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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
ゼリー帝国(カルシウム大陸)編
178/631

第178話 どこが防衛会議なの

ジュンの出番になったのですが、ためしに、第三者視点のまま書きました。

いろいろ試すと、いろいろ練習になるので(笑)。


 「はい」


 ここで、ジュンが手を挙げた。

 「さいきん、魔物さんたちに、任せっぱなしでわからないんだけど…」

 「魔石の坑道と、薬草の採取場は、どうするの?」

 

 ジュンは、このところ、『帝国魔法学院』に通っていた。もちろん、つい、昨日は、ゼリー帝国で盗賊捕獲のバイトをしていたが…


 そのため、坑道や採取場から、危険な魔物を遠ざける役目を、ダンジョンの魔物さんたちが、担っていた。サイクロプスや、ケルベロスが、うじゃうじゃいるところに、ふつうの魔物は、近寄れない。せいぜい、離れて、ようすを伺う程度だ。



 「ああ……、坑道のほうは、わしが説明しよう」

 ドワーフのレギンだった。

 「出入り口は、大きな岩を集めてふさいでしまう予定じゃ」

 実質、転移ゲートで、採掘場に入っている。

 出入り口がなくなれば、危険な魔物も入ってこられなくなるのだ。

 「ジュン殿には、出入り口を塞いだ後、岩に強化魔法をかけてもらいたい」

 そうすれば、たとえ、大砲の砲弾でも、弾き返せるからのう…、


 「空気穴とか、換気方法は、今、検討中…クマ」

 「もしかすると、街の中から、新たな坑道を掘るかもしれない…クマ」

 昔のアニメで見た、先端に大きなドリルのついた車両を、ジュンは思い出していた。ジェットモグたんタンクだったろうか。ああいうのに乗って、坑道を掘り進むのだろうか。かっこいい……とジュンは感動した。




 「薬草のほうは、私が説明するわね」

 ほんとうにひさしぶりの、マリアンヌだった。辺境伯夫人であり、イレーヌの母親だ。

 「上級の薬草がある場所は、そのままそっくり掘り出して、街のなかに移植させる予定よ」

 街のなかで、ハウス栽培でもすれば、安全このうえない。



 

 「宰相たちが、この地を訪れたときには…」

 ミルフィーユ領主が、笑いながら、ここまでの話をまとめた。

 「魔石の採掘場へと至る坑道は、入り口が岩でふさがれていて、薬草の採取場には、おおきな穴が開いているだろうね」

 魔石と、薬草を取り戻しにくるのだ。これだけで、絶望的になるだろう。




 「いままで、やろうやろうと思いながら、つい先延ばしにしてきたことばかりじゃ…」

 レギンが、しみじみと言った。


 「そうですね…」

 「そういう意味では、今回の攻撃の話で、ふんぎりがついたようなものですね」

 アルベールも、うなずきながら、続けた。

 

 それを聞いていたエルフの剣士、エミールが、

 「そんなら、宰相には、感謝しなきゃいけねえかもな…」

 真面目な顔でそんなことを言い出したので、みんなは声をたてて笑った。

 


 会議は、明るい笑い声に包まれた。

 

 

 「これのどこが、『防衛会議』なのだろう…」

 ラノワ騎士団長が、あきれはてていると、隣にいた賢帝と目が合った。


 「さぞかし、驚いただろう」

 賢帝が、笑っている。たぶん、同じ気持ちなのだ。



 しかし、驚いたと言えば、賢帝たちが、見物に来ていたことのほうが、よほど驚きだった。


 いまこの場には、大国の『皇帝』がふたりいた。


 一人は、今、話をしている、スフレ帝国の賢帝である。まだ、幼い姫君を、きさきとの間に挟んで座って、せっせと世話をしていた。


 もう一人は、海のむこうのゼリー帝国の皇帝だと聞いた。

 ただ、その皇帝は、ジュンのお嫁さんと呼ばれる女の子たちに、じゅんぐりじゅんぐり、抱っこされ、ほおずりされて、ご機嫌のようすだった。


 さらに、大国の『国王』もいた。


 ランパーク王国の国王で、やはり、后とかわるがわるに、まだちいさな姫を抱っこしたり、ほおずりしたりしていた。

 それでも、この姫は、まったく表情を変えなかった。ずいぶん、クールな姫だなと、眺めていると………、目があった。

 巨大な氷山のように、冷たく静かな眼差しだった。もちろん、騎士団長が氷山を見たことなど、あるはずもないが…。

 騎士団長は、背筋が凍りつくような、恐怖に襲われて、おもわず目をそらした。恥も外聞がいぶんも吹き飛んでいた。

 『いったどうなっているのだ!この途方とほうもない魔力は!』

 騎士団長とて『帝国魔法学院』の卒業生である。それなりに魔力探知ができたのが、裏目に出たようだった。



 会議は、もう少し続いた。



 

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