表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
ゼリー帝国(カルシウム大陸)編
167/631

第167話 仲間は、仲間だよ

ブックマークが、50件ちょっとになりました。

とっても励みになります。ほんとうに、ありがとうございます。


 「よく言った!さすが、アタシが見込んだ男だけのことはあるね!」

 キタキツネが、細い目をきらきらさせて言った。


 「「「「「「「「キツネがしゃべったぁーー!」」」」」」」」

 

 まあ、ここは、驚くところだろう。


 「いや、ただのキツネじゃねえ。尻尾を見てみろ!」 

 さっきの大男が、キツネっ子の尻尾を指さした。

 みんなの視線が、キツネっ子のお尻に集まる。


 キツネっ子まで、自分の尻尾を見ようと身をよじっていた。


 「ま、まさか、九尾の狐かっ!」

 喉元に剣を突き付けられながら、じいちゃんが叫んだ。


 なんだ、けっこう元気じゃないか。


 「き、九尾の狐?」

 「ア、アタシの正体が、ば、ばれちまった…ようだ…ね」

 そう言いながらも、さりげなく尻尾の数を数えている。自信がないのだろうか。


 

 それにしても、


 

 どうしたのだろう。やはり、オレたちの後を追って、ついてきてしまったのだろうか。

 そんなことを思いながら、じっと、キツネっ子を見ていたら、


 「ああ、忘れるところだった…」

 そう言いながら、犬座りして、首に下げた巾着きんちゃくをごそごそしはじめた。もちろん、亜空間収納だ。


 「これ、返してなかったから…」

 キツネっ子に着せていた紺のワンピースだった。きれいにたたんである。

 それから、カレー皿と、スプーンも取り出した。こちらは、ちゃんと洗ってあった。


 「…おまえ」

 オレは、ことばに詰まった。

 どちらも、汚染物質となった可能性があったので、わざとおいてきたものだった。

 


 キツネっ子は、にこにこしながら、皿の上にたたんだワンピースを載せて、前足でささげもっている。

 前足には、ちゃんと手袋をはいていた。



 …………



 …………


 

 オレは、胸にちくりと、痛みを感じた気がした。

 もちろん、エキノコックスが発症したわけではない。


 

 …………



 「そうか……、そうだな……」

 オレは、右手を高く上げた。

 「召喚、クマのお医者さん…」



 みよーーーん。



 空間がゆがむ。


 

 どっすーーーん。



 白衣を着て、聴診器を首から下げたクマの魔物さんが出現した。

 クマさんたちは、基本的に『開発チーム』だが、『医療関係』も担当しているのだ。動物のお医者さんといえば、やはり、クマさんだろう。

 「ジュンさま、来ましたわよ…クマ」



 「「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」」」

 まわりのひとたちは、あんぐり口を開けたまま、ことばをうしなっている。

 転移だけでも驚異なのに、クマが白衣を着てしゃべっているのだ。無理もない。



 オレは、キタキツネを抱き上げて、言った。

 「この子を、検査してくれないか」

 この子さえよければ、連れて帰りたい……から。


 

 「検査…?」

 クマさんは、怪訝けげんな顔をした。

 それから、オレが何を心配しているか、気付いたのだろう。笑いながら、 

 「ジュンさま…、この子は、わたしたちの『お仲間』だよ…クマ」

 きっぱりと、そう言った。


 「…仲間?」

 どういうことだろう。オレは首をかしげた。


 「仲間は、仲間だよ。ジュンさま…クマ」

 クマさんは、オレからキタキツネを受け取ると、

 「この子は、エッグに連れていくからね…クマ」

 オレのリュックに触れて、転移を始めた。


 「詳しいことは、後で、真白ちゃんにでも聞いて…クマ」

 言い終わるころには、すでに、この場から消えていた。



 あとには、カレー皿とワンピースが残った。

 収納に入れようと持ち上げると、皿の中から『エリクサー』が、二本ほど転がり落ちた。金色の光が、ころころと床を転がっていく。

 お礼のつもりで、持ってきたのだろう。なんとも律儀りちぎな子ぎつねだった。

 赤いリボンの小瓶を追いかけていると、頭の上から、叫び声が聞こえてきた。

 

 「ま、まさか…!そ、それも……『エリクサー』なのか!」


 見上げると、イケメン中年がいた。

 ベッドに寝ているじいちゃんに、剣を突き付けている。



 …………



 …………



 くっ…、


 …………



 子ぎつねに気を取られて、忘れていた。いまは、取り込み中だった。 


 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ