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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
帝国魔法学院(スフレ帝国)編
103/631

第103話 じゃあな…

すこし短いです。

きりのいいところで、切ったほうが、わかりやすいとおもったので…



 「いいか、ドラ公」


 人の上に立つってのは、ほんとうに大変なことだ。

 ダンジョンの場合は、魔物だが、まあ、似たようなもんだ。

 

 そんな重責を担うのは、誰だって嫌に決まってる。


 そんなのを、ほいほいやりたがるやつは、まず、ロクなやつじゃねえ。でなければ、大英雄だ。


 大英雄なんざ、めったに現れるわけがねえのさ。


 …ってことは、自分から人の上に立ちたがる野郎は、まず、ガキみてえに、ただ、欲しいものを手に入れたがるだけの無責任な野郎だ。

 

 だから、『ダンジョン・マスターなんて、お断り』ってヤツじゃねえと、安心して、ここを任せることなんてできねえのさ。

 

 なるほど…、理由は、理解しました。


 でも、「断られたら、どうしようもないのでは…?」

 わたくしは、訪ねずにはいられませんでした。


 ………


 主任さんは、少し、考えて、


 「ああ、どうしようもねえな…」


 ………くっ

 

 わたくしは、無性むしょう罵倒ばとうしたくなる衝動をおさえて、尋ねました。


 その時は、「どうすればよいのですか?」


 すると、主任さんは、にっこりと笑って、こう言いました。


 「誠意をもって、頼みに頼んで、引き受けてもらうしかねえよ」

 人の『心』を動かせるのは、やっぱ、『心』しかねえからな…

 『策』で、どうにかなるもんじゃねえのさ… 




 「じゃあ、ドラ公、あとのことは頼んだぜ」


 主任さんは、あっさり、そう言って、文字通り、消えていきました。


 死んだのではありません。


 転移したのです。


 彼らが、生まれ育った惑星へと…

 

 ………


 最初は、


 「わたくしたちも、連れて行ってはくださらないのですか」


 そう尋ねたものでした。


 でも、主任さんは、しずかに首を振って、


 「俺たちだって、ほんとうは、帰りたくねえんだ」

 だが、『立場』ってもんがあってな、『責任』からは逃れられねえのよ…


 そんなところに、

 「おめえらを連れて行っても、ロクなことにはならねえ」

 ここで暮らしたほうが、ずっと、幸せになれるだろうよ…

 

 そんなふうに、言われたら、返す言葉もありません。

 主任さんは、ぜったいに、嘘はつかない方でしたから。



 それから、おめえらに、なにか『連絡』をとることも、もうねえからな。

 あっちで、それをやると、簡単に『探知』されちまう。

 見つかれば、きっと、おめえらを利用しようとするだろう。


 だから、ほんとうに、お別れになる。

 尋ねてえことが、あったら、今のうちに、しっかり聞いておくんだぞ…


 ………


 そんなふうに、最後まで、わたくしたちのことを心配してくださる方でした。

 

 ………


 ………

 

 ……さようなら、主任さん


 わたくしたちを、造ってくださって、ほんとうに、ありがとうございました。


 ………


 わたくしは、目からオイルが漏れそうになりました。


 ………


 「…ああ、そうだ、ドラ公」

 忘れるところだった……と、また、主任さんが出現しました。


 おめえが、スクラップにされたら、『真のダンジョン・マスター』に、このダンジョンを管理してもらえなくなるだろう。『真のダンジョン・マスター』を任命できるのは、おめえだけだからな…


 かといって、おめえが潰された後、万が一にも、頭のおかしなやつに、ココを利用されるわけにはいかねえ…


 だから、このダンジョンは、『自爆』することになってるからな…


 「あっさり、潰されるんじゃねえぞ…いいな!」


 そう、告げて、今度こそ、ほんとうに、消えてしまいました。


 …………


 …………


 「なななななな…、なんですってぇーーーー!」

 『自爆』の二字を聞いて、お別れの寂しさも、吹き飛びました。


 …………


 …………


 でも、


 まあ、


 わざと、最後の最後に、『自爆』の件を伝えたのでしょう。

 口は、悪いけれど、ほんとうに、やさしい方でしたから…




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