アバター
話わかりづらいと思うので二話も投稿です♪
「イタタ…ここ何処?」
モニターの左上にマップがあり、『最初の町ーオールス』と書いてあった。
「なるほど、プレイヤーは最初にオールスの町のここ『中央広場』に転送される訳だ」
一人納得し、僕は町の散策へと繰り出した。
何処か外国にでも来たような西洋風の建物は、僕の冒険心をくすぐり、市内散策を大いに楽しませてくれた。
「お嬢さん、俺たちとPT組まない?」
「ウンウン、一緒に狩りしてレベル上げしようぜ?」
「え?」
突然種族はわからないが、二人の男性アバターに声をかけられた。
……って言うかお嬢さん!?
今コイツら僕のことをお嬢さんって呼ばなかったか?
僕はすぐに自分のプロフィール画面を確認した。
HALU
職業:ビギナー
種族:吸血鬼
そして……性別:♀
「そんなバカなぁぁぁぁああ!?」
二人の男が驚いていたが僕はそれを遥かに越えて驚いていた。
おかしいだろう!?何で♀アバになってんだ?ランダム設定だからか!? 取り敢えず誤解を解こう!
「あ、あのぉ…申し上げにくいのですが…」
そこで、ハッと気付いた。
このゲームは開始時ランダムで作られたと言うことは、僕だけでは無いはず。多分全ての状況下で何処まで戦えるのかを観るゲームで、ましてやリアルの話はオンラインゲームにおいて御法度!
「慣れるまではソロで行こうと思っていますので…ごめんなさい」
と頭を下げて断ったが
「良いじゃん?一緒に狩りするだけだからさぁ?」
と腕を捕まれてしまった。
「ちょっ!離してくれませんか!?」
「まだ、どのスキルも上げてない新参者だろ?良いから付き合えよ!!」
男たちは急に本性を現し、暴力的になっていた。
「やめなさい!」
声のする方に三人は目をやる。
するとソコには白い翼の生えた女キャラがいた。
「良いのかしら?それ以上その娘に手を出したら運営に連絡するわよ?」
と女の人は笑顔で脅迫してきた。
「チッ…行こうぜ」
「大丈夫?」
「は、はい」
女の人は僕にニコッと微笑みながら抱きしめてきた。
「あ、あの?」
「怖かったよね…でもゲームってあんなことばかりじゃ無いから。もっと楽しいこともあるから…ね♪」
スゴくやりにくい人だと思った。
「あの……僕男なんですけれど?」
「え!?」
女の人は驚きを隠せずにいた。
「えっと…。チュートリアルを終えて街を散策していて、あの人たちに絡まれるまで僕も気付かなかったんですけれどね…」
「えぇ!キミすごく珍しいタイプだよ!?VRMMORPGは犯罪防止の為に男性は男性アバターに女性は女性アバターに必ずなるように設定されているはずなのに…。あっ、そっか!どんな状況下においても勝ち上り、魑魅魍魎の主になるのがこのゲームのグランドクエストだものね!」
ものすごい勢いで一人で悩み、一人で解決なさっていた。
「いやぁ、発売日にスゴい人にあっちゃった♪とにかくフレンド登録しようよ?あと、リアルの性別は隠した方が良いよ?だってゲームだもん。仕方無いし、誰にも相手されなくなっちゃうよ♪」
と怒濤の如く話、より強く抱きしめてきた。
「じゃあ!私リア友と待ち合わせしてるから♪またねー。えっと…ハルちゃん♪バイバイ♪」
と元来た道をかけていった。
「取り敢えず…鏡を見よう…」
そこら辺をブラブラと歩き、鏡代わりに窓に映る自分の姿を見て驚愕した。
ソコには、身長150ソコソコの小柄で、肩まである真っ黒な髪に、紅色の瞳をもつ、可愛らしい少女がいた。
「な、なんじゃこりゃぁぁあ!!!?」
人生で一番と言うくらい大きな声を張り上げ、その場で僕は、女だけれど男泣きをしていた。
これからがスゴく不安になった。
取り敢えずの現状を確認した僕は、チュートリアル時に渡された『初心者の為の案内本』に目をやり転職をしにいっていた。
職業には大まかに分けて最初はファイター、メイジ、サモナーの三種類が存在するようだ。
また、このゲームにはレベルは存在せず、スキルや装備、種族、スタイルを育てて戦うゲームとなっている。
これからのことを考え、僕はファイターを選ぶことにした。
理由はアバターのこともあるが、メイジ職はあまり得意ではなく、以前していたオンラインゲームでも、一度だけメイジ職のキャラを作ったが、肌に合わなかったようで、ゲームを楽しむ機会もなく僕はすぐにやめていったのだ。
その点ファイターだったゲームはソコソコ勝ち進み、自分の中で高成績を残したと思っている。
三番目の職業はパスだ。
このゲームでしかなれないと思われる珍しい職業だが、そんな複雑そうな物に自分から突っ込む必要性は皆無だ。
ファイターを選択し装備を受け取り気付く。
♀装備の為、下の装備がミニスカートだったのだ。
「こ、これは…プライドが許さないかも…」
僕はすぐに武器屋に足を運んだ。
ゲーム開始時から持っていた資金と、ミニスカートを売り、長ズボンを購入した。
「トホホ…。回復薬を買いたかったのに…」
泣き言を言ってる暇は無く、僕はマップを開き、穴場を探した。
穴場とはザコモンスターを狩り放題と思われる場所のことで、お金が無い今、無理をしてでもスキルを上げるしかない。
このゲームではスキルを使えば使うほど、スキルレベルが上がり、そのスキルによって、ステータスも変わると言う珍しいゲームなのだ。
とにかくソロプレイでも戦えるように、僕は攻撃力と防御力を上げるように、手っ取り早く上がりやすいスキルを使っていた。
《スマッシュ》
最初から備わっているスキルで、相手に自分の攻撃力+《スマッシュ》で加算される攻撃力分のダメージを与えるスキルだ。
このスキルのレベルが上がるとSTRのみが上げられ、他のスキルを上げてまんべんなく育てるより、手っ取り早く攻撃力を上げられるようだ。
《プロテクト》
これも最初から備わっているスキルで、自分の防御力+《プロテクト》で加算される防御力分のダメージを防ぐ事が出来るスキルだ。こちらも《スマッシュ》と同じでVITだけを上げることが出来るスキルだ。
これの繰り返しをして、モンスターを一撃で倒せるようになるまで繰り返すのが僕の特訓方法だ。
他のプレイヤーは僕の予想通り、ここら辺のザコモンスターで腕試しをしたら、すぐ次の町に行っているようだ。
オープン(発売日当日)に我先に行って情報を手に入れたくなるのはわかるが、これはオンラインゲーム。強いやつが正義。
狩りを開始して二時間が経過したころ、僕はザコモンスターを一撃で倒せる様にはすでになっていた。
しかし、どうやらこのモンスター達、前半でこんなものが!?と言うくらいのレアアイテムを希にドロップするようだ。
取り敢えず二つほどドロップした僕はオールスに戻り、宿屋で休んでいた。
アイテム
破魔の紅衣×1
純血の刀×1
どちらも、ゲーム序盤で手に入るとは思えないレアアイテムだ。
特に破魔の紅衣は嬉しい。
これなら、♀アバでも舐められないだろうし、何よりちょっとカッコいい…。
僕は破魔の紅衣と純血の刀を装備し、次の町に向かった。
実は主人公の実力は…☆
しかし、勤勉(?)な主人公ですね♪