攻略組
しんどー!!!!
せっかくの冬休みなのに、勉強も遊びも全然出来ないー!!!!
っと怒りながらも新しいのです!
第二の街-セヌド
オープン開始から二週間が過ぎたが、未だにどのプレイヤーもこの先の街に行くことは出来ていなかった。
第二の街から第三の街に行くためには、間にある第一ダンジョンをクリアしなければならないからである。
しかし、ダンジョン内のモンスターのステータスは初期ではあり得ないレベルで、なおかつ、ダンジョンのクリア条件はPT二人までのルールなのだ。
どうあがいても二人でクリアするには力が及ばず、泣きながら広場に転送されるプレイヤーは後を経たない。
「ふぅ…結構強くなったかな」
第二の街に着いてからも僕は今まで通り、ザコモンスターを蹴散らしながらスキルのレベルアップに勤しんでいた。
数時間たって視界の右側にメールが来ていることに気付いた。
僕はメニューを開き、着信したメールの内容を確認した。
送り主は、以前このゲーム開始直後にナンパ(僕は男だ!)された時に助けてくれたセイレーン族の女性からだった。
『やっほー!久しぶりだね!元気してる?あっ!急にメールしてごめんね?でも大事な用があるからメールしたんだから、怒らないでね♪』
『今回、ハルちゃんを第一ダンジョン攻略組の一人に追加しちゃいました♪自分が♀アバになってる事も気付かない鈍感ちゃんだと思うけれど、8日の15時にダンジョン前に来てね♪パートナーはコチラで用意するから!』
『ハルちゃんの親友ユピーより♪』
「15時って…」
僕は急いでメニュー画面を開き、時計ウィンドウを開いた。
普段は時間に気を使わず、遊びたいタイプなので、開いていないのである。
「今は…14時30分!?」
現在時刻に驚きを隠せず、また、間に合わないと悟った。
今いる僕のエリアからダンジョンまでは少しばかり距離があるのである。
理由は色々あるが、ダンジョン近くでプレイしていて、攻略の勧誘等が来たら困るからである。
まぁ、その理由もメール機能のせいで意味をなさなかったけれど…。
取り敢えず、僕は必死にダンジョンまで走っていった。
「お!こっちこっちー!」
大きく両手を振り、指定の場所で待つセイレーン族の女性は以前会った時とは違う、司令塔的な服装となっていた。
「正直、来ないか気付かないのどっちかと思ったよぉー。よく来てくれたね!ゴクロウ!」
「は、はぁ…。」
労いの言葉が欲しくて急いだわけでは無いのだが、と愚痴の一つでも零したくなるのだが、そこは我慢する。
「あの…僕が攻略組ってどういうことですか?」
勝手に入れられて怒っているわけではないが、気持ちが悪いのは確かなので聞いてみる。
「ハルちゃんには悪いけれどね、オープン開始日にログインしたプレイヤーは全員、攻略組の仲間にされてるんだ!」
一日、二日の違いで入れられていた…。
もっとなんか…強そうだとか、勘違いされていたら…とか思っていた自分が恥ずかしい…。
「そんでね!実は攻略組でダンジョンに行ってないのは、ハルちゃんと先にダンジョンの中に入っちゃったレイちゃんだけなんだ♪」
「先に行ったんですか!?」
おいおい、時間には間に合ったのに。何てせっかちな人だ!っと叫びたくなる気持ちも抑え、話を続ける。
「とにかく追い掛けて、パーティ組んで攻略してきてよん♪」
「無責任な…。とにかく、行ってきます」
僕は先に行ったレイさんとやらを追いかけてダンジョンに入った。