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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
プーディン王国(カルシウム大陸)編
183/631

第183話 金貨一枚の依頼

なんとか書けました(笑)。

今回は、できれば、すこし、いままでとは、趣向を変えてみたいと考えています。

何をするにも、初めてのことなので、かなり書き込んでから、すべて、ボツなったりします(笑)。

毎回、自転車操業なので(笑)、こんかいは、とくに、慎重に進めないと、つじつまが合わなくなったらどうしようかと不安です(笑)。



 「きれいに書いてあるわね。まるで本の文字みたい!」

 「そんなに長い時間じゃなかったのに、すごいわね」

 美人の受付嬢が、たいそう感心していた。


 それはそうだろう。

 自宅のワープロで書いて、プリンターから出したのだから。

 どういう仕組みなのかは、わからない。しかし、前にも書いたが、ジュンの家は、()()異世界仕様になっている。プリンターから出てきた紙には、この世界の文字で書かれているらしい。もちろん、ジュンには、日本語にしか見えない。

 フォントとかどうなっているのだろうかと、ジュンは首をかしげた。





 冒険者ギルド地下の、オペレーションルームでは、カエルさんたちが、和気藹々(わきあいあい)と、業務?にいそしんでいた。

 ジュンは、いちおう『管理職』である。

 管理職が、いつまでも、ちかくで見張っていては、息苦しいかもしれない。


 ジュンは、外に出てみることにした。

 もちろん、もう、掃除箱の居場所をおびやかす必要はなかった。

 ギルドの裏手に、すでにゲートを設置しておいたからだ。



 「ちょっと、外に出てくる。ギルドの裏手を確認してもらってもいい?」

 ジュンは、カエルさんに声をかけた。


 「了解……ケロ」

 カエルさんが、手元のパネルを操作すると、目の前の大画面の中央に、大きめの分割画面が形成され、ギルドの裏手が、映し出された。

 さらに、その分割画面のまわりの映像も、次々と、切り替えられていく。

 ギルド裏手の周辺を、ぐるりと確認してくれているのだろう。


 「大丈夫……、周囲にも人影はない……ケロ」

 「ありがとう…」

 ジュンは、外にでた。



 どこにいくあてもない。

 ジュンは、とりあえず、ギルドの正面に出てみた。

 今朝、すでに、一度、足を踏み入れていたが、あらためて見ると、けっこう立派な建物だった。ゼリー帝国よりは、ひとまわり小さいだろうか。

 

 ジュンが、ぼんやり、建物を眺めていると、

 

 「ギルドに、何か、ご用かしら?」

 「よければ、相談に乗るわよ」

 とつぜん、声をかけられた。


 きれいなお姉さんが、微笑んでいた。

 ジュンの胸のあたりを見ているから、もしかすると、バッチをみてるのかもしれない。学院長の代わりに人探しをするので、学院の制服を着ているのだ。

 今は、もう、こそこそする必要もないので、ローブは脱いでいた。

  

 「ギルドの方ですか?」

 ずいぶんと親切なギルドなのだなと感心しつつも、いちおうたずねた。


 「受付をしてるの、ほら…」

 そういって、ギルド内のカウンターを指差した。

 たしかに、目の前のお姉さんと同じ制服をきた美人がずらりと並んでいる。

 間違いないようだ。

 

 きれいなお姉さんは、いつでも大歓迎である。

 ジュンは、嬉々(きき)として相談することにした。



 


 「そうね…」

 オレの話をじっと聞いていたお姉さんが、口を開いた。


 「ギルドは、依頼を『出す』こともできるの」

 「少なくとも、自分でさがすよりは、ずっと効率がいいとおもうわ」

 セールストークとも思えたが、むしろ親身になってくれているようだった。

 

 「まず、依頼内容を、紙にまとめてもらえると、わたしたちも扱いやすいのだけど…」

 それはそうだろう。オレは、メモ書きを作ることにした。


 どっちみち、転移するのだ。

 お姉さんには、すこし待ってくれるようにお願いして、オレは、いったん、エッグ内の自宅にもどって、メモ書きを作ってきた。





 

 「依頼料、金貨一枚。たしかに受け取ったわ」

 依頼内容にしては、けっこうな高額らしい。でも、見向きもされないと困るので、金貨一枚にした。

 そもそも、お金の価値とか、ジュンはまるきり理解していなかった。使う場面がほとんどないので、しかたがなかった。


 

 『金貨一枚』といえば、例の魔物さんのお小遣こづかいが、思い出される。

 じつは、娘が元気になったアイロス伯爵は、『さすがに1080枚では、申し訳ない』と言って、『金貨2160枚』ほどくれたのだ。

 ついうっかり、消費税分を足して、『1080枚』と言ってしまったのだが、あのイケメン伯爵は、何もたずねずに『2160枚』を渡してくれた。まあ、いいかと思って、ジュンは受け取った。

 

 すでに、魔物さんたちには、『金貨一枚』ずつ配られている。会うたびにお礼を言われていたが、千匹である。いつになったら『お礼大会』が終わるともしれなかった。ちなみ、いま、地下にいるカエルさん五匹は、いぜんに、お礼を言われている。


 『2160枚』あるのだから、ひとり金貨二枚では、と思うだろう。

 しかし、魔物さんたちは、『買い物がしたい』のであって、『ほしいものがある』わけではなかった。だから、実際には、金貨一枚でも使いみちがなかったのである。


 金貨というのは、使い勝手のいいものではなかった。

 たとえば、魔物さんが、大挙して、金貨片手に、屋台などに行ったものなら、たちまち、お釣りがなくなってしまう。


 そのため、これを聞きつけた賢帝は、すぐに、両替をしてくれた。


 そもそも、魔物さんが『買い物』ができるのは、スフレ帝国の帝都『パルミエ』だけだ。帝都の民は、『ハーレム使徒さま』をよく知っているし、『帝都巡回ケルベロス部隊』は、人々の信頼を得ていた。

 ほかの魔物さんも、ジュンの配下とわかれば、すぐに受け入れられたのである。

 

 賢帝が両替の手配をしてくれたにしても、金貨全てを両替するのは、あまりにも無駄であった。そもそも、硬貨は小さいのだ。両替して、いっそう数が増えた硬貨を、じゃらじゃらと持ち歩くのは、大きな魔物さんたちには、けっこうな手間になる。


 そこで、千春は、『魔物さん銀行(通称『まもバンク』)』をダンジョン内に設立した。

 魔物さんたちは、その都度、必要な硬貨を引き出せば良い。

 もちろん、最初から、全員分の口座が、設けられている。

 魔物さんたちは、いそいそと『ATM』に並んで、『預金』と『引き出し』を楽しんだ。もちろん、『まもバンク』は、窓口業務など行っていない。すべて、『ATM』と『CD』でまかなっていた。

 

 千匹が、いっせいに買い物をしたとしても、金貨1000枚分には、程遠い。

 賢帝も、最小限の両替の手配ですむことになったのであった。 

 



 

 仕事の早いお姉さんらしく、たちまち、ジュンの依頼は、掲示板に貼り出された。ジュンの持ち込んだワープロ打ちの文面が、そのまま切り貼りされていた。




 そこには、こう書かれている。


 わたしは、スフレ帝国の『帝国魔法学院』の学生です。

 学院長から頼まれて、人を探しています。


 その方は、

 ①学院長の『弟子』で、

 ②以前、学院長に『とある品物』を預けました。

 ③男性で、

 ④優れた魔道士です。


 『預かり物』をお返ししたいと思っています。

 ご存知の方は、お知らせください。よろしくおねがいいたします。



 

 ジュンは、自分で書いた文面を読み返しながら、『こんなアバウト依頼で、見つかるんだろうか』と不安になった。しかし、もし、実際に、知っている人がいれば、すぐにわかるだろう。

 かの『帝国魔法学院』学院長の弟子で、優れた男性魔道士など、スフレ帝国でさえ、そんなにたくさんいるとは思えないのだ。



 

 さらに、この文面の下には、


 ⑤お礼として、金貨一枚を支払う。

 ただし、情報提供だけの場合は、その方であると確認できた時点で、支払う。

 ⑥ギルド二階の会議室で待機しているので、そこに知らせに来てほしい。


 といった内容が書かれていた。




 手数料として、銀貨一枚支払っていたが、会議室は、無料で貸してくれた。

 残念ながら、おっさんのギルマスだったが、親切な人で、『会議室を、待機場所として、貸してあげよう』と申し出てくれたのだ。





 ジュンは、会議室を確認してから、外に出た。

 すでに、朝の依頼を見て、冒険者たちは、仕事にでかけてしまっている。

 ジュンの依頼が、冒険者たちの目に止まるのは、明日の朝くらいからのようだった。


 『待機するのは、明日からにしたほうがいいわよ』

 美人の受付嬢に教えてもらったので、さきほどの文面にも、そのむね書き込んであった。




 『きょうは、このあとどうしようか…』

 ジュンは、また、手持ち無沙汰ぶさたになってしまった。

 



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