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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
ミルフィーユ(シャーベット王国)編
11/631

第11話 その頃、王城の一室で…

読むのも楽しいけど、たとえ、へたくそでも、自分で書くのは、楽しいです。



 「例の件は、すべて手はずどおりじゃろうな」

 

 「…はい。これで、第八王女は、護衛の騎士はおろか。馬車の一台も用意することはできなくなっております」



 「そうか…」


 老人は、満足そうな笑みを浮かべた。


 「…で、冒険者ギルドの方はどうなった?」

 


 「はい、やや無理をいたしましたが、ギルドマスターからも、護衛依頼を受けないとの承諾しょうだくをとりましたが、ほんとうによろしいのですか?」


 報告をしていた中年の役人のまなざしには、老人をとがめるような色が浮かんだ。

 それが可能なだけの地位と実績が、彼にはあるらしい。



 「ふん、かまわぬ。ようやく、こちらも孫娘の力で『勇者』を得たのだ。冒険者ごときに、大きな顔をさせるつもりはない」



 「…いえ、わたくしが申し上げたいのは」


 今回の第八皇女の処分は、あきらかに『やりすぎ』ている。とうぜん前例すらない。

 そもそも、勇者召還に失敗したからと言って、それを罪に問うようなまねをすれば、優れた魔道士たちほど召還を忌避きひするようになるだろう。


 その上さらに、権力にものをいわせて、第八皇女を追い詰めるようなまねをすれば、民ばかりか。貴族にさえ反感を買うのは目に見えている。



 「ふん…。お前の言いたことくらいはわかっておる」

 

 しかし…と、老人は、得意げに言った。


 「ここで手をゆるめずに、とどめを刺しておくことこそ肝要。あの小生意気な先代の勇者も帰還することだしな」




 役人は思った。 


 その勇者に、都合よく二度までも頼ってきたのは、どこの国の宰相だったのか。

 気に食わぬ相手であろうと、恩を忘れることは、矜持きょうじにかかわることであろうに。


 もとより彼は、今のこの老人に、諫言かんげんに耳を傾けるだけの器量を期待してはいなかった。


 それでも役人は、宰相が言った『とどめ』ということばの意味を察して、つくづく『愚かなことをするものだ』と思った。


 この老人は、権力の絶頂にあって忘れてしまったらしい。

 この世界には、『神』という絶対無比な存在がいることを。


 そして、第八皇女が、まごうことなき『聖女』であることを。






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