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【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


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46話 戦国ヤクザの情報戦

天文9年(1540年 秋)9歳


鳥将軍が静かになってくれたのは何よりだ……

まさか“鶏の首”程度で黙るとは思わなかったが、結果オーライってやつだ。


しかし――

その事件以降、こんな噂が広まりつつある。

「百道三蔵はとんでもない餓鬼だ」……というものだ。


放置しておくと、“タメにならない”とも噂されている。

……誰にとっての“タメ”なんだか?


鳥将軍? 幕府? それとも、バカ管領?


どうやら、細川ナントカさん――本名・細川晴元(でも覚える価値ゼロ)――が、あちこちで「タメにならん! タメにならん!」を連呼してるとのこと。


言わせてもらうが……

“お前にとって”タメにならないだけだろう!


「礼儀を知らん、傍若無人な伊賀のガキ! こんな奴、野放しにしておくと危険だぞ! みんなで、コイツを潰そうじゃないか! な、な、そう思わないか……」


「実は……〇〇さんも、△△さんも、“あの小僧をそろそろ痛い目に……”って言ってんのよ。もちろん、ここだけの話ね。で、あんたも一緒に乗っからない?」ってね。


情報操作で、雰囲気ってやつをつくっていく。

“空気、雰囲気”ってやつで、味方を増やし、他人に(いくさ)をおっぱじめさせようというわけだ。


それで美味しいところは自分がいただくわけね。

戦国ヤクザの情報戦……迷惑な話。ほんと。


で、ナントカさん……畿内の大名たちのところに出張って、悪い噂を流しまくってるみたい。インターネットがないから、自分の足で動いて、自分の口で伝えるという方式!


“空気、雰囲気”の盛り上がりを見極めて、満を持して将軍の“御内書”。

……鬱陶しい奴! そういうの、いらないからね。

そのエネルギーを、国を豊かにすることに使えないのかよ。


もっとも、室町幕府は、ずっとこれの繰り返し。

結果として、畿内はたびたび戦場になってる。

だから……アホだと言ってんの!


結果、畑は荒らされるし、乱暴狼藉はされる。

民にとって良いことなんて、全くない。


幕府も大名も、昔からやってきていることだから、政治とはそんなものだろうという意識なんだろうな。最低だ、ほんと最低だぞ!


幕府としては、“幕府の言うことを聞かないとこうだ――!”と権威を示したいのだろう。まあ権威というものに銭は集まるからね。


しかし……そんなことでいいのかよ。

そういえば、前世の歴史でも――

信長が“御内書”攻撃で、コテンパンにされてたっけな。


御内書は幕府が個々の大名に直接「○○を討て」とお達しを出すやつ。

命令ってほどの強制力もないのに、“言われた方”がなぜか妙に従うという厄介な代物。


実際のところ、大名たちも本音では思ってるんだよ。

『幕府なんて、時代遅れの看板だけの組織だよな〜』って。


でも――

「え、あいつも幕府の言うこと聞いたの?」

「え、こいつも? ……じゃあ、俺も従っとこかな」

ってなるわけ。


みんなが“空気”に流されて、

その分、幕府の権威がちょっとずつ蘇ってくる。


小さな流れでも、積み重なれば大河になるんだ。

“空気、雰囲気”って本当に怖い。

戦国の最大の敵は、それかもしれない。


ちなみに俺は――

幕府の権威なんてこれっぽっちも認めてないからな!


幕府とか、歴史的“粗大ごみ”だよ。

俺のやりたいこと……回収日を待たずにポイッと、そいつを投げ捨てることだよ!


……まあいいや! とりあえず鶏の首を送っとくか!


噂では、晴元の奴は“身を隠すのが特技”らしい。

しかしそんな特技、忍者には役に立たないのだよ!

忍者の調査能力を舐めたらアカンよ!


でもな……将軍と同じことをやってもつまらないか……“情報操作合戦”のほうが面白そうだな!


“無知悪逆な管領は、ヘソ噛んで死んでしまえキャンペーン”

これを洛中だけでなく、畿内の主要な街でも展開してやる!


うちは銭が余っているしね。


手っ取り早く張り紙でも……と思ったが、民の識字率が低いのには参るわ。

伝えたいことが伝わらない。


そうだ、文字の読めない人でも“マンガ”なら大丈夫!

表現力がすごいからね。マンガを使ったネガティブキャンペーンにしよう。

ムフフ……


4コマのマンガでいいよな。


ストーリーだが

「無知悪辣な将軍と管領が私腹を肥やす。大名、寺社、公家を唆して無意味な(いくさ)を繰り返す!」


「お陰で多くの民が死に、焼き出された子供が泣いている! 悪辣なことをする将軍と管領に神様も怒っている!」


という感じでどうかな。

……まあ、ストーリー的には真実に近いけどね。


俺はガリ版刷りを至高の匠スキルで50台ほど作る。

前世で売れていたマンガを思い出しながら、俺の頭で空想したマンガのシーンを、至高の匠スキルで、ガリ版印刷用の原稿に仕上げるのだよ。


伊賀の手の空いた奥さんや子供たちに、ガリ版印刷をどんどんやらせて、“忍び撹乱隊”に京を含む畿内の主要な街にベタベタ貼らせた。


効果は抜群!


民の非難の矛先は幕府だけでなく、“悪い幕府と同じ穴のむじな”として描かれた大名、寺社、公家にも向かっている。


民が一揆を起こしそうなぐらい頭にきているらしい……

マンガは分かりやすいからね。


もちろん“忍び撹乱隊”にも――

「皆の衆、これで良いのか? 将軍と管領は本当に酷いやつ! 神様が怒ると飢饉になるぞ! 地震や洪水になるぞ!」

――いろんな村や街で噂を流しまくらせている。


大名・寺社・公家からは「晴元! お前が訪ねて来ると、うちの評判が落ちる。取り敢えず出禁な! 絶対来んなよ! とにかく来るな」と言い渡される。

管領は自主自宅謹慎状態となった。


“情報操作合戦”は大勝利で終わった。管領による“俺へのネガティブキャンペーン”は強制終了! 

俺は“戦国ヤクザの情報戦”に勝利したわけだ。


自主自宅謹慎の管領は、当分おとなしくしていることだろう。

ちなみにこの騒動、晴元嫌いの三好家中では大ウケだったそうだ。


そもそも情報操作は忍者の得意分野!

しかも俺はお金持ちで、活動資金なんていくらでもある。

最初から勝負にならんでしょ。



ところで、ガリ版印刷のマンガは商売にも使えそうだな。


マンガは日本人のお家芸だから、いくつか見本を作れば職人たちもうまく描けるようになるんじゃないか?


文字の読めない人にとって、マンガは情報伝達手段として有効そうだし、

酒樽のラベルに貼っても売上が伸びそうだ。酒の販促にも使えるな!


しかし、着実にコツコツお金になりそうなのは“マンガ絵本”か?


伊賀に流民として流れてきている者の中で、器用に絵を描ける奴を優先的にマンガ作家に採用しよう。

印刷作業は、足とか手とかを怪我してしまった流民たちの仕事にすればいい。


ところで、情報操作みたいな奇襲攻撃も楽しくていいけど、正統派の外交活動も大事だ。さすがに、俺の周りが全部敵……なんてのは危険だしね。


勘助によれば、三好家か朝倉家と組むのが外交的に良いらしい。

三好には三好長慶(みよし ながよし)が、朝倉には朝倉宗滴(あさくら そうてき)がいる。


個人的には、一時期でも“畿内の覇王”と呼ばれた“長慶さん”に会ってみたいな……

とにかくしばらくは、内政と外交だな。


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