再会
今日が実戦当日。そう思うと少し緊張するな。
「よう。よく逃げなかったな時雨」
「できればやりたくなかったよ」
いくら魔族とはいえ生き物を切ってすがすがしい気持ちにはなれない。
「聞いて驚くなよ、俺はついに……武器を出せるようになったぜ」
「あぁそうか、俺も出せるよ」
「ガーーーン……人生最大のショック」
錬磨は頬に手を当てながら言ってきた。まあ俺の場合まだ完璧に出せるわけではないみたいだけど。
「あ、あれ星条さんじゃね? 」
錬磨が指差す方向には確かに星条さんがいた。
「おーい、星条さーん」
「おい、なんで声かけてるんだよ」
「だって男だけだとつまんないだろ」
「一緒に居つまんなくて悪かったな」
するとその会話に気づいたのか星条さんがこちらに向かって歩いてきた。
また言うけどあまり関わったことはない。
「何か用? 」
「いやー星条さんはもう実戦したのかなーって」
完全にバレバレな嘘を平然と錬磨は言った。
もちろん星条さんは気づいていた。
「まだよ、あなたたちは? 」
「これからだよ、緊張しますねー」
なんだろう、傍から見るとナンパしてるみたい。
今にも「お茶でもどう? 」とか言いそう。
「緊張? そんなのないわよ、ただ敵を倒すだけ」
「あ……そうですよねー」
『続いて 星条 碧月。戦闘ルームにどうぞ』
「呼ばれたみたい、じゃあね夜多乃君」
「え? あ……じゃあね」
なんで俺なんだ…………そう思い錬磨の方を見るとすごい暗い顔をしてこちらの方を見ていた。
「なんで時雨ばっかり」と聞こえた気もしたけど気のせいだろう……多分。
星条さんが呼ばれて10分ぐらいが経った後。
『続いて 炎崎 錬磨。戦闘ルームにどうぞ』
「お、ついに俺のターンか」
「いいから行ってこいよ」
「へいへい、んじゃ行ってくるわ」
そう言って錬磨は戦闘ルームという場所に向かった。
そういえば戦闘ルームってどこだ?
一応場所を知るために学校の地図がある掲示板を見に行った。
するとそこに以前あったことのある黒コートの人がいた。
「君は不思議に思わないか? 自分の力が」
黒コートの人は俺にいきなりそう言ってきた。
なんのことなのかさっぱりわからない。
「どういう意味ですか? 」
「………………まぁ後で見るさ……」
「え? 」
『続いて 夜多乃 時雨。戦闘ルームにどうぞ』
丁度呼ばれて後ろを向いた、無論誰もいない。
そして掲示板の方向に体を戻すとさっきまでいた黒いコートの人は居なかった。
後で見る…………その言葉が何故か引っかかっていた。
そして嫌な予感がした。
「ここか……戦闘ルーム」
でかい鉄の扉でできており簡単に壊れそうになかった。
ギギギギーっと扉が開きその奥には広い部屋があった。
「すげぇ、確かにこれなら戦闘ルームって気がする」
『ではこれより実戦を……ザザァーーー』
途中で声が遮断されたと思うと急に目の前が歪み始め渦を巻き始めた。
これは……次元渦!!
「よぉ、久しぶりだな」
この声、聞き覚えがある。聞くと無性に怒りが込み上げてくる。
「お前は……ディスガロ…………」
「覚えてたのか、俺様の名を。まぁそんなことはどうでもいい。後はお前だけなんだから」
「俺だけ? どういうことだ!! 」
「どうでもいいだろ。とりあえずお前にもこの次元渦に入ってもらう」
するとディスガロはすごい速さで俺に迫ってきた。俺のところまで辿り着くと右腕のフックが俺を襲った。
「ぐっ!! 」
「はっ、その程度か。こんなんじゃ予想以上に早く終わりそうだな」
どうなってんだよ……ここは学校、しかも頑丈な鉄の扉の中のはず。なぜここにディスガロが……
「お前、今なんで俺様がここにいるんだって考えたろ」
「!! 」
「図星か、教えてやるよ。俺様はこの次元渦から来た。そしてお前らに届けた手紙も偽造。つまりあれは俺様が作ったんだ」
何故俺らを…………くそっ、こんな奴に……負けたくない……
「そろそろ入ってもらうぞ!! 」
「ふざけんなぁーー!! 」
そう言って俺は右手に力を思いっきりいれ、
「来いっ、俺の武器!! 」
そう叫ぶと右手にあの大剣が現れた。
大剣から冷気が流れていて一太刀で凍りそうだ。
「こいつでお前をぶった斬ってやる!! 」
「へぇー氷剣ラグナロクか……少しは楽しませろよ」
To be continued…
まず少し投稿が遅れてすみませんでした。
理由はないんですけど……とにかく今回も廻天世界と絶対者を読んでくれてありがとうございます。
では短いですが次回もよろしくお願いします。