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お嫁さん&魔物さんといっしょに、ムテキな異世界生活  作者: 法蓮奏
帝国魔法学院(スフレ帝国)編
100/631

第100話 おなかがいたくなるのじゃ

いま、書き終わりました。

じつは、きのう、「Win10」移行も含めて、部屋のPCの構成?を、徹夜で変更しました(笑)。

これで、ようやく一段落したので、ほんとうに、ほっとしています。

今回で、第100話になりました。あいかわらず「なかずとばず?」なので(笑)、なにか、あがく程度のことは、しなくちゃいけないのかなと思います。これからちょっと、考えてみます。

今回も、お読みいただき、ありがとうございます。


 騎士団長の話は続いた。


 いくら街がうるおうためとは言っても、

 「治安が悪化しては何にもならないからね」


 ここは、賢帝の治める帝都なのだ。


 ごくふつうの市民が、安心して、日々の生活を楽しめるような都市でなければならない。短い期間とはいっても、無法者におびえて暮らすようなことがあってはならないのだ。

 

 そこで、街なかの巡回を強化するために、オレのちからを借りたいとのことだった。

 オレ自身というより、むしろ、オレの『知り合い』のちからを借りたいのだろう…


 まあ、ようするに、『しっかり治安を守った上で、がっちり儲けよう』という、はなはだ都合のよい計画だ。


 これが、騎士団長の、ひとつめの依頼だった。




***************




 「こっちだ!急げっ!」

 騎士団長が、建物の陰に駆け込んだ。

 二人の兵士も、たちまち追いついて、物陰に突入していった。


 オレたちも、足を速めた。

 このあたりは、人影もまばらだ。街の人をおびやかすこともない。


 「また、よろしく頼むね」

 オレは、ケルベロスさんに、声をかけた。


 大きな頭がふたつ、こちらを向く。

 「ほっほっ…、承知しておりますぞ」

 「ふむ…、コツは、つかめてきましたのでな」

 笑顔?で応えてくれた。


 なかなか楽しんでいるようだ。


 「ZZZZ…」

 真ん中の頭は、相変わらず、寝ている。


 さぼっているわけではないそうだ。

 こうして、交替で睡眠をとるらしい。


 「みなで、起きておっても、することがありませんのでな…」

 「…ふたりも、起きておれば、じゅうぶんなのですぞ」

 まあ、いままでは、畑を耕したり、羊を誘導したり、そんな毎日でしたからな…

 ふたりの頭が、しみじみ語っていた。


 

 騎士団長たちの後を追っていくと、建物の陰から、定番チンピラ風のしゃべり声が聞こえてきた。


 「オイオイ…」

 「道を訪ねちゃ、いけねえっていうのかよ」

 「そうだ、そうだ…」

 「騎士さまだからって、横暴すぎじゃねえのか」


 なかなか定番の開き直りだったが、

 

 「こういうのを、食券乱売っていうんじゃね」

 「おお、そうだぜ!」

 「そのとおりだぜ!」

 「おめえ、いいこと言うぜ!」

 わが意を得たりと、パチパチ拍手しはじめた。

 

 …………

 

 なるほど、気の毒な若者たちのようだ…


 …………


 「じゃあ、よろしくおねがいします」

 オレは、ケルベロスさんに、ぺこりと頭を下げた。


 ふたりの頭は、しずかにうなずくと、建物の陰に入っていった。


 「がるるるるるるるるるるるる…………」

 「ぐるるるるるるるるるるるる…………」

 「ZZZZ…」


 低い低いうなり声が、あたりに響き渡った。

 地面が揺れている感じすらする。

 腹の奥底まで、ぐいぐい響いてくる声だ。

 便秘がちな人には朗報だろうか。

 

 「「「「「「「ひいいいいいいいいっ!」」」」」」」


 若者が、悲鳴をあげながら、建物の陰から飛び出してきた。七・八人は、いた。

 明るいうちから、かなり酒を飲んいたのだろう。ひどく酒臭い悲鳴だった。

 こんなに、簡単に逃がしたのだ。

 おそらく、まだ、未遂みすいだったのだろう。 



 建物の陰に入っていくと、女の子がふたり、へなへなと地面に座り込んでいる。ケルベロスさんを見て、震えていた。

 恩知らずと、言えなくもないが、無理もないことだった。

 大の男が、悲鳴を上げて逃げ出す迫力なのだ。


 オレは、リュックから、シャルを出した。


 シャルは、少し前に、ケルベロスさんから、じっくり抱きながら降ろして、リュックにしまっておいた。

 ケルベロスさんのことは、ひと目で気に入ったらしいが、


 「あの声を聴くと、おなかが痛くなるのじゃ…」


 そういって、おなかを押さえているので、亜空間で待機させることにしたのだ。お尻を洗うトイレもあるしね。


 リュックから飛び出ると、シャルはすぐに、女の子たちに駆け寄った。自分の役割をしっかり理解している。賢い姫さまなのだ。


 「もう、大丈夫じゃ!」


 「シャルちゃん…」

 「姫さま…」

 シャルのかわいい声を聴いて、ふたりの女の子は、ほっとした顔になった。


 衣服に乱れたようすはない。間に合ってよかったと、しみじみ思った。


 女の子たちは、シャルと同じ制服を着ていた。オレと同じ年ごろの学院生だった。もしかすると、同級生?かもしれない。


 あのかわいい制服に、ミニスカートは、狙われやすいのだなと、あらためて思った。

 何としても、あのミニだけは、守り抜かねばならない。オレは、この依頼に、かすかだが、使命感を覚えた。



 連中が『道を訪ねた』のは、本当らしい。

 だが、そのまま、大勢で周りを取り囲んで、この建物の陰まで、連れ込んだという。

 計画的な感じもするから、捕まえるべきだったかもしれない。


 ………


 ああいう連中まで、牢屋に入れてしまうと、

 「すぐに牢屋が満杯になってしまってね」

 オレの考えていることを察したのか、騎士団長さんから話しかけてきた。


 でも、これだけ、恐ろしい目に遭ったのだ。

 「しばらくは大人しくしてるだろうさ」


 それに、これからは、

 「街中で頻繁に、ケルベロスたちを目にするだろうしね」


 ふと、目をやると、シャルといっしょに、ふたりの女の子たちも、ケルベロスさんを撫でていた。

 恩知らずのままにならずには、すんだようだ。

 シャルは、幼いながらも、なかなかに、気配りのできる姫様だった。




 巡回協力の依頼を受けたとき、ドラマの『警察犬』を思い出した。

 それで、ケルベロスさんに頼んでみたのだが、やはり、当たりだったようだ。 

 こうして、『帝都巡回ケルベロス部隊』が誕生した。


 のちに、彼らは、『帝都の守護神』とも呼ばれるようになるが、これはまた別の話だ。


 


 「ほっほっ…、みな、帝都観光に行けると、大喜びですぞ」

 ケルベロスさんたちも、楽しみにしているようだ。

 まちがいなく、巡回程度には、『オーバースペック』の戦闘力なのだ。

 観光気分でも、大丈夫だった。

 



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