第141話 キケンすぎるよ!
オレのクラスには、もともと、20名ほどの学生がいた。
そこに、
①『オレ』と
②『クレア』が加わり、
合計22名となった。
しかし、
例の『決闘事件』で、クロードたち5名が姿を消した。
これで、合計17名となったが、
③『セーラ』が、隠れている必要がなくなり、
オレも含めて、合計18名となった。
セーラは、外見だけなら、セシリアたちのクラスだろう。
しかし、いちおう女神である。
身長と、胸部の薄さで、クラスを決めるのも、馬鹿げていた。
それなら、ということで、オレのそばにおくことにした。
これは、オレも、最近、わかったことなのだが、
驚くべきことに、もともと、このクラスには、クロードたち5名しか、男子はいかなったのである。
ま、まあ……、いままでは、気がつく機会がなかったのだ。
し、しかたがないだろう。じつに、不可抗力というものだ。決して、ご都合主義ではない。
…ということで、
いま、オレの目の前には、17の美しい華が咲き誇っていた。
17の華は、窓から外を眺めようと、窓際のソファに膝立ちになっていた。もちろん、やや前かがみで、こちらにお尻を向けている。
『揚陸艇』は、『旅客機』と違って、窓を開けることができる。
……っていうか、このたび、改造してもらった。
…………
ひゆぅぅぅぅーーーーーーーーーっ
一陣の風が吹いた。
…………
それは、いたずらな風の、贈り物……だろうか
17人の美少女たちのミニスカートの裾が、ドミノ倒しのように、さわやかに舞い上がってゆく……
「「「「「「「「「「きゃっ!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「もうっ!」」」」」」」」」」
背中まで、露わになった美少女たちが、恥ずかしげに、裾を引っぱりおろした。
その、かず……、十と七……
『はうっ!』
オレは、押し寄せる感動のあまり、心臓が止まりそうになった…
おおっ、なんて危険なパースペクティブ!
…………
短い時間ではあったが、その後も、オレは、幾度となく、心停止の危機に、歓喜した。
『う、うぐぅ!』
…………
「まさか、ここまで、喜んでいただけるとは思ってなかった…クマ」
「がんばった甲斐があるというものです…ミノ」
クマの魔物さんと、ミノタウロスさんの目に、ひと粒の涙が光った……
彼らこそ、この『揚陸艇』のリビングを改造した匠であった。
「みんな女の敵ニャ!」
ライムが怒ってた。
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また、いつものように、時間はさかのぼる。
「『交流交歓会』ですか…?」
オレは、学院長に聞き返した。
「そうなんじゃ」
学院長が、教えてくれた。
年に一度、ひとクラス、まるごと
「出かけて行くことになったのじゃ」
まあ、始まったのは、今年からじゃがの…
そんな行事ができたのか…
「まあ、目的のひとつは……」
「間違いなく、ジュンくんだろうね」
騎士団長も来ていた。
「オレ……ですか?」
ランパーク王国の大使も、『軍事演習』に招待していた。
「まあ、招待しなくても、密偵を何人も送り込んできたろうがな…」
賢帝まで、来ている。
ちなみに、『ランパーク王国』とは、隣の国のことだ。
緩衝地帯で『軍事演習』とやらを繰り返していた『軍事国家』だ。
「あの日をさかいに、『軍事演習』もぴたりとやめたわ」
それまでは、ずいぶんと頑張っていたくせにね…
赤髪のきれいな宮廷魔道士長、テレーズさんだ。
あっちの国王も、上層部も、
「実際にジュンくんを、見たくてしかたがないんだよ」
騎士団長のロベールさんが、オレを見ながら言った。
学院長が続けた。
「見ないと、不安でたまらんだろう」
そういうもんじゃよ……
「そうだな…」
賢帝が、静かに語り始めた。
まず、
①『どんな人物か、友好的か、敵対的か……確かめる』
その上で、
②『可能なら、取り込む。たとえば、女をあてがうとか…な』
それがだめなら、
③『暗殺する』
どんなに強大な力の持ち主でも、隙きのひとつくらいはあるからな。
「今回は、クラスごと招待するから……」
「人質をとることも可能だろうしね」
騎士団長が、ことばをつないだ。
「そこまで、わかっていて…」
「どうして、『交流交歓会』を受け入れたのニャ?」
とうぜんの疑問だった。
「危険すぎるニャ…」
ここで、セーラも加わった。
「ボクも、そう思うよ!いくら何でも、キケンだよ!」
「そんなとこに、ジュンくんを行かせちゃだめだよ!」
いつになく、真剣だった。
「セーラ……」
そんなに、オレのことを心配してくれてい……
「だって、また、『新しい女』が増えるかもしれないんだよ!」
いまに、三桁、いっちゃうかもよ!
くっ…、
そっちの心配か!
まだ、十人ちょっとじゃないか。三桁はないだろう!
オレは、心で叫んだ。
「そうなのか…?」
最近、『シャルはやらん!』と言わなくなった賢帝が、心配そうに、オレに尋ねた。
なんで、こっちの連中は、こうも、神様系に弱いんだろう…