表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/167

二チャリ

 ──────4歳になった


 魔力・超能力の訓練は風邪をひいたりした時以外は毎日、欠かさず行っている。

 それに追加で母さん(キルケ母さん)の魔法レッスンが始まった。

 これはね、キュレネ()のおまけのような扱いなんだ。

 できる妹がいると辛い……という体裁でキュレネ()と示し合わせをして『魔法がイマイチな子』としてレッスンに同席させてもらっている。


 話が出来る様になるとキュレネ()は魔法の上達を誇りに思うようで目立つ事に嫌悪感がない。 

 まぁ魔法が普通(・・)にあるこの世界なら別段に隠す事も無いだろう。俺は目立ちたくはないけどね。



 さて、レッスンと言っても母さん(キルケ母さん)が夜に絵本を読む時のような、優しい声で魔法の種類や扱い方をゆっくり口伝(くでん)してくれる。いい母親だよ。

  母さん(キルケ母さん)が冒険者として魔法使いの専門職として得た経験を合間に聞けるので、話の全てが興味深いし面白い。


 俺は魔力が少ない子と思われているので、もう少し大きくなったら父さん(オーディオ父さん)が武道や剣術を教えてくれるそうだ。


 「キュレネこれからは大切な話よ、よく聞いてね?魔法には適性があるのよ」

 「てきせい?」


 そう…俺は知らなかったんだけど、神様が見せてくれたようにこの異世界での魔法の自然属性(エレメント)には大別して火・水・土・風・光・闇があり、この星で運用されている属性魔法を使えるのは、そのうちの2つ、多くて3つまでが適性となっている。


 例えば 火・光や、水・風・闇のように。


 その適性に合わない属性魔法を人が使うと神に見放された状態(アバンダンド)になり、魂と身体に重篤なダメージ負荷がかかり寿命を縮める事になる。


 こぇぇぇ!マジか!?キュレネ()に属性魔法の練習とか隠れてしなくて良かった!妹を殺す所だったぜぇ!


 しかし…… 神に見放された状態(アバンダンド)か…… 細胞の中にある魔素と属性に何か関係しているんだろうか?


 ちなみに俺は神様の加護があり全ての魔法属性と超能力が使えるようだ。知らずに隠れ使ってみた事があるんだよ…… 俺、死ななくて良かった自然属性(エレメント)と肉体の相関なんて知らなかったし……


 俺が自然属性(エレメント)全て使えるのがバレたら面倒(めんど)くさそうだなぁ……


 っと、いかんいかん意識を母さん(キルケ母さん)の話に戻す。

 「魔法適性は…そうね……2人が6歳になった時に街で調べてもらいましょっか!」

 ────6歳か地球で言うなら小学生一年生の年齢だな。


 グスッ孫の入学式を思い出すわ。ランドセル姿が初々しくてよかった!写真パシャパシャしていて引かれたけども!


 「シノもそれで良いかしら?…… あんた何泣いてるの?」

 「…… グスグス…… いや、俺は魔法イマイチだし魔法適性検査はいいよ」


 母さん(キルケ母さん)は優しい顔で微笑んで俺を()でる。美人な人だなぁ


 「シノ…… 自然属性(エレメント)適正が1種類だけでも剣と(あわ)せて鍛えたら強くなれるわ。自暴自棄にならないで魔法適性受けましょう?」


 いや全属性使えますし超能力もあります。この辺は心が痛いです!…… まぁそれでも子供らしく振る舞いますよ!ええ!


 前世の営業スマイルのように二チャリと笑う。


 「はい母さん!」

 「……なんかシノの笑顔から打算の匂いがする」


 失礼な!可愛い4歳の息子に何言うのさ!




★☆

 さて、4歳になり家の回りだけは自由に歩けるようになった。


 それで分かったんだけど俺が転生した場所はちょい田舎だ。


 限界集落とかではなく人口は少ないが若い人も居て生活できるように村が機能している。

 村を囲うように(たて)2メートルほどの壁が建造されていて、広さ東京ドーム一つ半程の土地に人々の営みがある。


 この星の環境ではこの村は、それ程田舎ではないみたいだけど…… 地球、しかも日本から来た俺としては


 「田舎だなぁ……」と(つぶや)いてしまうのだ。

 村の周囲は草原と森しかない。他の場所が本当にあるのか怪しいぐらい地平に伸びた街道が南北に続いている。


 「雄大だなぁ…… 」


 それら風景を大空から見下ろしながら観察している。



 飛んでる?魔法でかよチート野郎めと思いました?残念!これは超能力の方の飛行を使って上空待機しているだけです!


 風魔法でも同じような事が出来るんだけど、魔力を使うと勘が良い、例えば母さん(キルケ母さん)なんかには飛んでいるのがバレてしまう可能性がある。



 今の高度は上空300メートル位だろうか?


 東京タワー展望台より少し上でホバリングしている

んだけど(いささ)か寒い。


 上空は寒いだろうと厚着してきて良かった。季節は春過ぎなのに寒いの?大丈夫この子?風邪かしら?という母さん(キルケ母さん)の目線が酷く寒かったがそれよりも寒い。


 キュレネ()との対応が大分違うよね。ちくしょう。自業自得なんだけども!やはり娘…… いや、孫娘が可愛いからその気持ちも分かるんですけども!


 まぁ、いっか!ここまで上空なら魔法の訓練が出来るだろうと来たんだし色々考えても仕方ない。


 「よしよし。とりあえず全ての属性を満遍(まんべん)なく使ってみよう」

 この高度よりも(さら)に上空に向けてまずは火の魔法を使う


 火は俺が広げた手からゆっくり上に上がってポピッと呆気なく消える。

 …… まぁ今はこんなもんかな?練習あるのみだな…… 家では目立った訓練が出来ないからな


 今はこんなもん、こんなもん。決して神様の加護あるのに成長遅いなとか思ってない。ホントホント。


 気をとりなおして水、風と様々な自然属性(エレメント)で魔法を放っていくと体に倦怠感を覚えはじめる。魔力が切れかかっているんだろう。

 しかし俺には超能力がある。意識がある限りは飛行維持できる。



 適度に練習を重ねてこれ以上は4歳の体を酷使するのも良くないなと魔法訓練を止めて地面にむかう。

 寒いし疲れた…… 早く休もうと俺は焦っていた。家の裏にでも降りたら家族や近所に見られないだろうとたかを括ってもいた。


 ス───ッと家の裏地に着地すると家の窓から衣摺(きぬず)れ音と視線を感じる。

 

 え?ヤバイ!

 焦って振り返るとパァーッ!と効果音がつきそうな笑顔のキュレネ()と目が合ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ