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第三話 誕生
俺が生まれる前のことだった。
親父はお袋に惚れた。
親父はこの大陸では珍しい黒髪に紫色の瞳に整った顔をしていたが、
お袋にとって人間の醜美などよく判らないが親父ことを気に入っていた。
姉上は最初から人間に無関心。
怪我が治っても山を下山しない親父。
いつか季節が秋から冬になり姉上が冬眠中に俺を宿した卵をひとつお袋は産んだ。
春になり俺は卵の殻を蹴り飛ば……
せずに卵の中からおんぎゃあ、おんぎゃあ泣いてお袋が卵を割ってくれた。
俺が生まれた時だった。
人間の姿に背にコウモリのような黒い翼をつけてた人間と魔王のから生まれた雄の赤ん坊が俺だった。