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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
プーディン王国(カルシウム大陸)編
187/631

第187話 ちいさな女の子

昨夜から朝方まで書いていて、いま、読み返せたので、早めに投稿しました。

いつも時間が定まらず、ほんとうに、申し訳ありません。

これから、続きを考えます(笑)。

いねむりしてしまうかもしれませんけど(笑)。 



 念のため、しばらく待ってみたが、あれ以降、情報提供者は来なかった。


 いちおう、さっきの、ふわミニの子からもらったメモの件もある。

 ジュンは、会議室を引き払うことにした。


 すると、


 おっさんギルマスが顔を出した。

 この会議室を使うように、すすめてくれた、あの親切なギルマスである。 


 「きょうは、もう、ひきあげるのかい?」

 ジュンのようすをみて、わかったのだろう。


 「ええ」

 ジュンは、あいそよく答えた。


 「なにか、やくに立ちそうな情報はあったかい?」

 社交辞令のような軽い問いかけだった。


 「…そうですね」

 ジュンは、考え込んだ。

 それだけで、じゅうぶんな返答になると思った。



 ところで、



 「カトレアのことなんだけど…」

 「今日は、まだ、来ていないんだ。君、何か知らないかい?」

 ジュンに、さりげなく、たずねてきた。


 「カトレアさん……というと?」

 ジュンも、首を傾げ(かし)ながら、問い返した。


 「ああ…、昨日、君の依頼を受けていた女の子だよ」

 いきなり名前を言っても、わからないよね。ギルマスは笑った。


 「あの、きれいな方なら……」

 ジュンは、ちょっと思い出したように、言った。


 「昨日、昼過ぎくらいに、私服でいるのを、ちょっと見かけたんですけど…」

 「…すぐ、見失ってしまいました」

 いかにも、残念そうに言った。

 『白パン○ラ』をさえぎった馬のいななきが、耳に木霊こだました気がした。


 「…そうか」

 ギルマスは、もういちど、確かめるように、ジュンを一瞥いちべつすると、

 「ああ…、引き止めてしまって申し訳ないね」

 「あすには、いい情報が、入るといいね」

 そんなことを言いながら、自分の部屋に戻っていった。




 ジュンは、しばらく、ギルマスの後ろ姿を、視線で追っていた。

 それから、彼が部屋に戻ったのを見届けると、 

 


 『ここも、きっと監視されてるわ』

 

 

 あの、ブルーぱん美少女の警告を反芻はんすうしながら、会議室をあとにした。







 ちょうど、ジュンがギルマスから、カトレアのことをたずねられていた頃、カトレア本人は、街なかを急ぎ足で歩いていた。


 きのうと同じ、真っ赤なふわミニのワンピースを着ている。

 そもそもけっこうな美人なのだ。

 しげもなく、すらりとした脚をあらわにして、道を急ぐ姿は、ひと目を引いた。


 

 はあ、はあ、はあ…


 

 やや息を切らしながら、カトレアがたどり着いたのは、昨日、ジュンが、串焼きを買い込んだ屋台の近くだった。


 そう、彼女の純白の下着を目撃して、ジュンが、人生の希望に目覚めた、あの場所である。





 昨日、たしかに、彼女は、ジュンの目に止まるように、あの真っ赤なふわミニワンピースを着込んでいた。

 あれは、『すこしは、年相応(そうおう)の身なりをしなさい』と言って、買ってもらったものだった。

 だから、真っ赤な服も、ミニのワンピースも、あれ一着しかもっていなかった。


 じっさいに着るのは、すこし恥ずかしかった。

 しかし、いまは、躊躇ちゅうちょしている余裕はない。


 自分は、絶えず監視されている以上、うかつに『あの子』には近づけない。

 小さな子をひとりぼっちにしておくのは、不安でたまらなかった。そして、それ以上に、かわいそうでならなかった。


 そんなときに、あの『帝国魔法学院』から、学生が送られてきたのである。もちろん、ジュンのことだ。


 はじめてジュンを見かけたとき、その服装と、魔力で、ぴんときた。そして、自分から声をかけながら、バッジを確かめた。彼は、やはり、『帝国魔法学院』のバッジをつけていた。このバッジには見覚えがあったのである。

 

 カトレアは、このチャンスを、決して逃すわけにはいかないとおもった。

 しかし、監視の目が厳しいなかで、自分が、情報提供者となるのは、危険すぎた。


 朝のうちは、彼といっしょに、依頼書を作成した。

 そして、彼が、ギルドを出ると、自分も着替えて、彼を追った。 

 彼女は、ジュンを、『あの子』のところまで誘導し、最終的には、『あの子』を保護してもらおうと考えたのである。

 おそらく、あの高い魔力をもつ少年は、そういう機転きてんを備えていると見抜いたのは、慧眼けいがんだった。



 ジュンが、自分に好意を抱いているのは、なんとなくわかった。

 まあ、やたらと名札に目を輝かせていたのは、すこし気になったが…

 だから、自分が、この、やや扇情的せんじょうてきな服装で、近くを歩けば、きっと、彼の目にとまる自信があった。

 

 ところが、


 ジュンは、とても、初めてこの街に来たとは思えないほど、すたすたと歩き出した。まるで、道順まではっきりわかっているかのようだった。


 カトレアは、あせった。


 自分に気づかせて、それから、誘導しようとしていたのに、どんどん街なかを進んでいってしまうのだ。


 しかし、カトレアは、すぐに、気づいた。そして、驚いた。

 ジュンは、自分が、誘導しようとしていた、まさに、その場所に向かっていたのである。

 まさか、カエルさんに頼まれて、あの屋台に向かっているとは、彼女には、知るよしもない。


 カトレアが、ジュンを追い越して、先に、目的地に到着したときだった。

 いたずらな風が、スカートのすそを舞い上げた。

 いっしゅん、この、あまりにも、めくれやすい衣装を贈ってよこした相手に怒りを覚えた。


 しかし、


 同時に、自分の下着を、またたく間に、ロックオンした規格外の精密な視線にも気づいた。

 それは、まさしく、ジュンの視線であった。

 はからずも、この目的地において、みごと、ジュンの視線を射止めていたのである。


 いまにして思えば、


 自分の局所に、的確に固定されたジュンの視線に気を取られ、飛来してきたナイフへの反応が、いっしゅん遅れてしまったのも事実であった。

 『敵』も、ジュンの存在を、あるいは、ジュンの背後に控える『帝国魔法学院』の存在を、脅威と感じたのだろう。ギルドの外で、ジュンと接触することを、ちからずくで、阻止そししようとしたらしい。





 彼女は、屋台の近くのベンチに向かって、ゆっくりと歩き出した。

 そこには、ちいさな女の子が、うつむいたまま、じっと座っていた。


 やがて、自分に近づいてくる人影に気づいたのだろう。

 女の子は、ふと、顔をあげた。

 彼女の顔が、ぱっと明るくなる。

 みるみるうちに、目には、大粒の涙があふれてきた。

 


 「いままで、ごめんね…」

 カトレアも、涙を浮かべながら、女の子に駆け寄った。



 そのときだった。


 

 「やっと見つけたぜ」


 とつぜん、カトレアと、女の子の間に、男が立ちふさがった。

 若い男だった。いちおう騎士の格好をしている。


 「あのふたりをどうした?」

 男は、カトレアをにらみつけた。

 

 

 もちろん、男は、ひとりではなかった。



 「見つかったのですか!」

 兵士が、次々と駆け寄ってきた。

 そして、カトレアと、女の子のまわりを取り囲んだ。


 

 カトレアは、女の子との間を、ふさがれたうえに、周りを二十名にもおよぶ兵士たちに、包囲されてしまったのであった。





  

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