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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
プーディン王国(カルシウム大陸)編
198/631

第198話 やったのか…ケロ

こんどは、わりと楽に書けたので、早めに投稿しました。

これから、続きを考えます(笑)



 それは、巨大なタコだった。


 地下遺跡に、タコとは、あまりの組み合わせだが、そもそも、これは、『怪物』というよりも、『メカ』であった。

 『メカドラゴン』とおなじ、『メカタコ』だ。


 ただ、プーディング王が言っていたように、たしかに、『城』にも匹敵する大きさだった。

 ジュンの感覚では、ドーム球場がいちばんイメージとして近かった。ただ。ドーム球場だと平べったい感じになってしまう。なので、あれを、きゅっと丸くすぼめて、盛り上げた感じかなと思った。



 「まず、ぼくから、行く……ケロ」


 そういって、カエルさんが、跳躍ちょうやくした。

 数十メートルは、飛びあがったかと思うと、背中のリュックから、大きな金属球が6つほど射出された。

 いつものように、舌でそれをつかみ取ったカエルさんは、そのまま自分も一回転した。体の回転で遠心力をつけた舌が、しなやかなムチのように、ひゅんっと振るわれる。



 ずっどーーーーーーーーーーーーーーん!



 すさまじい速度で、金属球が、巨大タコに撃ちつけられた。



 「ちぇ!……ケロ」


 思わず、カエルさんは舌打ちした。

 攻撃ではなく、ふつうに、不満を表す方の舌打ちである。


 見ると、


 巨大タコは、数本の脚を組み合わせて、金属球をブロックしている。

 

 しかも、


 その脚のまわりの空間が、ぐにゃりとゆがんでいた。



 「みんな!けて!……ケロ」

 あっというまに、ね返された金属球をかわしながら、カエルさんが叫んだ。


 タコが、脚でシールドを張ったうえに、金属球をはじき返したのだ。


 そのうちのひとつが、ジュンのお嫁さんたちのところに飛んでいった。

 みるみるうちに、金属球は、彼女たちとの距離を縮めた。


 「空間魔法、結界!」


 カミーユの声が響く。

 

 ぐおおーーーーーーーーん!


 間一髪かんいっぱつ、結界が、金属球を受け止めた。


 しかし、それは、結界を大きくゆがませて、食い込んできた。

 いっしゅん、破られるかと思った時、カミーユのハートのロッドが、強く光を発した。ジュンからの魔力の供給が一気に加速したのだ。


 カミーユは、すぐ目の前で、ギュルギュルと回転している、金属球をにらみつけると、


 「反射!」

 

 それを、結界空間のゆがみを使って、押し出した。

 ハートのロッドが、さらに、激しい光を放つ。


 

 ずっどーーーーーーーーーーーーーーーん!


 金属球を弾き返した直後だったせいか、メカタコは、まともに、それを喰らった。


 

 「やったのか……ケロ」


 カミーユのすぐそばに着地したカエルさんが、つぶやいた。


 メカタコのボディが、わずかに、へこんだだけだった。



 「……………」

 カミーユは、無言のうちに舌打ちした。もちろん、音はしない。



 メカタコの、頭上では、ホログラムぽく表示された、カウントダウンの数字が、目まぐるしく、その数を減らしていた。







 



 


 巨大な扉の横には、大きなシートが敷かれていた。

 そして、その上には、看板のようなものが置かれている。

 すでに、劣化がひどく、虫食いのようになっていた。

 もともと、間に合せに、造られたものなのかもしれない。

 


 『まもの○○せんとう○○○○ましん』

 『○だい○、めん○な○す○○う』


 *ひらがな表記なのは、脳内自動翻訳機能のせいだと、無理にでも、納得していただきたい。



 ベニートが、みっつの文字しか読み取れなかったのは、無理もなかった。

 いま、みんなで見ても、わかるのは、


 ①まもの

 ②せんとう

 ③ましん(『魔神』と読んでいたが)


 この3つだった。



 しかし、



 千春たちも、魔物さんたちも、この看板を感慨かんがい深げに、じっと見ている。


 『何か、知ってるんだろうか?』


 ジュンは、ふと、そう思った。

 しかし、必要と判断すれば、必ず、自分にも教えてくれるだろう。

 ジュンは、あえて、彼女たちに、問いただすことはしなかった。



 


 『鍵』は、学院長が差し込むことになった。


 遺跡に興味しんしんで、さらに、老い先が短い…といえば、学院長に決まっている。暗黙の了解であった。

 

 学院長は、まさしく『破顔一笑はがんいっしょう』といった顔で、鍵を差し込んだ。

 

 すると、


 巨大な扉が、すーっと、色彩を失い、ガラスのような透明の扉にかわっていった。扉の向こうの部屋が、透けて見える。


 「あれが『怪物』…?」


 もちろん、まだ、頭の一部しか見えていない。

 しかし、ジュンは、首をかしげた。


 『怪物』というと、なんとなく、『生き物』を連想しがちだ。

 でも、アレは、『機械(メカ)』だろう。だから、『ロボット』と呼んだほうが正しいのかも知れない。



 『鍵』をひねると、扉が、左右に開き始めた。



 ごごごごごごごごごごごごごご…………



 やはり、イメージ的には、『ガラス製の自動ドア』だった。



 巨大な扉があいて、そこをくぐり抜けると、『うぃーーーん』という音と共に、手すりのようなわくが、床から突き出てきた。

 

 学校の教室くらいの大きさだろうか。

 手すりによって、囲まれた空間ができたかと思うと、『がっしゃん』。下にさがりはじめた。

 おおきなエレベーターだった。

 

 エレベータが下がるにつれて、『怪物』の全貌ぜんぼうが現れた。



 感性というのは、母語の影響を強く受けるものである。

 しかし、ジュンのお嫁さんたちは、セーラの影響もあって、日本のサブカルに馴染なじんでいた。

 さらに、クローゼットに収めてあった『たこやき』も、幾度いくどとなく食していた。そのせいだろうか……



 「「「「「「「「かわいいーーっ!」」」」」」」」」

 いっせいに、きいろい声が上がった。


 「…………!」

 カミーユも、つぶらなひとみを、きゅぴーんしている。



 それは、超巨大な、デフォルメ_タコであった。

 たこやき屋さんの看板にでも使われそうなキュート?な肢体したいで、なぜか、『ねじりはちまき』状の物体も、頭部に装着している。


 もし、この場に、たこ焼きの研究家が同乗していたなら、『ねじりはちまきのタコさん』こそは、宇宙に偏在へんざいする元型だったと、感涙かんるいに、むせんでいたかもしれない。



 いま、このキューティー_タコは、深い眠りついていた。

 うつむくように、頭をかしげて、そのつぶらな瞳を閉じていた。

 

 しかし、彼?は、その深いまどろみのなかで、感じていた。


 長い長い眠りについていた自分を、揺り起こそうとした、あの『波動』と同じ魔力が、すぐ目と鼻の先にまで、近づいて来ていることを……


 彼の覚醒(かくせい)瞬間(とき)は、もうすぐそこまできていた。



 


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