実戦!
─────さてはて!はい!シノーンです!
そろそろですね、実戦をしてみようかと思います!
今日はキュレネが母さんに引き摺られるように、お昼から買い物に出かけたのを確認してから、超能力で空へあがり近くの森の上空から見下ろす。
「キュレネ…… 魔法訓練に一緒に来たがっていたんだろうな」
引き摺られるキュレネのジトっとした目を思い出して苦笑すしながら魔物を探す。
できたら人型の魔物は嫌だな…… でもこの星で生きるなら何かを殺すのは覚悟しないといけない。
神様との約束は極論"魔"のエスニッククレンジングだ。嫌な言葉だな殲滅とか。
でも神からの願いなんだ、殺さずに済むはずがない。
「ミノムシ的なの来い、虫的なの来い、できれば……
」
殺すなら初めて目についた物を!と考えて探す。命の選別とかが自分自身で怖かったからね。
「あーゴブリンかぁ……」
眼下に広がる森にゴブリンが二匹歩いている。
見つけたのが人型かぁと血の気が引くのを感じるんだけども。
「村の近くにゴブリンとか…… ホントにどうなってるの?」
この星の魔物は地球にある物語にあるものばかりだ。
神様はこの星の内容を娯楽として地球に伝えたのだろうか?
…… とにかくゴブリンだ。家族が住み暮らす場所の近くに魔物がいるって本当に嫌だ。
なんかいつ災いが来るか分からないような不安感がある。ただ人を殺して食う事を考えている生物なんて犯罪者よりある意味でタチが悪い。
とりあえず肉弾戦はまだ子供だから無理だな……
「じゃあ、このまま上空から!!雷よ!!」
ピキピキッ!バジャ─────ンン!!
大気中の静電気が弾け、埃や水蒸気や空気中の水分に反応しながら魔力で出来た雷が、ジグザグに俺とゴブリンの間を縫い付けて光が走る!!
ズズンッ!ズスゥゥゥンッ!!
雷が地面に貫通したかのような低い音が光の後から聞こえ…… 後にはゴブリン二匹が雷に貫かれて倒れていた。
「こえぇぇ……」
自分の魔法の威力に驚き畏怖しながら、死んだゴブリンを近くで確認しようと飛行高度を下げる。
「うっ!おええぇぇ…… ゲホッうっ…… 」
飲み屋の前で我慢出来ずに吐いちゃったオジサンのよいな立ちゲロをしてしまう。
うーこれは……かなわんなぁ…… グロいし人型の生物を殺した罪悪感からかムカムカが止まらない。これ、なれなきゃならんのかいな?
そんなゴブリンの死体から魔力が流れ出る!え?生きているの!?
思わず構えてしまったけど、その流れ出た魔力が俺に吸い込まれる。皮膚に吸い込む感じ?なんだコレ大丈夫か?
「これは……なにか体が一段階強くなったような??」
──────シノは分からないのも無理はない。この星の生物はミトコンドリアと同じに魔素が進化の段階に混入してしまったのだ。
ミトコンドリアは生きていた宿主が死ぬと一緒に朽ちる運命にあるが、魔素は死体を抜け出しつより強くあり続ける為に新たな宿主を探す。
この世界では魔素には意識がないが川が上流から下流に流れるような自然現象として、常識として認識されている。
これがこの星のレベルアップの仕組みである────
「体の調子も前より大分良いし…ゲェェ」
あぁ…… またゴブリンの死体で吐いてしまった…… まだ慣れるのはムリだわ。とにかく移動しよう。
服の胸の部分にちょっとゲロがついているのに気づき
凹みながら一度、空に上がってから村に戻った。
帰って兄がいなかった為にキュレネがプンプン怒って怒られまた凹んだ。
そして、母さんに服ゲロがバレてまた怒られて、ついに泣いて布団にダイブしたよ。本当になんなの?こんな感じで精神まで鍛えたくないよ!
翌日からキュレネが見ていない時は暇さえあれば短距離瞬間移動で移動して魔物狩りを続けていき体と魔力のパワーアップを進めた。
順調!順調!
しかし超能力は本当に便利!
魔法世界に来てより一層に感じるわ!そのまま使わせてくれる神様に感謝!