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中学生全国サッカー大会
高円宮杯 全日本ユース選手権大会
日本クラブユース選手権大会 U-15
JFA プレミアカップ
これら全てのタイトルを持つ者。
その意味は、想像を絶するものだ。
どの高校やクラブからも電話が鳴り止まない。
そんな存在がいるのだ。
それも中1でやった11人が。
「それではインタビューをしていきたいと思います。インタビューするのは私、嵯峨 華奈子がお送りいたします。それではよろしくお願いします。」
「「「「「しぁ〜す」」」」」
「はい、ではいきなりですが質問をいくつかしていきますね。まず始めにキャプテンで部長の熊田 剛くんからです。」
「はい、お願いします。」
熊田 剛
13歳。身長172cm 体重64kg
見た目同様優しさ溢れる学級委員でサッカー部の部長を兼任。
ポジションDMF
「熊田君ですが学校の理事長のお孫さんだと伺いましたが。」
「はい。ですが七光りなんて思わないようにしてください。私はその辺の馬鹿どもとは違い、自力で勉強で1位をとってますから。」
「1位ですか?!すごいですね。でもサッカーを始めたんですか?」
「面白いじゃないですか。11人の敵を10人の兵で倒すなんて爽快ですよ。自分の力を理解していない奴が大半なんでそこをどうついて勝つか。そこがサッカーの醍醐味ですよ。」
「な、なるほど。よく分かりました。次に副キャプテンの篠崎 隼人くんです。」
「・・・」
特に言葉を発することがなく、首を縦に振って返事をしたのは篠崎。
篠崎 隼人
13歳。身長186cm 体重72kg
怖い目つきに身長から巨人と恐れられている。女子には優しく、女子人気は高い。
ポジションGK
「篠崎くんは、大会最多記録の一試合に26.7本のシュートを全てセーブしたとベストキーパーに選ばれていましたがお気持ちはどうですか」
「特に何も。」
「えっ、そ、そうですか。では何故全部セーブできたと思いますか。」
「簡単だ。時間帯や得点差を考え、相手心理を読む。そして、誘導し自分の意図に引っ掛ける。そうすれば簡単に勘というものに頼らなくても良くなる。あとは徹底的に強靭な肉体をつくればいいだけだ。」
「そうですか・・・」
アナウンサーは、中学生ばなれした見た目から会話をするのに怖がっている。
「では、次に獅子宮 鷹士くんです。」
「よろしくお願いしま〜す。」
ニコニコ笑いながら答えるのは、獅子宮。
獅子宮 鷹士
12歳。 身長169cm 体重59kg
チームでは小さい方だが学校では普通に頭一個分は飛び出ている。ニコニコしていることから周りを明るくするムードメーカーでモテる。
ポジションLSB(左サイドバック)
「質問をしますね。獅子宮くんは、運動量が普通の子の二倍以上ですがどのようなトレーニングで体力をつけてるの。」
「体力?ははは可笑しい。僕、ある人の言葉が好きでさ、ヨハン・クライフの言葉だけど『ダメな奴らが走るんだ。相手をもっと走らせろ。』ってね。でもいくら考えてもさ、ダメな奴らが走るのに対してウマイ奴らは走らないんでしょ?でも、長友選手みたいに誰よりも早く長く走ればダメな奴らも追いかけてきて走らされるじゃんってさ。だから俺は走るんだよ。でもそんなことよりお姉さんの電話番モガッ!?」
アナウンサーの電話番号を聞こうとしたところ隼人に口をおさえられた。
アナウンサーも苦笑いをしている。
「次に犬養 華丸くんです。」
「はいどもー!!」
バカみたいにデカイ声を出したのは、犬養。
犬養 華丸
12歳 身長175cm 体重63kg
よくチームメイトには馬鹿丸と呼ばれる問題児。だか、熊田の命令には忠実で犬として使われることもたたある。
ポジションOMF(司令塔)
「犬養君の8人抜きは圧巻でしたね。」
「圧巻って何??」
華丸の質問になんとも言えないような顔をするアナウンサー。
「すみません。馬鹿なもので」
「いえ、すみません。見た目が大人顔負けだから難しい言葉を使ってしまいましたが12歳ですものね。」
「うん!!」
熊田が申し訳なさそうにアナウンサーに頭を下げた。
「すごいドリブルでしたね。」
「まぁね!俺さ、マラドーナみたいになりたくてさ!ドリブル練習しまくって鷹ちゃん達を抜きまくったら、その辺の人達じゃあいてならなくなってたんだよね。」
「へぇーそんなに練習したんだ。ニュースでも次世代のマラドーナや和製メッシの声がすごいね。」
「へへへ、やったね!」
照れくさそうに笑った彼にきっとテレビの前のオバ様達も発狂していることだろう。