元気出して
「はぁ、」
本日8回目のため息。
それは呼吸の様に自然なものではなく、敢えて聞かせているような大きなため息。
私はそれを聞くたびに心が騒めくのを彼は知っているだろうか。
きっと知りはしないだろう。
だってわかっていたらこんなにも繰り返さない、そんな優しい人だから。
「ねぇ、どうしたの?」
「なにか困ったことがあったの?」
「私が、助けてあげられること?」
矢継ぎ早に彼に問いたい。
でも彼はそれを嫌うだろう。
あまり多くを語る人ではないから。
私に対してもそれは変わらないから。
彼を傷つけているものはなに?
彼を困らせているものはなに?
彼のためにできることはなに?
「はぁ、」
私は彼のため息一つに大きく心をえぐられる。
涙が出そうなくらいに傷つきながらも、彼を想って笑顔で傍にいるのだ。