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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
帝国魔法学院(スフレ帝国)編
117/631

第117話 船が欲しいのじゃ



 「「「「「かわいいーーーーっ!」」」」」


 女性陣には、人気のようだ。

 

 オレには、少し物足りない気もした。

 しかし、いろんなものがごちゃごちゃついてるより、すっきりしていていいと思った。

 なんとなく、どんな攻撃でも、はじき返してしまうような頼もしさを感じた。


 そんなことを思いながら、巨大タマゴを見上げてていた。もちろん、ホンモノのタマゴではない。

 そんな形をした船、スペースシップだ。




*****************



 また、時間はさかのぼる。



 「船がほしいのじゃ…」


 昼休みの学院を、のんびり歩いていたときだった。

 とつぜん、シャルが、おねだりを始めた。

 この、自制心の強い子にしては、めずらしいことだ。


 それにしても、


 『船がほしい…』とは…、お風呂で遊びたいのだろうか…

 オレは、知る人ぞ知る、アヒルの容姿をしたファンシーなグッズを思い浮かべた。


 「わたしからも頼む」


 どこからともなく、女の子が湧いて出てきた。

 銀髪のかわいい子で、シャルよりすこし大きい。

 こいつも、『例のアヒルシップ』が欲しいのか…?


 「おともだち…?」


 シャルに尋ねてみた。


 「………」


 シャルは、困った顔で、首をふっている。

 ちがうようだ。


 「このままでは、死ぬ…」

 銀髪美少女が、ぶっそうなことを言い出した。

 顔は、真剣だ。


 …ふむ、ここは、率直に尋ねよう。


 「どちらさまで…?」


 「がーん!」


 銀髪美少女が、叫んだ。

 うろたえているようだ。

 『芸人系』の子なのだろうか。美少女なのに…


 「ハーレム男に、存在を否定された…」


 ひどいことを言い出した。

 顔は、いいのに、口は、わるいらしい。


 …あっ


 このアンビバレンツな形容で、思い出した。


 「ああ…、きみは…」


 「ふんっ、やっと…か!」


 ドヤ顔で、薄い胸を張りだした。


 「オレの魔法で、漏らした子!」


 「くっ…!ララのこと、『恥部ちぶ』で、記憶してた!」

 「やっぱり、ララ、みさおがピンチっ!」


 おびえたように、後ずさりしていた。


 「ううっ…」

 横で、シャルが困っていた。

 「とても、話についていけないのじゃ…」

 

 

 「まったく、そのとおりだわ…」


 また、別人が登場したようだ。

 

 赤毛の美人さん、テレーズ宮廷魔導士長だ。

 例の黒いローブを着て、銀髪の隣に並んだ。


 そうか…、


 今日の銀髪は、学院の制服を着てるから、わからなかったのだ。

 見れば、すらりと伸びた脚に、ミニがよく似合っていた。

 小柄だが、頭も小さいから、アイドルレベルに整って見える。


 「ひっ…!」


 オレの視線で、さらに、後ずさりした。

 あいかわらず、異常に鋭いやつだ。


 「ララも、いちいち反応しないの!」


 テレーズさんが、あきれていた。

 ふっ、上司に叱られたようだ。


 「ジュンしゃまも、ほどほどにしたほうがいいのニャ」


 ライムに言われてしまった。


 ライムも、セーラも、もうリュックに隠すのはやめていた。

 軍事演習で、もうみんなに知られているのだ。

 それも、『五人まとめてお嫁さん』報告もした。

 いまさら、隠しても意味はない。


 セーラは、リュックにいたころから、学院の制服を着ていた。制服だけでも、いっしょのものを着ていたかったのだろう。思えば、かわいそうなことをした。


 セーラは、この世界の人間には、何故か、ひと目で女神とわかるらしい。

 でも、オレには、ふつうのかわいい女子学生しか見えなかった。


 「ジュンくん、ジュンくん…」

 「そんなに熱いまなざしを向けられると、ボク、恥ずかしいよ…」

 制服姿で、くねくねしながら、言い出した。


 これが…、噂の…、


 「『コスチューム・プレイ』なんだね…」

 

 ………


 ………


 「セーラちゃん、学校のなかで、それは『禁句』なのニャ…」


 ライムが困っていた。


 ライムには、意味がわかってるのだろうか。

 いったい、どこまで、日本のサブカルに染まってしまったのだろう。


 それにしても、


 セーラを、リュックから出したのは、間違いだったようだ。




 

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