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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
プーディン王国(カルシウム大陸)編
189/631

第189話 ダブルアクション可能だけど

まず、カトレアの続きを書きました。

きょうも、めずらしく早く書けたので、すこし早く投稿します。

また、これから、続きを考えます(笑)

できるだけ、12時と、20時に投稿したいと思っています。

でも、自転車操業なので、リアル雑務に追われたり、思いつかなかったり、いくら書いてもボツにするしかなかったりすると、ようやくその日のうちに、ひとつ書けるかどうかといった感じになってしまいます。

安定して書けるようにがんばろうと思いますが、ご容赦いただけると幸いです。



 カトレアは、ちいさな女の子との間を、騎士にふさがれたうえに、周りを二十名にもおよぶ兵士たちに、囲まれていた。



 「なぜ、お前だけがいて、あの二人がいない?」

 若い騎士は、重ねて問い詰めた。


 そのうち、

 

 「…うん?」

 カトレアが、自分の背後ばかり見ていることに気がついた。


 「おいおい…、まさか、こいつがあの魔道士の娘か…」

 ちいさな女の子を、うれしそうに、見ながら言った。

 もちろん、ロリコンという意味でない。


 「こりゃあ、運がいいぜ…」

 「ふたり同時に、つかまえられるとはな」

 そういって、へらへらと、笑った。


 それから、

 

 周りを囲んでいる兵士に、命じた。

 「おい、お前たち。その女を縛り上げておきな」

 「オレは、こっちのガキを…」

 


 そこまで、いいかけたときだった。



 「まあ、まあ、まあ、なーんてかわいい子かしら…」

 とつぜん、場違いな声が聞こえてきた。

 振り向くと、そこには、同じ制服を来た少女が数人、小さな女の子を囲んでいる。

 しかも、とびきり美しい少女ばかりだった。


 

 「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」」」」

 

 

 通常、お約束として、こうした場面では、


 「うっひょー、いい女ばっかりじゃねえか」とか、

 「こいつぁ、オレさまが、女の喜びってやつをじっくり教えてやらねえとな」とか、

 「おかしらぁー、あっしたちにも、何人かまわしてくだせえよぉ」とか、

 この場合は、盗賊じゃないから、『お頭』は、おかしいが…


 悪党どもが、腰をくねくねして歓喜(フィーバー)するところであるが、



 あまりにも、とうとつに、姿を現した上に、彼女たちの魔力が、けた違いであることに、まず、戦慄せんりつした。



 「な、何なんだ、こいつらは……」

 「こ、この魔力……、ば、ばけも……」


 …と、そこまで、いいかけたときだった。


 

 『ハッチ_Mark2部隊』に搭載された『高性能Ai』が、この禁句を感知した。

 マスターであるジュンのお嫁さんを『バケモノ』呼ばわりするなど、万死ばんしに値する。

 

 ここで、『ハッチ_Mark2部隊』が、ステルスを解除した。


 もちろん、解除する必要は、まったくないのだが、クマ開発陣の『AI』は、様式美を重視する設計であった。


 すでに、兵士たちは、大きなハチの群れに囲まれていた。


 もちろん、ハッチたちの外見は、きわめてラブリーではあったが、箱ティッシュサイズのハチである。

 そのサイズのハチに囲まれて、『ラブリー』と感じるには、それなりの胆力たんりょくを必要とするだろう。

 まして、いまは、怒りを表現しているのか。目が赤く輝いていた。


 前回は、やや遠距離であったので、スコープ付きのライフルを用いていたが、今回は、至近距離である。

 みな、ハンドガンを取り出すと、いっせいにマガジンを押し込んだ。


 そして、


 「「「「「「「「「「「「「「「かちんっ」」」」」」」」」」」」」」」


 初めて、拳銃(オーマチック)の当たりして、うろたえる兵士たちの耳に、撃鉄(ハンマー)を起こす音が聞こえた。もちろん、ダブルアクションも可能な銃であったが…



 ぷす、ぷす、ぷす、ぷす、ぷす、ぷす、ぷす、ぷす……



 たちまち、問答無用とばかりに、かすかな発射音が、兵士らを襲った。

 もちろん、消音器は、装着ずみであった。



 ばた、ばた、ばた、ばた、ばた、ばた、ばた、ばた……



 騎士も兵士も、ろくな戦闘さえ許されぬうちに、次々と倒れていった。

 まさしく、死屍累々(ししるいるい)。

 ぼんくぼには、細い針が突き刺さっていた…




 

 ちいさな女の子は、戸惑っていた。

 とつぜん、きれいでやさしそうなお姉ちゃんが、たくさん現れた。

 みんな、しゃがんで、親しげに、自分を見つめてくれている。


 なかでも、さっき、『まあ、まあ』言っていたお姉ちゃんは、身体的に、やさしさのかたまりに見えた。抱っこされるなら、弾力性に富んだ胸のほうがいいに決まっているのだ。


 ちいさな女の子は、イレーヌに抱きついて、そのやわらかい胸に、きゅと顔をうずめた。



 

 カトレアは、ハッチたちが、兵士を仕留めるようすを見て、昨日、自分を救ってくれたのも、このハッチたちだったと悟った。


 すると、全身から、緊張が抜けたのか、その場に座り込んでしまった。


 おとりとはいえ、『あの子』も巻き込んでしまうところだった。

 いま振り返ってみれば、『ぜったいに安全だから』と説得された意味もよくわかる。まるで、相手にならなかったのだから。

 

 さらに、いまは、クマの魔物が現れて、黒いゴミ袋に、つぎつぎと熟睡する兵士たちを放り込んでいる。たしょう、大きなゴミ袋ではあるが、なぜ、あんなにニンゲンがたくさん入るのか。理解に苦しんだ。



 

 


 昨日、カトレアは、豪華なホテルのベッドで目を覚ました。

 いっしゅん、なぜ、自分がこんなところにいるのかと、いぶかった。

 男たちに襲われたことを、とっさに思い出した時、全身に冷や汗が流れた。

 しかし、衣服には乱れがなかった。カトレアは、ほっと息をついた。

 なぜか、ジュンの顔が、ふと思い浮かんだ。

 

 そういえば、なにか毒のようなもので、自分は意識を失ったはず。

 ふたたび、あわてて、腕を確かめたが、傷跡すらなかった。

 そのとき、何かが、コツンと手にぶつかった。

 ちいさな瓶が、ころころと転がってゆく。手元には、赤いリボンが落ちていた。



 「まあ、まあ、まあ…、目が覚めたのね。お腹はすいてないかしら…」

 明るい声が、聞こえてきた。

 とても、うつくしい女性だった。自分と同い年くらいだろうか。

 聖女というのは、こういう人のことを言うのかもしれないと、カトレアは思った。

 

 

 彼女は、イレーヌといって、元聖女だと自己紹介された。


 そのあとは、驚きの連続だった。転移、城壁、温泉、ヘアドライヤーなどなど。


 しかし、


 カトレアは、驚いてばかりもいられなかった。

 『あの子』を、『アリアンナ』を、一刻も早く救わねばならない。


 カトレアは、手をついて、イレーヌに救出をお願いした。


 そのときだった。


 イレーヌにまさるとも劣らない、美しい少女が現れて、こう言った。


 「ぜったいに助けてあげるから…」

 「何人か、敵をつかまえるのを、手伝って」と。

 彼女には、いろいろと調べたいことがあったようだ。




 


 『アリアンナ』は、いま、うれしそうに、イレーヌの胸に抱かれていた。

 カトレアは、なんとか、立ち上がった。

 ふらつく足で、なんとか『アリアンナ』のそばまで行った。


 『感動の対面』に違いなかった。


 アリアンナは、ふと何かに気がついて、イレーヌの豊かな胸から、顔を上げた。そこには、自分をやさしく見つめる、カトレアがいた。


 「あっ……」


 「カトレア……」


 まだ、ちいさな子どもである。すっかり、イレーヌの胸に懐いていたので、ややそっけなく聞こえた。 


 「……おばちゃん」



 ……………



 ……………



 はっ、



 気がつくと、イレーヌは、アリアンナのほっぺたを、ぎゅうーーーと引っ張っていた。



 「ご、ごめんなさーーーい」


 「カトレアおねえちゃーーーん」



 アリアンナは、泣きながら、カトレアから、めいれいされていた呼称をもちいた。






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