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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
プーディン王国(カルシウム大陸)編
199/631

第199話 魔力が足りるはずが…



 金属球のひとつは、クマさんをも襲った。



 クマさんは、いつもの特製バットを出した。


 がっ!


 特製バットとはいっても、特製バスケットボール用である。まともに打ち返そうとしては、かんたんにへし折られる。


 クマさんは、金属球がミートした瞬間、バットをわずか引いた。それから、ぎゅるぎゅると食い込んでいる金属球を、バットに載せるようにして、力まかせに振り抜いた。


 「うおおおおおおおおーーーーーーーーーーーっ!……クマ」


 金属球が、高速で打ち出される。


 クマさんは、そのまま、ひしゃげたバットを放りなげると、巨大タコに向かって、四足で、走りだした。

 ウサギさんの俊足が、瞬間移動に匹敵するとすれば、クマさんの四足走行は、音速に達する。

 

 ずっどーーーーーーーーーーーーーーん!


 ソニックブームの衝撃をまき散らしながら、あっという間に、巨大タコに肉薄するなり、体当たりをした。


 ごぉーーーーーーーーーーーん!

 どっすーーーーーーーーーーん!


 打ち返した金属球と、クマさんの体当たりが、ほぼ同時に炸裂した。

 しかし、どちらも、巨大タコのボディをわずかに、へこませるだけだった。


 「ちっ……クマ」

 クマさんも、おもわず舌打ちをした。



 油断だった。



 すかさず、巨大な脚が、一本、二本と、振り下ろされた。


 「「「「「「「「「あぶないっ!」」」」」」」」」」

 みんなが叫んだ。


 クマさんのいた場所に、電車サイズの脚が、時間差で、叩き込まれる。


 ずっしゃーーーーーーーーーーーーん!

 ぐわっしゃーーーーーーーーーーーん!

 

 脚は、部屋の床に、深々とめり込んで、その破片を、煙のようにまきあげていた。


 

「「「「「「「「「クマさーーんっ!」」」」」」」」」

 クマさんからの返事はない。



 ……………  



 …………… 



 「ちょっと、ちびった……クマ」


 クマさんは、カエルさんのリュックから出てきた。

 とっさに、自分のリュックを使って転移したのだ。


 「リュック作っといて、よかった……クマ」

 彼は、このリュックの開発者のひとりだった。

 


 

 

 

 






 エレベーターが、この部屋のゆかにまで降りると、タコの巨大さが、あらためて、実感された。



 これが、暴れだしたなら、この部屋など、ひとたまりもないに違いない。

 ダンジョンのボス部屋などとはちがって、あきらかに、この巨大メカタコがみつくには、狭すぎるのだ。それに、壁も頑丈がんじょうそうには見えない。

 ジュンには、メカタコと、部屋のサイズが、ちぐはぐにみえて仕方がなかった。


 

 壁沿いに歩いて、巨大メカタコに近づいていると、愛娘を肩車していたベニートが、ジュンに話しかけてきた。


 「オレは、閉じ込められている間、ときどきコイツを眺めていたんだが…」

 そういって、親子で、タコを見上げている。


 「あんたの魔力の波動で、かすかに、目覚めかけていた…」

 ぼそりと、そんなことを言った。


 「ほんとうかね!ベニートくん」

 学院長が、色めき立った。

 

 「…ええ、先生」

 ベニートが丁寧に答えた。いちおう、師匠なのだ。

 


 「ホントなの!パパぁ!」

 アリアンナちゃんまで、うれしそうに聞き返した。

 でかすぎることをのぞけば、ラブリーには違いない。


 「もっちろん、ほんとでちゅよぉー」

 いきなり、モードチェンジした。



 ……………


  

 会話が続かなくなった。



 ……………



 こ、こほん……


 プーディング王が、咳払せきばらいをして、仕切り直した。


 「それでは、彼が、魔力を注ぎ込めば、この怪物は、目覚めるということかね」


 「それは、そうですが……」

 ベニートは言葉をにごした。

 

 「あれだけの大きさです。動き出すまでとなると……」

 「いくらこの少年でも、魔力量が足りるはずが……」


 …とそこまで、話したときに、みんなが、ジュンを見ているのに気がついた。


 

 「「「「「「「「ジュンくーん!」」」」」」」

 「「「「「「「「おねがーい!」」」」」」」

 

 「…………」

 カミーユも、無言で、目をきらきらさせている。

 


 いくらなんでも、お城サイズなのだ。

 無理に決まっているではないか。

 ベニートは、苦笑しながら、お嫁さんたちに言った。


 「……くっ、くっ、くっ、まさか、お前たち」

 「…魔力量が足りるとでも、思っているのでちゅか」



 ……………



 モードが混在した。



 ……………


 

 ふたたび、会話が途切とぎれた。


 


 ……………




 そのときだった。




 シャルが、タコを指差して、言った。


 「あのタコちゃん、ちょっと目が開いてる気がするのじゃ」

 




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