第05話 神様に神対応
「えーっ!『主犯』は、ひどいよ! 大神さまたちだって、日本酒とかウイスキーとかいうのを並べて、『利き酒じゃの…』とか言って喜んでたくせに!」
「くっ!な、なんてことを! わ、わしらは少し嗜んでおっただけで、ぬしらほどの被害をもたらしてはおらんのじゃ!」
「ナニいってんの! そっちほうが、よっぽど高級そうだったよ。『ひがいそうがく』は、そっちが上じゃん!」
「な、なにをっ!彼はまだ少年じゃから、実質的な被害が甚大なのはおぬしらのほうじゃ! ふっ…、なにしろ『お酒は、二十歳になってから』じゃしのう」
ちび女神と大神さまが、聞くに堪えない言争いをしていた。
…しかたがない。
「皆さんによろこんでもらえたようですね。それはよかった。ああ、それで、オレに『お礼』をくれるって話になったんですね」
さりげなく『神対応』することにした。
「そ、そうなんだよー!」
「ああ、そうじゃった!」
ふたりとも気まずそうにオレから目をそらした。
たぶん、どちらも、根はいいひとなのだろう…
ようするに、オレが気を失っている間、オレの『庭付き一戸建て住宅』に収められていた物資をふんだんに消費して、『神々の饗宴』に興じていたらしい。
「そ、それでね…。たくさんもらっちゃから、せめて『お礼』をしようって話になって、異世界に渡ったときに役に立つ『魔法』をプレゼントすることにしたんだよ!」
ようやく、話が、ふりだしに戻ったようだった。
「ふつうの人はね。火とか水とかの魔法をいくつか授けたら、もういっぱいになっちゃうんだけどね」
「…そうなんだ」
「なんと!お兄さんは、『全属性』もちだったの!」
「…オレが?」
「初級あたりから授けていったんだけど。みんなで、めちゃめちゃ突っ込んだのに、いくらでも入っていくんだよ!」
「…………」
「お兄さんは『全属性』もちの上に、『存在の器』がとてつもなく大きいから、もうーっ!ありったけ入っちゃったよ! きょうがくの事実ってやつだね!」
「…………」
外見、小学五年生くらいの金髪レオタ美少女が、うれしそうにコワイ話をしていた。
オレは聞いているだけで、自分がどんどん壊れていったのが、手に取るようにわかった。