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〜所定定位置(スタートライン)〜第0話

誤字脱字を発見された方がいらっしゃった場合、早期ご指摘をよろしくお願いします。

見ていただけることに感謝し精一杯書かせて頂きますので、よろしくお願いします!

ひどくつまらない世界。

何ひとつ変わることなく過ぎて行き

過ぎ行く時間の中で

ただただ自分の存在がすり減っているだけのような気がして

目の前の景色が、感じているもの全てが

華やかで退屈のないものへと変わることを心待ちにしていた。

けれど期待したって何も起きないから

退屈なのは自分のせいだと自覚したから

いつからか期待することをやめた。

そう、あの日までは____。



そして現在の俺はというと.........。




「繋、早く行きましょう。私はお腹が空きました!」

「マスター、急がないとまた噛みつかれるぜ!?ははっ!!」


記憶を失くした腹ペコ女と、偶然出会った魔道具と互いの目的のため異世界で旅をする事になるのだった......。


〜遡ることひと月前〜

「はぁ〜.....。学校めんどくさいなぁ。なんで学校なんかあるんだか.....。」

この朝からダルさ全開の少年の名は門脇かどわき かける

この春から高校2年生になる16歳だ。

勉強は苦手で、運動は体育の時間や学校の行事などはほとんど手を抜くので、彼の全力を知っているのは本人だけだ。

ちなみに今日は始業式兼入学式で、今はもう午前10時をまわっている。

完全に遅刻である。

しかし繋は焦る様子もなく、ゆっくりとトーストを齧っている。

朝寝坊、トーストを齧る、と言う単語が並ぶと「遅刻遅刻〜!」と、言うふうに走って学校へ行き、女子とぶつかる、なんて言う甘い展開へ......と想像する人も多いが現実はいつも手厳しくなかなかそうはいかないらしい。

そもそも繋はパジャマのままだし、家から1歩たりとも出ていない。

今の繋に学校へ行こうと言う意思は全く感じられない。

優雅に朝ごはんを食べ終え、ゆっくりと制服に袖を通し、靴を履いて外に出た。

「日差し強い.....。春っていう天気じゃないぞ、これ.....。まぁ、雨よりかはマシか。」

外に出たなり早速ゲンナリした顔になり、またひとつ学校へ行きたくない理由が増えたようだ。

繋はふと思い出したように後ろに振り返り、自分の家を見た。

(相変わらず、見れば見るほどみすぼらしい家だよなぁ.....。そう言えば、床が抜けそうになってたな。補強用の板をそろそろ買っておかないといけないか。)

頭をボリボリとかきながら重い足取りで学校へ向かった。

彼の家は東京の郊外にあり、辺りは不法放棄されたテレビやら冷蔵庫やらが転がりまくっている空き地に囲まれている。

ばっさり言うなら繋の家はボロい。

人が住んでいるようにはまるで見えない。

ただ大きさだけはあり、とてもデカイ。

そこに繋は1人で住んでいる。

彼自身、別に好き好んで1人でいる訳ではない。

繋の両親は繋が生まれてすぐ、事故で亡くなったと父親の友人であり、繋の面倒を今もたまに見てくれているみさき 琢磨たくまから聞いていた。

小さい頃、繋はよく琢磨から両親の話を聞いていた。

「繋、お前の親父さんはすげぇぜ?なんせ異世界から来たってんだからなっ!!ガハハハハッ!!」

今の繋からすれば何を馬鹿な事を、と思っているが当時幼かった繋はあっさりその言葉を信じてしまっていた。

それを嘘だと、有り得るはずがないと、なんて夢見がちな人なんだと琢磨に言うと決まって豪快な笑い声だけが返ってきた。


「この春、自分を変えるチャンス!!....か。変わりたいと思っても変われないもんなんだよなぁ......。」

登校途中の道に塾か何かの貼り紙を見つけ、大きなため息をついた。

繋は人と上手く喋れない。

まともに喋れるのは琢磨ぐらいと言える。

1年生の頃、彼にはクラスに友達と呼べる存在は1人もいなかった。

そもそも1年を通してクラスメイトと会話をした回数を数えてみても片手で足りてしまうレベルだ。

1人でいる時は何ともなく、普通の人と変わりないが、幼少期に幼稚園にもいかず滅多と外に出ずあの大きな屋敷に1人でいたため、いざ知らない人の前に立つと緊張し上手く言葉が口から出ないのである。

なので繋は1年の大半を1人で本を読んで過ごしていたのである。

気にかけてくれる周りの子にに申し訳ないと思いつつも、それを口に出せないので結局言えずじまいだった。

そんな彼が2年になり、クラス替えを憂鬱に思うのは至極当然の事であった。



繋の予想通り2年生になったからと言って急に人と会話できるようになる、などと言うことは無く、クラスのはじめの自己紹介も消え入りそうな小さな声になってしまった。

繋自身、会話をしたくない訳ではないのである。

友達がいたらな、とも思う。

ただ、1人で過ごした時間が長すぎたため周囲に人がいる状況に未だに慣れないのである。

今日も誰とも会話することなく、学校が終わり、沈んだ表情のまま帰りの道を歩いて帰った。

(あ....帰りにホームセンターで板買っとかないと.....。めんどくさいな.....。明日にするか。)

今日、このなんとも無いめんどくさいから後回しにした決断で繋の運命は大きく変わる事を今の繋は知る由もなかった。



「ふぁ.....寝るか...(バキッ)へっ!?嘘ぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

事が起こったのは、初日ながらなかなかの量があった宿題を終え明日に備えて寝ようと寝室への移動を開始した直後。

勉強机から立ち上がり、椅子を戻す。

それまでは良かった。

問題はその後だ。

ベッドへ向け1歩を踏み出した時、ちょうど朝気にしていた壊れそうだった床が繋の体重を支えきれなくなったのだ。

それでは簡単な質問だ。

Q、床に穴が空いた場合、上にいる人や物はどうなる?

A、落ちます。

(※上の叫び声に至る。)

普通、家の床など抜けたところですぐに足がつき、怪我をするだけで済む。

しかし、繋の家の下には巨大な穴が空いていた。

まるで家が巨大な穴を隠すためのものであるかのような建て方であったが、当の落ちた本人にはそんなことを考えている余裕は無く、叫び声と共にその穴へ吸い込まれるように落ちていった_________。



目が覚めると、そこは闇の中だった。

目を開けても閉じても明るさがほとんど変化がない程の暗さだ。

そんな中、繋は全身に感じる打撲の痛みに顔を顰めながら目を覚まし、1人暗闇の中で悶絶していた。

「痛ってて.....。落ちた....んだよな。家の下にこんな場所があるなんて聞いてないぞ。」

すぐさま頭を脱出する方法を考える事に切り替え、考えはじめてはや20分。

繋の頭には何ひとつ脱出方法は浮かんでいない。

いや、浮かびはする。

(スマホで助けを呼ぼうにも、部屋に置いてきたし、大きな声を出して助けを呼ぼうにも周りに民家はないし人通りが少なすぎて話になんねぇ......っ!)

こういった感じで考えはするものの無理難題な考えばかりが頭の中に巡り、使えそうな案は何ひとつ浮かびはしなかった。

(自力でなんとかするしかない、か。)

20分長々と悩んだ結果、結局何も案は出ず自力で脱出、という結論へ至ったらしい。

(毎日毎日、同じ事の繰り返しでつまんねぇと思ってたけどいざ死ぬとなると、やっぱそりゃごめんだな。死なないように頑張るとしますか......。)

まず落ちてきた穴を下から見上げ、どの程度の深さなのかを確認する。

深いため息.....。

どうやら登れそうになかったらしい。

深さはもちろんのこと、足元の不安定さ、暗さを考慮すると道具も無しに自力で這い上がるのは困難であった。

また時がたち、暗さにだいぶ目が慣れてきたため繋は使えそうなものが落ちていないか散策する事にした。

ある程度のサバイバル知識は以前、自称冒険家である拓磨に教えられていたため、知識だけはあった。

しかし知識自体はあるものの実際役に立つのは今日が初めてである。

(に、しても暗いな。壁をつたって歩かないと安心して歩けたもんじゃねぇ.....。)

内心ボヤきながら散策をするも見つけたものと言えば、手頃な大きさの石、小さい石、両手でなければ持てない程の大きな石。

石ばかりである......。

と、言うか石しかない。

木の棒1本すら落ちていない。

「ほんとにどうすんだ、これ......。死ぬ未来しか見えないんだが.....。」

現在の時刻はもちろん、落ちてから何時間たったのか、あるいは日付けが変わったのか、今の繋には確かめる術はない。

先程までは冷静に対処出来ていたが、繋の表情に焦燥感が滲み出ている。

それでも何か使えそうなものがあるかもしれない、と言う事に一縷いちる希望のぞみをかけ散策を続ける。

相変わらず壁をつたってしか動けず、満足に動けないことも繋の焦りを加速させる。

そこで繋は壁から何か飛び出ているものを触った感触を感じる。

(なんだこれ.....?棒、じゃないし。あれ、なんかこれ動く....?)

ガコン。

随分使われていなかったのか、錆び付いた音とともに、ゆっくりと下へ動かすことができた。

下がる限界まで出っ張りを下げると、鈍い音がどこからか聞こえ、繋はあることにさえ気が付かなったが、岩壁に突き刺さるように設置されていた松明にひとりでに火がともった。

ひとつの空間だと思い込んでいた繋の予想は大きく裏切られ、奥へと続く道を松明の明かりが悶々と照らしていた。

(進むしか、ないか......。奥に何かあるかもしれないしな.....。しかし、こんな空間、一体誰が何のために.....?)

最深部に辿り着くと、そこはまた落ちた時と同じようなある程度広さのある空間が広がっていた。

最初の場所と違う所と言えば、地面にひとつの石版が埋め込まれていることぐらいだ。

繋はその石版へ歩み寄り、表面を覗き込んだのだが、掘ってある文字はよく読めず何語どころか、文字なのかすら判別できなかった。

(なんだこれ.....。文字...なんだろうけど何も読めないし、こんな文字見たことないな。なんか土にまみれて汚れてるし、ボロボロだし、どんだけ古いんだよ....。)

砂埃を払おうと石版に手を置いた瞬間、急激な速さで頭に何かが流れ込んでくるのを感じる。

(な、なんなんだこの気持ち悪い感覚.....!!)

素晴らしい反射神経を発揮し、石版から手を離し次に身体に異常がないか確かめるが、何も無い。

しかし異変があったのは次だ。

あの何が書いてあるかわからなかった、そもそも文字なのかすらわからなかった何かをきちんと文字として理解できるようになっていたのだ。

「よ、読める.....っ!?_____我はじょう、我はかぎ、二つの世界を繋ぎし我ら門脇の名の元に___解錠開門アクセスゲート・ウーヴリーレ.....?」

書いてある事を読んでみてもただの痛い人が書いた中二くさい文章でしかない。

ただ、文章に門脇の文字が出てきた事で繋は気にせざるを得ない。

(門脇って、なんでこんな読めない文字だったものから俺の名字が出てくるんだよっ!!家の下にあった大きな空間、石版に書いてある門脇の名字......。偶然....に、は...思え、ない.....______。)

突如眠気に襲われまたしても繋の意識は遠のいていった。



「は.....っ!?いつの間に、俺は寝て.....って、は.....?」

繋は目覚めた。

ただしさっきまでいた石版のある暗い洞窟の中ではない。

目覚めた繋の目の前に広がっていたのは、辺り一面見たこともない植物に囲まれた森の中だった_______。

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」

森の中に繋の大絶叫が響き渡った。

第0話でした。

最後までお読みになっていただけた方、ありがとうございます。

どうも、初めまして。

夜乃わかめ、と言います。

なかなかに忙しく、次の話に少しばかり時間がかかりますが、頑張って書きたいと思います!!

こんな自分ですが、どうか暖かく見守ってください!

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