ランキング一位
教室に着いてすぐ、いきなり錬磨に話しかけられた。
「なぁなぁ、時雨はどんな感じだった?」
「どんな感じって何が……?」
「決まってんだろ、検査のことだよ」
そういえば帰り際『終わってない人には言わないでねー』とか言われたな……
「ふ……普通だったよ……」
「あー、俺は終わってんだよ検査」
「そうだったのか、いやーいきなりだったから初級魔法でとりあえず倒したよ」
「そっか……でもあれはねーよな」
どうやら俺以外の生徒にもいきなりだったらしい……でもなぜ急に魔物と戦わせたんだ? もし失敗してしまったら生徒の命が危ない……何かあるのか?
「みんな魔力検査は済んだか? 授業始めるぞー」
「二日目でもう授業か……早いな」
「時雨は嫌だろうけど俺はどうでもいいな、早く初級魔法から卒業してぇよ」
うーん……確かにな、初級魔法しか使えないんじゃこれから先やっていけないか。
「中級魔法の説明を始めるぞ、席につけー」
おっ! この展開は一気に中級魔法か?
気づけば周りの生徒はバタバタ急いで席についた。気持ちは同じらしい。
「おー、いい反応だ、では説明を始めるぞ」
ついにくるか? 念願の中級魔法!!
「中級魔法というのはな……実は決まりはないんだ」
「へ?」
決まりがないんじゃ魔法にならない。
初級魔法は呪文を念じ、敵に集中して発動出来る。そして呪文はそれぞれの魔法で決まっている。それが魔法だと俺は親に教わった。
「疑問に思うのも無理はない。そしてもう一つ、中級魔法から使える属性は一つになる。しかもそれは今から選ぶのではない。既に選ばれている。」
ますますわからねぇ、決まってる? どういうことだ?
「その証拠にもうこの中で検査中に中級魔法を使った者がいる」
「え!!」
みんなから一斉に声が出た。当然だ。
「以上だ、もう何も教える事はない。各自解散」
先生が言うと同時にチャイムが鳴り響き授業が終わった。
「しっかし驚きだよなー、もう中級魔法が使える奴がいるだなんて……」
「そうだな……もしかして錬磨か?」
「違うわ!! 俺が出せたらこの学校に来ないわ!!」
「それもそうか……じゃあ知らねぇ奴か……」
まぁいないって決めつけられた訳ではない。だけどいるだなんて……正直羨ましいな…………
「まぁそんなことより俺は帰るぜ、お前はどうする?」
「あぁ、俺も帰る」
何を考えても仕方がない。とりあえず検査結果を待つか。
ーー次の日ーー
とりあえず学校には普通に間に行った。また海莉に急かされたが……
貼り出された検査結果を見に行くと……かなり混んでいた。まぁまぁ、それは予想内。俺は錬磨を探した。
「おーい、時雨」
そんな声が後ろから聞こえた。錬磨だ。すっごい汗まみれでこっちに向かって走ってきた。
「いやー結果が気になって走っちまった……」
「おっ…………おう……」
息がかなりあがっているのがすぐにわかる。
錬磨と合流した俺は少なくなった検査結果を錬磨と見た。
ーー検査結果ーー
一位、星条 碧月
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十三位、炎崎 錬磨
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二十二位、夜多乃 時雨
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ーー以上三十名のランキングーー
「十三位かよ……微妙だなぁ…」
「俺なんか二十二位だぞ……」
でもこの星条 碧月って人すごいな……どんな人だろ……
「なぁ時雨、この一位の人すごいな。やっぱ強いのかな」
「そりゃ一位なんだからお前……」
「強いわよ」
突然俺と錬磨の後ろから声がした。
俺は急いで振り返ると金色の髪の毛を首の中間まで伸ばしている少女がこちらを向いて立っていた。
「アンタ誰だ?」
錬磨が聞くと少女はすぐに答えた。
「私は星条 碧月。このクラスの一位よ」
To be continued…
どうも紅影です。今回でやっと妹以外の女の子が現れました。彼女がこの先どんな感じで主人公と接していくのか自分も楽しみです。ではまた次回の方も読んで頂ければと思います。