決意
魔族…………また魔族か、にしてもあの速さの槍を避けるなんて只者ではない。
「海莉、あいつを知ってるのか? 」
「知らないけど……普通の魔族じゃないわ」
「いかにも…………俺様はただの魔族ではない。だが俺様が自らお前らを消す必要もないだろう……」
その言葉の後、その魔族は天に向け手をやると巨大な魔法陣が浮かび上がった。
「いでよ!! ギアウルフ!! 」
すると魔法陣から数体のギアウルフが地上に向かい降りてくる。
学校に出たギアウルフは一体だったからなんとかなったけどさすがにこの数は……
「はぁ……水槍ソファエティ……」
海莉が呟くと海莉の両手にあの槍が現われた。
これが海莉の中級魔法…………近くで見ると迫力がある。
「お兄ちゃん、私の後ろに居て」
「おっ……おう………」
真面目な顔で俺を見て言った。こんな真剣な海莉初めて見た気がする。
「行くよ!! 舞槍水夢!! 」
槍をグルグル回しつつ、敵を斬りつけてる。まるで一人で踊っている様に華麗だった。
すごい……あのギアウルフがどんどん倒れて消滅していく。
あっという間にギアウルフが全滅した。これが海莉の力……ホントに俺の妹なのですか?
「面白い…………ギアウルフ達が手も足も出ないとは……大した人間だ」
「次はあなたよ!! 」
そう言って海莉は槍の先を人間の様な魔族に向けた。
「はっ!! 生意気な人間め、後悔するなよ!! 」
バッと風を切った音がするとあの魔族がいない。どこだ、
「消え去れ、エアロジャッジメント!! 」
その声が聞こえると海莉がものすごい距離吹き飛ばされた。
「きゃっ!! 」
「海莉ーー!! 」
壁にぶつかり海莉は気絶してしまった。
なんて馬鹿力だ。あんな距離吹き飛ばすなんて……
「話にならねぇな。次はお前か? 」
ギアウルフなんかより遥かに格が違う……こんなのに勝てるわけない……
「さぁ……行…」
その時、俺の後方から声が聞こえた。
「黒炎速銃・ホークドライヴ!! 」
バァンという音が聞こえ魔族を見ると、魔族の右胸に大きな風穴が空いて真っ赤な血がドクドク出てきた。
「ぐっ!! ははは、なるほど貴様か」
なんであんな大きな穴空けられてんのに倒れないんだ!? という疑問は次の瞬間無くなった。
なんとみるみる穴が塞がっていく……これは反則だろ…………
「時雨君、大丈夫かい? 」
聞き覚えがあるこの声は…………
「龍黒さん!? 」
「外にいたらものすごい音が聞こえたから来たらこれだよ」
「さすがにこれは効くねぇ……」
全く効いてる様には見えないのは俺だけか?
「まだ戦う気か? 」
冷静に魔族に問う龍黒さん。
龍黒さんが落ち着いていない時が俺には昔から分からないのだが……
「…………やめておこう。これ以上は俺様もめんどくさい」
そう言って魔族は闇に溶け逃げようとするが、
「待て!! お前は何者なんだ!! 」
「時雨君、今は引くんだ」
必死で追いかける俺を止める龍黒さん。
やめとけばいいのは分かる。だけど目の前で妹がぶっ飛ばされたら兄として黙ってはいられない。
「何者…………か、俺様は魔族、名はディスガロだ!! 」
それだけ言い残し魔族は闇に溶け消えていった。
ディスガロ…………絶対に俺が倒す!! そう俺は決意した。
To be continued…
どうも、紅影です。なんかグダグダしている気がしますが気のせいでしょう。
ディスガロさん……強いですねー。海莉さんが一撃っていうと相当の力なんでしょう。あとディスガロさんや他の魔族に性別なんてものはありません。
では次回もよろしくお願いします。