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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
プーディン王国(カルシウム大陸)編
192/631

第192話 鍵

かなり書いてから、結局ボツにするしかなくなって焦りました。

でも、なんとかここまでは、書けたので投稿します(笑)。


前話を、コピペして、別名で保存して、削除して、再度、投稿するのに、手間取ってしまいました。

まちがえると、まるごと消してしまうので、ひやひやです(笑)。ベテランの方は、投稿前の原稿とかも、バックアップをとってるのかもしれないと思いました。



 エッグといえば、超巨大な卵を横においたような形の、ジュンたちの『(シップ)』である。


 このエッグの改造も、日々、進んでいた。

 魔物さんたちは、かつての日本人のように、ひじょうに勤勉であった。

 建設部の『オーク』さんや、『ミノタウロス』さんという、『たくみ集団』も、その例外ではない。

 

 たとえば、第三城壁には、豪華な宿泊施設が設置されている。

 だから、大規模なものは、必要なかったが、エッグにも、それなりに豪華な宿泊施設は造られていた。 



 

 いま、エッグでは、新設された『会議室』にて、作戦会議がり行われていた。


 その扉の横には、立て看板が掛けられ、そこには、


 『魔道士失踪事件緊急対策本部』


 と、墨痕ぼっこん鮮やかに大書されていた。


 

 

 「これが、プーディング城地下の、予想図になります」

 「最下層の、遺跡部分は、ほんとうに予想でしかありません」


 真夏が、中央の大きなモニターを、『指示棒』で指し示した。

 あの、さきっちょをつまんで引っ張ると、かちかち伸びる棒である。


 『よくあんなものを見つけてきたな…』

 ジュンは、真夏のこだわりに、感心した。


 モニターには、3DCGが映っていた。

 内部がわかりやすいように、基本的にはワイヤーフレームだが、それだけでは見づらい。ところどころに、壁も描き込まれ、着色もされていた。


 

 「おお、これは、すごいものだな…」


 作務衣さむえを着たおっさんが、感嘆かんたんの声をあげた。





 その隣には、リオナが寄り添っている。

 昨日の深夜から、ジュンの心の中で『グラビア女王』として、彼を魅了している美少女である。

 ただ、彼女は、むしろスレンダーなお嬢様体型をしている。『ぼん、きゅっ、ぼん』をイメージしてしまうと、違和感があるかもしれない。

 どちらにしても、本人には、まったく、あずかり知らないことであった。



 彼女が、隣にいるということは、この作務衣おっさんこそ、プーディング王ドメニコであった。彼は、なぜか、ジュンのクローゼットの数ある衣服のなかから、この作務衣を選んで、たいそう気に入っていた。


 それは、王という立場上、堅苦しい服装に耐えてきたせいかもしれない。



 その証拠に、その近くに座っていた、ゼリー帝国宰相レオポルドも、さっそく真似をしようと、作務衣を所望しょもうしていたからである。彼は、もちろん、皇帝ルナちゃんの、じいちゃんであった。

 『エリクサー』効果なのか、めっぽう元気になったじいちゃんは、近頃では、ひそかに愛人探しに、血道ちみちを上げていると噂されていた。


 プーディング王国といえば、隣国にも等しい。対岸の火事などと悠長ゆうちょうにかまえてはいられない。知らせを受けて、さっそく、じいちゃんも、会議に参加していたのである。ただ、城を抜けて息抜きがしたかったのも事実であったが…。





 「とうぜん、中からしか見たことはないが、おそらく、大きな違いはないだろう」

 ぜひ、後で、これの写しをもらいたいと、作務衣王は、真夏に頼み込んだ。



 「被害者の現在位置ですが、おそらく、この部屋に、幽閉ゆうへいされていると、予想されます」

 指示棒で、画面をこんこんと叩きながら、真夏は、説明を続けた。

 今回捕らえた、騎士や兵士や冒険者などから、聞き出した内容から、わりだしたのだ。

 『被害者』と呼ばれているのは、もちろん、捜索そうさく中の『魔道士』のことである。

 

 

 「はい……ケロ」

 カエルさんが、手を上げた。


 「被害者の現在状況は、どうなってる?…ケロ」

 プーディング王の例もある。瀕死であれば、急を要する。


 「それは、わたしが答えるわ」

 リオナが、立ち上がった。

 きょうは、チェックで、膝上のワンピースを着ていた。昨日は、やはり、ジュンの気を引くために、あんなミニの衣装を着ていたのだろう。

 たしかに、すでに、秘蔵映像として、ジュンの宝物と化しているのだ。彼女の狙いに間違いはなかった。


 「遺跡の発掘のためには、先生は、欠かせない」

 「だから、殴られたりすることはあっても、重傷を負わされている心配はないわ」

  

 

 「「「「「「「そうか……」」」」」」 

 ほっとした空気が会議室内に流れた。


 

 ところで、


 

 「その遺跡というのは、どんなものが、発掘されとるのかのう……」

 学院長が、遠慮がちにたずねた。




 そもそも、今回は、学院長がジュンに相談を持ちかけたところから始まった。

故郷であるプーディング王国に戻った弟子から、きゅうに、便りが来なくなったのである。


 帝国から、海を隔てたうえに、内陸の地である。

 手紙などが、そう短期間で届くわけはないのだが、これまで、定期的に送られてきていた便りが、ぷつりと止まってしまったのであった。


 学院長は、心配でならなかった。

 そんなときに、ジュンが、所用で、いったん学院に戻ってきた。聞けば、いまは、ゼリー帝国にいるという。ゼリー帝国と、プーディング王国は、それなりに離れてはいるが、隣国のようなものだと聞いていた。

 学院長は、渡りに船と、ジュンに、弟子のことを依頼したのであった。




 したがって、弟子の捜索こそが、目的ではあったが、やはり、彼も『学者』である。『遺跡』と聞いては、黙ってはいられなかった。



 

 「それは、わたしから言おう」

 作務衣の王が、立ち上がった。


 「地下の遺跡への通路が発見されて、まだ、一年にも満たない」

 「たいしたものは、手に入っていないのだが…」

 作務衣の王は、ちょっと苦笑した。


 ただ、


 「巨大な通路と、そして、やはり巨大な扉が、発見された」



 その扉の前には、看板のようなものが落ちていた。

 劣化がひどく、解読には難渋なんじゅうした。


 そこで、くだんの魔道士が動員されたらしい。彼は、ドメニコ王の主治医のような役目についていたが、『帝国魔法学院』出身者である。たちまち白羽しらはの矢が立ったのだ。


 しかし、結局、彼にも、いくつかの文字しか判読はできなかった。 


 「ベニートくんが、解読に成功した古代文字は、これだけだ」

 

 ①『まもの』

 ②『せんとう』

 ③『まじん』(『ましん』かもしれない)


 なんとも、わびしい結果であった。

 しかし、目の前には、巨大な扉があり、さきほどの3つの文字がある。

 

 誰もが、この扉の奥には、おそろしい『魔神』が眠っていると想像した。


 そして、その直後に、大きな扉から、やや離れた場所に小さな部屋が発見されたのである。




 その部屋には、細いのぞき窓のようなものが、いくつも並んでいた。

 そこから、中をのぞいたものは、誰もが声を上げた。


 おそろしい姿をした『怪物』がそこにはいたのである。


 もっと驚いたのは、その大きさだった。

 この覗き窓は、その先にある巨大な部屋の、かなり上に設けられており、その下は谷底のように深かった。

 細い窓からではあったが、その『怪物』は、プーディング城ほどの大きさがあることが、誰にもわかった。


 ただ、幸いなことに、もう、数え切れないほどの年月を、眠りについたままなのか、動く様子はまったく見られなかった。




 「さらに、その部屋には、『鍵』が置かれていたのだよ」


 それも、あまりにも無造作むぞうさに、机の上においてあったそうだ。


 

 ひとびとは、『鍵』を持って、あわてて、扉の前に戻った。

 そして、ぜんいんで、鍵穴を探した。

 ところが、それらしいものは、見つからなかった。

 この扉の『鍵』ではなかったのだろう。だれもが落胆した。


 

 「だが、私の息子が、それを見つけた」

 でもね……

 「鍵穴を見て、誰もが、すぐに絶望したよ」



 おそらく、あの『怪物』がいる部屋が、重すぎたのだろう。

 部屋自体が、わずかに沈んで、廊下との間に段差ができていた。

 そして、鍵穴が、その段差の下にもぐり込んでいたのである。あたかも、ガラス製の自動ドアのような鍵穴の位置であった。


 何とか、『鍵』が差し込めそうにも見えたが、わずかに鍵が傾いてしまい、どうしても鍵穴には入らなかった。


 とうぜん、床の強度は、すさまじく、どんな工具や魔法をもってしても、傷ひとつつけることはできなかった。




 

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