隠し味!?
今俺の目の前にはこのクラス最高ランキングの子が立っている。
にしてもすっごい威圧感……潰れそう……
「もしかして星条さんが中級魔法を使ったんですか?」
錬磨が気になっていることを言う。
すると当然のように彼女は答えた。
「そうよ、いくら弱い魔物でも敵は敵。逃さないわ」
「そっ……そうですか……」
錬磨はすごく圧倒されていい返事が返せなかったらしい。
「あなた……確か夜多乃君よね? 」
「え? そうだけど……どうして? 」
「どこかで会ったことあるかしら? 」
ん? 確かに会ったような……会ってないような……
「気のせいね、忘れて」
そう言って星条さんはどこかに行ってしまった。
「なんか台風みたいだったな」
「そうだな」
いろんな意味ですごい人だった……にしてもあの子が中級魔法を使ったのか。人は見かけによらないとはこのことだな……
授業が終わってから俺はいつも通りの帰り道を帰っていた時、右側にある公園で人影が三つ見えた。
「うっ……ぐすっ……」
「人の事情に首突っ込まないでくれるかな」
あぁ、誰か知らない女の人が泣かされてもう一人の女の子が男に説教してんだろう……
「私の友人なの。泣かされといて黙ってるわけないじゃない」
「なんだよ……やる気かよ……」
まずい、この展開は…………男を止めなきゃ!!
すると一瞬の間が空いた。よく見ると男の足元に一本の槍が刺さっていた。
その後女の人が男の近くにより何か言った後。
「すっ……すみませんでしたーー!!」
と大声をあげてその場から急いで立ち去って行った。
彼女が何と言ったかは知らないがどこから槍を出したのだろう……
もう俺もいる意味はない。ていうか最初からない。
帰ろうと思って歩き始めた時に、
「あ! お兄ちゃーん」
と言う声がさっきの公園から聞こえてきた。
まさか泣かされてるのが妹だったのか? 急いでこっちに向かって走ってきた。もう一人は違う道に行ってしまった。
「大丈夫か? 泣かされてたみたいだけど……」
「え? 違うよ、泣いてたのは私の友達」
「え? ……」
目の前が真っ白になりそうだった。まさか……この可愛い妹が……あんな物騒なもの……
「なぁ、じゃあ槍を出したのも……」
「私だよ」
その一言で俺の中の妹、海莉のイメージが崩れさった。
「お兄ちゃんどうしたの? 元気ないよ? 」
「いや……いいんだ…………気にしないで……」
現実には見てはいけないものが存在した事を俺は初めて実感した。
「もしかして、聞こえちゃった? 」
「え? 何が? 」
「う……ううん、なんでもない」
俺が落ち込んでいる間に我が家に着いた。
とりあえず今日はいろいろあったから寝たい。
「お兄ちゃん、すぐご飯にするから。寝ないでよ」
くっ! 先読みとは……そこはいつもと変わらない妹だ。
「なぁ海莉、どうやって槍を出したんだ? 」
「それ……教わってないの? 」
どうやら既に教わっていていいものらしかった。
まぁ授業は初級魔法についての説明だけだからしょうがない。
「こー気持ちでスッてやってドーンってするの」
「わけわからんぞ、擬音だらけだし」
「ま……まぁお兄ちゃんもそのうちできるよ!! 」
説明を諦めたのがバレバレだった。
早く出したいものだなー。
「でもね、出せる武器は人それぞれなの」
「そうなのか? 」
「そうなの、例えば私は槍を出せるけど他の武器は出せないの」
「へー、じゃあ中級魔法の属性と同じだな」
「あーうん、だって中級魔法で出すんだもん」
ということはまだ使えないのか……ちょっとショック。
「はいできたー、今日は肉じゃがよ」
親がいないということから妹は料理が得意だった。
だから妹に俺は料理を任せている。大体の料理は美味しかった…………肉じゃが以外は……
「うっ!! 」
この複雑な味……いつも通りだった……いや前回より進化していた。悪い方に。
「美味しい? 」
今まで感想を聞くときの笑顔に負けて不味いとは言えなかった。
「う……うん!! 美味いよ」
「よかったー、今日は隠し味を入れたんだー。何入れたと思う? 」
肉じゃが(?)の味が濃すぎて隠し味どころか具もわからない。これは難問だぞ……
「パイナップル…………か?」
「ブッブー、正解はみかんとバナナでしたー」
…………普通に食べたかった……
To be continued…
今回妹さんの新しい得意分野が分かりましたね。私は料理が苦手なのて教えて欲しいです…………肉じゃが以外(笑)