹿だ。こんなヤバい奴に挑発じみた事をして…… 。


 絶望的な実力差を本能で感じ、恐怖する。体が動かない。腰が抜け、地面にへたり込んでしまう。


「おいおい、何だ何だ?」

「あれ、あの容姿……冒険者のミーアじゃねぇか?」

「これ、どういう状況?」


 気づけば、周りは異変の匂いを嗅ぎとった者たちに囲まれている。不愉快だが、情けない事にさっきの恐怖で動くことができない。


 内心困っていると、あいつがこっちに近づいてくる。


「!?」


 するとどうだ?不思議なことに、何故だかとても居心地がいい。心が落ち着き、安らいでいくのを感じる。


 正気に戻り、ハッとする。


「私とした事が……」


 動けるのを確認すると、慌てて奴の手を引いてその場から立ち去る。これで、周りの目からは逃れられた。


 そして今私の中に渦巻いているのは、こいつならばシーサーペントを倒せるだろう。という確信だった。


 利用できれば経費が浮くし、こいつの強さ的に考えると殆ど道中を安全に行ける筈だ。


 魔物は強者から逃げる。だから当然、残るのはシンサーペントのような負けを知らない強者だけとなる。


ふへへ


 心の中に黒い感情が芽生える。言語なんて自宅の本を見せて教えてやれば時間はかかるだろうけど覚えるだろうし、何より格上であるシーサーペントを倒せるとなれば金が潤う。


 ーーーこれは絶好の機会、逃すわけにはいかない。


 そんな考えの元、ネコメと名乗った自分と同じ猫獣人を、シーサーペントのいる場所に案内する事となった。


「準備は良い?」


 案の定、全く魔物に出くわさず目的地に着くと、魔物寄せの液体を湖に放る。


「グギャァァァァァァ!!」


 すると、即座にシーサーペントが頭から飛び出し、私を狙って突進してきた。


「ちょっ、危ないわよ!」


 突然の攻撃は二度目、だから前とは違い剣で対応することが出来、受け流しに成功する。


 く、やっぱ重いわね……攻撃も効いてる様子はない。流石は竜の端くれと言った所かしら。


 そんなこんなで攻防をした後、バックステップで一旦奴から離れ、シーサーペントの出方を注意深く見ていると、ネコメが前に出てくる。


 手ぶらなのに何故前に?と思ったが、答えは直ぐに出てきた。


ギン!


 ネコメが手を振るうと、シーサーペントの首があっさりと落ちる。その非現実的な光景に、私は全く持って理解が及ばない。いや、分かりはするが……信じられないのだ。その馬鹿げた光景が。


 それ故に、ピシリと固まる。


 何なのよあれ!一瞬!?しかも何か斬撃出てなかった!?


 色々とツッコミが止まらない。が、ネコメが隣に来るとまたあの時のように心が落ち着いた。これはあれだろうか、猫型の魔物が極稀ごくまれに持つという癒しの波動っていうスキルだろうか。


 などと、今まで2回しか発見されたことのない激レアスキルの事を私は考える。そもそも、冷静になれば人型の時点でそれはないと即断出来るのだが、落ち着いたように見えて、頭はまだ混乱しているらしい。


「分配はどうするかしら?」


 だから、もう考えるのをやめた。頭を脳死にして会話をする。


「分配?貰えるの?」


 それを聞き後悔する。言わなかったらバレずにガッポリ金が入ったかもしれないのに、と。だってこの分だと半分以上はネコメに入るだろう。


 私殆ほとんど何もやってないし……すごく勿体無いことをした。と悔やんでいると、素材の3分の1を換金してくれないかとネコメは言ってくる。


 物の価値が分からないのだろうか。だが、これは良い。当然私は話に乗る。


 そして換金当日。金貨120枚という大金に、狂喜乱舞しそうになるのを必死に抑え、酒場で酒をがぶ飲みした。


 だが、あまり酒には強くない為、直ぐにぶっ倒れ床を舐める事になる。


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