王女はどこでも美少女なのか?
「どわははははははは!! 美味いぞー! 美味いぞー! 」
ワルフが、ただただ喧しい。
晩餐に出た酒は芋で作った焼酎だった。
野獣国で取れる芋は旨味と甘味があり醸造すれば甘さと旨味がある芋焼酎になるという。
俺はまだ未成年だから飲まないけどね。
野獣国にいる大人の獣人男女は酒に目がない。
消費者が多いので、芋の市場は活発になり職人は切磋琢磨しながら良い酒を作るので素材の芋を使いまくる。
それが何年も続き酒呑み人口比率が多い野獣国の農耕は芋だらけになる。
「いやーホンマに困ってるんですわ…… 市場も魔物の肉だらけでしたやろ? 野菜はあんまり作らんから、家庭菜園規模しか葉物野菜が無いんですわー! 」
だから市場も肉まみれだったのか…… というか断定して話しているという事は市場に行った時にはもう俺への監視がついていたのか……
「芋酒! 肉! これは胃袋がいくらあっても足りんわい! 」
ワルフには食事のマナーをもう少し学んでもらわないといけないな……
「おっちゃんホンマよぅ食べはるなぁ…… 」
「すみませんプリンセス…… 」
晩餐には国王の娘が参加していた。
「本当は王子がいれば良かったのですが…… 魔物との戦いで自然に還ってしまいまして…… 」
そう言って頭を下げてプリンセスの紹介をされた。
国王その言葉はメシ食う前には止めて欲しかったです!お亡くなりになったという事ですよね!?
天国ではなく『自然に還る』という表現に神信を主とする宗教観ではないんだな…… いるんだけどね神様は。
たぶんまた今も覗き見してると思う。
──────正解じゃ蝶野くん!
神様!? 今、神様の言葉が絶対に聞こえた気がする!
野獣国のプリンセスの名前はアイ…… マカミといい和名に近いな……
睫毛が多く目が大きい狼の耳がある美少女だ。
着物っぽい服だが…… 本当にこの星に日本人が過去にいたんじゃないか?
「しかしワルフはよく呑むな…… 王城の酒はたぶん値段が高いから考えろよ…… 」
「いやシノ様、この程度の酒量ならさっき渡したお土産で十分にお釣りが出ますわい!! 」
ほら!国王がムッとした顔をしてる!
ゴンとワルフの頭を軽く殴る。
「コラ!さすがに失礼だぞワルフ!」
「いや本当じゃて…… シノ様が作った靴に履いて装備するスパイクは、あと100年もしたら伝説の補助防具と言われとるじゃろうよ!こんな酒なんかじゃのぅ…… 」
ペッチャペッチャとスペアリブを食べながらワルフは笑う。
…… 殴ってまでしたのに…… 酒を飲む手も暴言も止めないだと……
「シノさんが作ったってホンマかいな…… ほしたらちょっと証明してもらいましょうか?」
あーあ国王が怒った……本当に不敬罪で収監されるんじゃないか?
☆★
「これで装着は大丈夫なん? 」
俺の作ったスパイクをアイ王女が装着する。
場所は王城に隣接されている鍛錬場というかグラウンドだ。芝が凄いお昼寝とかフリスビーしたい感じすらある。
広さもサッカー2試合が同時に余裕をもってプレイ出来る程の広さがある。うん、広いね。
国王お付きの兵士によると、王都の国民がもしもの時に避難できるように広く作られているらしい。
しかし普通、こういう新しい武器や防具ってのは新人兵士とかが実験台になるものなんだが…… 獣人は好奇心が強いようです。
「えっと、じゃあ実験は兵士のかたに「なんでなん? 楽しそうやしウチがやるわ! 」
とスパイクのお披露目の選定に食い気味で王女が実験台に進み出たのだ。
王女は短いスカートなんだけどいいのか?
アヘミクレヘンのスパイクを装備した王女は足を地面にトントンと踏み鳴らし感覚を確かめる。
「確かに走りやすくはなるやろうけど、それだけやん…… ちょっと見栄張りすぎやと思うわ」
ちょっと期待外れといった表情で軽くジョギングしながら王女は口を尖らせる。
「違う!違うぞい王女さん! それはシノ様が作ったアヘミクレヘンという金属を使ってるんじゃ! 魔力を流しながら走って下せぇ! 」
あ! ワルフめ! アヘミクレヘンを教えやがった!
「ほぉおぉ?アヘミクレヘンでっか…… 」
国王も顎を撫でながらアヘミクレヘンというについて考えている。
「そっか…… 魔力を足に流して…… 靴に……!!? 」
王女がイメージしながらスパイクに魔力を流すとアヘミクレヘンが魔力に反応して真っ赤に光る
「お父さん! これ! 」
ビックリした顔で王女は国王を見る。
「そうじゃ! 赤い光って事は火の魔法を流したようじゃな! それで走ってみてくだせぇ」
ワルフが酒を飲みながら大声で広い場所へ、あっちに向かえという風に指差す。
「これで…… 走る…… 」
ニャーっと笑った王女はシッポを嬉しそうにフリフリ振って国王を見る…… まぁ!楽しそうですこと!
国王が真剣な顔で頷くと王女はクラウチングスタートのポーズでパンツ丸見えにへへへへ…… 獣人のシッポってパンツからああやって出ているんだ……
…… 王女は思いっきり一歩目を跳んだ!
ドゴッ! と踏み抜いた地面が捲れ炎が上がる。
「おお! 」
思わず国王が声を上げて王女を目で追おうとするが見当たらない。
「アイ! どこだ! シノこれは失敗か!? アイが消し飛んだぞ! 」
「いえ国王様…… 王女はあそこに…… 」
王様の歯こぇぇぇ…… 狼の獣人さんの怒り顔ってこええよ……
俺が指差した方向に王女がいた。
ワルフが走る方向を促した場所らか、なりズレているな。王女はおそらく魔法の循環がとても下手なんだろうな……
たった一歩で100メートル以上の距離を跳んだようで王女も驚いて自分の履いたスパイクを確認している。
「シノさん…… これは本当に酒代だけではお釣りが来まっせ…… 」
スパイクの性能に気付いた国王が苦笑して呟く。
「そうじゃろう! シノ様の住まいオーディーではもっと色々な発明がシノ様にされとりますわい! 」
がはははは!とワルフは笑う。
「ほぉぉ、ほうでっかぁ…… 」
国王さん、目つきが悪いですよ?
しかし、お喋り魔人ワルフは健在だなぁ……
あ! 王女がテンション上がって走り始めた……
「うわー早い…… 」
王女は、地面を踏ん張りだけで爆破しながら、凄いスピードで縦横無尽に駆けている。
「おーい! アイ! そのスパイクで人形を蹴ってみてくれ! 」
国王の言葉を受けて王女が鍛錬場にある人形を蹴ると人形はバラバラに砕け飛びながら燃えカスに変わる。
「シノさん…… これ本当にあんさんが作ったんでっか? 」
国王が驚愕の顔色で俺を見る。
「正真正銘、シノ様が作ったわい!」
ワルフが質問を横からブツ切ると国王は今も暴れている王女を見て何かを考えだしてしまった。
あーやらかしたかな? やっぱりワルフを瞬間移動でミナールの港町に戻してしまうか……
☆★
「あーーーー! 楽しかったー! 」
王女が清々しい笑顔で国王の元に戻って来た。
「ちょっと神経質過ぎて制御が出来ない所があるけど、このスパイクはホンマに凄いわ! ウチ、これを大切にするからな!」
これ、王女が自分の物にする感じだわ…… 国王も苦笑しているし王女専属補助具になるのかな……?
「制御が出来ないのは、循環の魔法が拙いからじゃわい! シノ様に鍛えてもろうたらどうじゃ? ほら、あのー…… キュレネちゃんと毎日していたマイムマイム訓練をしたらどうじゃ! 」
「マイムマイム訓練? 」
アホのワルフが要らない事を言い出す。
「マイムマイム訓練は…… 循環の仕方を学ぶにはいいんですが…… 向き不向きがありまして…… 」
「シノさん、娘は魔法制御が確かに満足ではないのでパワーアップの可能性があるなら施術してくれへんかな? 」
「ウチからもよろしく頼むわ!シノ!」
ああ…… やるのかマイムマイム…… 狂わないで下さいよ王女様……王女の両手を取り合う。
「なんか恥ずかしいなぁ…… ホンマにこんなんでええん? 」
「はい! 少し体が熱くなりますが拒否せず受け入れて下さいね!」
いつも通りに、クルクル回りながら魔力を俺から王女へ王女から俺へと繰り返し循環させる。
「あぁ…… なんなんこれ…… めっちゃきも…… ち…… ええんやけど…… くうぅぅん…… ああぁ気持ちいい! あ! 止めんといてお願いや! 」
王女の甘い声に国王の顔が引き攣る。そりゃあ娘のエロい声とか耐えれないだろうな。
王女はもう一回…… もう一回と縋り付いて……
国王はだんだんと真顔になり……
ワルフは馬鹿笑いをしながら俺を指差している……
あー本当にオーディーの町に帰ろうかな…… 一度帰ってから、来年にまた旅にでようかな……
「これから毎日、マイムマイムしてーや? ええな? 」




