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第142話 帝国も消えてしまいます


  

 『当機は、まもなく、ランパーク王国上空に到着します…ウサ』

 機内放送が入った。

 

 しょせん、隣の国なのだ。

 馬車ならいざ知らず、『揚陸艇ようりくてい』だから、すぐについてしまう。

 思えば、ほんのひとときの邂逅かいこうであった。

 オレは、こころの中で、17の華々に別れを告げた。



 ちなみに、今、操縦関係は、すべて、ウサギの魔物さんが担当している。



 「ジュンくん、ジュンくん…、なんだかドキドキするね」

 セーラは、相変わらず、楽しそうだ。


 ほかの女の子たちは、みんな緊張していた。


 無理もない。

 『人質にされる』かもしれないのに、わざわざ乗り込んできたのだ。


 「みんな不安そうだね…」

 クレアが、まわりを見回して言った。

 

 そうだな。

 これは、よくないと思う。


 この、『ランパーク王国』は、大きな湖もあって、風光明媚ふうこうめいびなところらしい。

 せっかく、来たのだ。楽しんでほしいものだ。



 「エッグは?」

 オレは、そばにいた、『千夏ちなつ』に尋ねた。

 ツインテメイドの名前だ。


 「まもなく、湖上空に、到着しますわ……、だんなさま」

 『千夏』も、学院の制服を着ている。

 この「交換会」が終わったら、オレのクラスに入る予定だ。


 「ねえねえ、あのきれいな子、新しいお嫁さんじゃない?」

 「このあいだの、ポニテの子とはちがうよね…」

 「さすが、『ハーレム使徒さま』だね」

 そういって、クスクス笑っている。


 ちょっと、元気になったようだ…



 「みなさん、ちょっと聞いてください」

 こんどは、制服姿の『千春ちはる』が、みんなに呼びかけた。ポニテのメイドだ。


 女の子たちが、『千春』に注目した。

 『千夏』が、オレに、目で合図をした。到着したようだ。

 

 「窓から、外を見てください」

 

 みんないっせいに、窓から外を見た。

 まるで、ガイドさんの説明を聞く、修学旅行生のようだ。

 まあ、オレは、行ったことがないけれど…… 


 「「「「「「えーーーーーっ!」」」」」」」

 「「「「「「何なの、あれっー!」」」」」」


 湖の上空に、エッグが浮かんでいる。

 この湖は、向こう岸が、かすむほど大きい。

 さすがの、巨大エッグも、湖のなかに、すっぽり収まっていた。


 しかし、

 

 それでも、見上げた先に、視界をおおうほどの卵が浮かんでいるのだ。

 女の子たちは、まじまじと見上げていた。


 これから、

 「あちらのエッグの、格納庫に入ります」

 「お分かりになるかと思いますが…」

 千春は、いったん、ことわりをいれた。

 

 「万が一、この国と戦争になっても、あのエッグ内に居れば、なんの心配もありません」

 もちろん、戦争などする気は、ありませんが…


 「はい、はーい!」

 ここで、セーラが、手を上げた。


 「あのエッグには、『主砲』とかついてないの?」

 物騒な質問だった。

 

 こんどは、千夏が、困ったように言った。

 「ありますけど……、使えません」

 

 「どうして、使えないの?」

 クラスの女の子だった。こういう話が好きらしい。

 

 「……はい」

 千夏は、さらに困ったように、つぶやいた。

 「使うと……、おそらく、この大陸ごと消滅しますので……」

 スフレ帝国も、いっしょに消えてしまいます。

 大口径の、荷電粒子砲らしい。


 「「「「「「「「「……ま、まさか」」」」」」」」」」


 にわかには信じられないといった顔だった。


 みんなのようすを見て、千春が、付け足した。

 「…あっ、でも…」

 

 主砲が撃てないと聞いて、きっと、不安になったのだろう。

 いまは、みんなを安心させてあげないといけない。

 千春は、そう思ったようだ。


 「この国を更地さらちにする程度なら、小型のレーザー砲で十分ですから…」

 安心してくださいね…

 そういって、にっこりと微笑んだ。


 「「「「「「「「「……そ、そうなの」」」」」」」」」」


 みんな、いっそう緊張したような気がしないでもないが、 

 いちおう、エッグの防御力と戦闘力は、わかってもらえたようだった。



 

 

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