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【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


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82話 富国強兵のための統治改革

天文13年(1544年春)――13歳


家臣に恩賞として領地を与えれば、当然ながら彼らは喜ぶ。戦国の世では、どこの国でも当たり前のように行われている手法だ。


だが、家臣がそれぞれ好き勝手に領地経営を始めてしまえば、国全体の富国など夢のまた夢だ。部分最適に走れば、全体最適は崩れるのだ。


だからこそ、俺は家臣に領地を与えていない。


――では、どうすれば国を豊かにできるのか。


今のところ、俺が直接統治しているのは伊賀と伊勢の2国。使えるリソース(銭、人材、ノウハウ、技術……)は、あくまでこの2国が有しているものに限られている。


ならばこそ、重要なのは、“限られた資源を、いかに効果的に運用するか”という視点だ。


まず必要なのは、伊賀・伊勢の全体像を俯瞰し、どの順で何に取り組むかという明確な戦略。それがすなわち「優先順位」の決定である。


たとえば、産業振興の柱をどこに置くか。施設整備はどの地域から始めるか。

そこにどれだけの人手と資金を割り振るか――すべてを、段階的に計画し、調整していく必要がある。


戦略的に順を追って組み立てれば、たとえ“たった二国分”のリソースでも、“最大限の効果”を生み出すことができる。


富国とは、行き当たりばったりで実現できるものではない。

全体を見通す眼と、取捨選択の決断こそが、その鍵を握っているのだ。


実際、伊賀と伊勢では、全体を見渡したこの方式を採ることで、着実に成果が出ている。


産品の開発、それを運ぶ街道や港湾、保管のための倉庫の整備、農地拡張に向けた河川改修――

すべてが優先順位に基づき、無駄なく着実に進んでいる。


もし、これらの土地を家臣に細かく分け与えていたらどうなっていただろうか。

当然ながら、家臣が使える資源は極端に乏しくなる。


さらに、家臣に分け与えてしまった領地に対して、主君は家臣ごとに“領主としての権限”を認めねばならなくなる。


そうなると、複数の領地にまたがる富国プロジェクトを進めようとした場合、調整や駆け引きに膨大な時間が取られる。下手な交渉を進めれば、当主に対する忠誠心が低下してしまうからだ。


結果として、富国など遠い夢のまま。

当主も家臣も領民も、揃って貧乏街道をまっしぐら――

家臣に領地を与えるとは、そういうことなのだ。


俺は、家臣や領民がそんな貧しさに苦しむ未来を避けたいと思っている。

そして彼らには、“領国での、ちまちました富国(小銭稼ぎ)”にとらわれることなく、それぞれの得意分野で存分に力を発揮してほしいと願っている。


古くから続く“御恩と奉公”の仕組みは、言ってみれば“小領主”を量産する制度だ。

つまり、“貧乏領主製造システム”でしかない。


はっきり言って――

そんな仕組みでは、国は豊かにならないのだ。


そもそも富国の話は抜きにしても、領地を恩賞として与えるシステムって、無限の国土があるならともかく……

国土の狭いこの日の本でそれをやるとどうなるか。


秀吉のように“大陸に攻め込む”か、家康のように“大名の改易と転封”や“大名への新恩給与(しんおんきゅうよ)”を繰り返すしかなくなる。


だったら、土地じゃなくて“銭”を与えた方がいいのだ。銭なら土地と違い、やりようによってはいくらでも作り出すことができる。つまり破綻することがないのだ。


だから俺は“家臣に土地を持たせず、役職と仕事に見合った収入を銭で支払う”仕組みを提案している。


今のところ、家臣からの反対は一切ない。

皆が、俺を信頼できるリーダーだと認めてくれているからだ。


『この人なら(いくさ)も内政もきっとうまくやる』……そう思ってくれているのだと思う。


もし俺が無能なリーダーだったとしたら、家臣は自分の領地を持ちたがるだろう。 なぜなら、領地を持てば“郎党や農民兵”といった”最低限の自衛力”を確保できるからだ。


つまり、俺が“優秀なリーダー”であり、“国の安全保障が万全”だと、常に家臣に信じてもらわなきゃいけないわけだ。


(あ〜、面倒だよ。そんなにいろんなことを考えないとダメなのかな?)


富国で得た富があれば、強兵に資金を回せる。つまり、富国と強兵は車の両輪だ。

この好循環を回しているうちに、技術革新を進めて国の地力を底上げし、俺が生きている間に日の本を統一しないといけない。


(なぜなら、俺の子や孫が必ずしも優秀とは限らないから)

(あ〜、やっぱり面倒だ)


俺が死んだ後のことなんて、“そんなの知るか”って割り切れたら、どれだけ楽か。

(……でも、実際はできないよな)


だったら、やっぱり――“死ぬまで”頑張るしかないのか?

いや、“死ぬまで”って……言葉にすると、めちゃくちゃ長い。重い。

正直、気が遠くなるよ……。


とりあえず、考えるのを放棄! 疲れるからね。


ところで、“日の本の国”って皆で言ってるわけだけどさ……。

“国”という概念を理解している人、この国にどれだけいるんだろ?


バカ将軍に管領に、図々し公家のおっさんたち! 

君たちに“国”のビジョンはあるのか?


偉そうに言ってしまったけど……ごめんなさい。

実のところ、俺自身も“理想の国”なんて全然わかってないからな!


(あ〜、もう疲れた。国のあるべき姿なんて、普通人の俺ごときが考えることじゃないよな)


“責任放棄”とか言わないでね。

ただ、確かなのは“教育を進めること”だと思う。

人が育てば、きっと将来そういうことを考えられる人も現れるだろう。


そういえば、最近、豊穣神様が夢に出てきた。

最近すごく調子がいいらしい。「力が漲るのよ」って言ってたな。


領地中に祠が建てられて、多くの領民が祈ってくれているからかもしれない。

領民たちも、豊穣神様に祈れば田畑の実りが増えるって、だんだん分かってきたみたいだ。


だったらさ、領内でちょくちょく説法して回ってる、妙に胡散臭い坊主たちの話なんて――真に受けないようにしようね。


最近、そういう連中が増えてるのよ。

我が領民が豊かになってきた証拠かもしれないけどさ……。


この時代の坊主って、ほんと、砂糖に群がるアリそのものだよ。

“信仰心”より“銭勘定”。


豊かな領民を言葉巧みに取り込んで、寺だけ潤わせようって魂胆が見え見えなんだよ。


そろそろ、“忍者警備隊”に取り締まらせるかな。


(お寺の坊主さんたち! 君たちは何か勘違いしてるぞ)

俺が寺に手を出せないと思ってるようだけど……それは大間違い!


信長みたいに焼き討ちや、撫で斬りなんてしなくても、

情報戦で寺の評判をガタ落ちにして、信者を遠ざけることだってできるし、


経済戦で、寺の収入源を根こそぎ絶つことだってできる。

忍者を敵に回して勝てると思うなよ!


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