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【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


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21話 うどん、蕎麦茶、焼酎

天文7年(1538年 秋)――7歳


うどんを捏ね終わったら、平板の上に置いて、丸い棒で少しずつ伸ばしていく。

打ち粉がなかったので、代用として米粉を使用した。


ところで、使っている小麦粉は中力粉でいいのかな……まあ、面倒だから良いことにしよう。


生地を薄く伸ばして折りたたんだら、麺切り包丁で切っていく。これで、うどんの麺が完成だ。


今回は、つけうどんに挑戦してみた。


まずは鍋に鶏肉と味噌たまり、そこへ刻んだ野菜を投入してコトコト煮込む。

これがつけ汁。香ばしくて濃厚な匂いが立ち上ってくると、それだけで腹が鳴る。


麺は小麦粉を捏ねて伸ばし、細く切って湯で茹でる。

茹で上がったらザルで冷やして、キュッとしめる。


これで、“ザルうどん”の完成だ。

見た目も涼しげで、夏場にはぴったりの一品だと思う。


……と、準備していたら、いつの間にかオヤジと楓母さんまで勢揃いしていた。誰も声なんてかけてないのに、美味いもの気配だけで集まってくるあたり、さすが忍びの家だ。


そして、試食会開始。


ひと口食べたオヤジが「うん……これは、いいな」と目を細め、

楓母さんは「なんだか身体が喜んでる気がするわ」と感動気味。

道順は「冷たい麺と熱いつけ汁って、こんなに合うんですな!」と驚いてくれた。


静かな伊賀の昼下がりに、笑顔が広がる。


――なんだかんだで、こういう瞬間がいちばん嬉しいんだよな。


この時代は、美味しいものを食べられるのは正月ぐらい。普段の食事なんて「食えればいい」という感覚だ。

だからこそ、きっと本当に美味しかったんだと思う。


たしか、こういう細長いうどんが広まったのって、江戸時代以降だったよな。

ここまで美味しいと言ってもらえるなら、家の中だけで楽しんで終わらせるのはもったいない。


……うん、これはもう町の新名物にすべきだろう!


いっそ、正直屋の近くに料理屋を作ってしまおうか。

どうせなら“正直そば”、“正直うどん”と、名前も分かりやすくしておこう。


外食店の運営は忍者じゃなくても大丈夫だから、流民の中で料理の得意そうな夫婦にやってもらってもいいか。


しかも場所は正直屋の近くだ。あそこは忍者の出入りも多いし、抑止力もバッチリ。

破落戸が来たとしても、店先で軽く捻られて退散だな。


蕎麦もうどんも、非常食じゃなく“贅沢飯”に格上げしてやる。

いつか堺の商人が行列を作って並ぶような、そんな名店にしてみせよう!


うどんをコネコネしている間に、俺は蕎麦茶を作らせておいた。

蕎麦の実を乾煎りするだけだから簡単だ。

うどんと一緒にみんなで飲んでもらったが、これも大好評だった。


蕎麦茶も立派な産品になりそうだ。産品はどんどん増やしていこう。


そういえば、旨味成分といえば椎茸だよな。

前世にあった椎茸栽培を、誰かに研究してもらおう。怪我などで忍びの仕事ができなくなった人に任せるのが良さそうだ。


成果が出るまで気長にやってもらえばいい。これもまた将来の産品候補だ。


俺は、うどんや蕎麦のレシピを書いて、「麦や蕎麦にも美味しい食べ方があると伊賀に広めてください」と母に渡しておいた。

母は「任せておきなさい」と張り切ってくれた。


そのうちパンも作ってみたい。だから、南蛮人からパン用の小麦を輸入するつもりだ。


パン屋も立派なビジネスになるだろう。堺の連中がボーッとしている間に、どんどん事業を広げていきたい。堺の商人を、すべて正直屋の傘下にしてやる。


楓は、次々と料理を楽しそうに作る我が子の笑顔に、そっと安心していた。

いつも伊賀を1人で背負っているような難しい顔ばかりしていたから、心配していたのだ。


酒盛り中のオヤジたちも同じようなことを考えていたようで、

「三蔵の年相応な笑顔が見られて安心したわい」

と、嬉しそうに言いながら、楽しい酒の席になっていた。


みんな、俺のことを心配してくれていたんだな。

家族って、やっぱりいいもんだ。


ところで――麦や蕎麦からは焼酎が作れる。試行錯誤は必要だが、可能なはずだ。


呑兵衛のオジサンたちに「新しい酒を作るから職人を探して」と頼んだら、すぐに見つけてきた。

さすがは呑兵衛パワー……反応が早い。


焼酎を作るには蒸留装置が必要だけど、それなら“至高の匠スキル”で作成できはずだ。とにかく作ってみれば良いのだよ。


美味しくなかったら、さらに蒸留して消毒用アルコールにすればいい。

それなら医療用として売ることもできる。無駄にはならない。


この調子で富国は進んでいくが、遅れないで強兵も進めないと、周辺のヤクザ大名の餌食になるからな。


強兵の方はこの時代は得意な人が、いっぱいいるはずだから心配していないだろう。

必要なのはキーマンだ。そのスカウトを急がねば。


富国の方は、今のところ俺にしか指揮が取れないからな。まだまだ俺が頑張らないといけない。


……正直、疲れるなぁ。早くのんびりしたい。

ストレス解消に焼酎でも飲みたいところだけど……ダメだよな。残念だ。


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