表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/231

149話 朝議と信長将軍論

天文15年(1546年 秋)――15歳


朝議に主だった公家たちが集まってきた。


冒頭で、主上が口を開く――

「蝦夷の地に生まれた蝦夷国と、この日の本の国は友好関係を築こうと思う。そのために朕は、娘の普光を蝦夷国の玄武国王に嫁がせておるのだ」


「蝦夷国の玄武国王とは、三蔵のことではありますまいか? 三蔵の国であるならば、我が日の本の領土ではおじゃらぬか?」


その意見に賛同するように、何人もの公家たちが「そうじゃの。そうじゃの」と下を向いたまま呟いている。


「蝦夷国など、我が国の属国としてしまえば良いのです。朝廷から東国の大名にお命じ下されてはいかがでおじゃるか?」と誰だかわからぬ呟きのような声が上がる。


(いつものことじゃが、はきとは言わぬ奴らよ……)


その意見にまた賛同するように……

何人もの公家たちが「そうじゃの。そうじゃの」と呟く。


(これが朝議と言えるのか)


「この中に東国の大名たちに話を通し、大名たちの意見をまとめることのできる者がおるか? 蝦夷国が保有する、砲を搭載した100隻もの大船団を打ち破れる者がおるか? おるならば顔を上げてみよ!」


公家たちは黙り込む。


「威勢の良いことを言うのであれば、自らの官位をかけて提言すべし!」

朝議に参加した公家たちは、ひたすら沈黙する。


朝議に参加できる上位の位階を持つ公家たちでさえこの程度では、公家が主導してこの国を良き方向に導くのは無理であろうな……。


「残念ながら、戦国の世が長きに渡って続いておる。弱体化した幕府に、戦国の世を終わらせる力はない。幕府が駄目であるならば、本来はこの朝廷が──いや、朕がこの国を正しき方向に向かわせねばならぬのであろう!」


「恐れ多くも、そのような力はこの朝廷にはないものかと……」と何人もの公家たちが小さな声で呟く。


(まともに自らの考えを奏上することもできないのか!)


「朝廷に力がないのなら、力のある蝦夷国の力を借りれば良いのではないか。蝦夷国は我が国と兄弟国家である。北畠と蝦夷国の力を借りれば、この長き戦乱の世を終わらせることができるかもしれぬと思うが、その方らはどう考える?」


主上はここで皆の様子を観察し、反応を確かめる。

(下を向いたままで反応がいまひとつ掴めぬ)


「北畠の善政により、戦国の世でありながら民が幸せに暮らすことができている。その南近江の一部と伊賀、伊勢、尾張が、餓狼ともいえる大名ども攻め込もうとしておるのじゃ!」


「この状況に対し、幕府は何もできないであろう。であるなら、朕は力なき将軍を罷免し、北畠当主である北畠信長を将軍職にしてはどうかと思うが、どうだ。反対の者はおるか?」


「おおそれながら、将軍職を与えるのは、北畠が餓狼どもを返り討ちにしてからで良いかと愚考いたします」と左大臣の二条晴良が奏上する。


やっと意見を言うやつが出てきたか。

こやつが今後どう動くかは、調べさせておく必要があるな……才蔵に探らせよう……


とにかく皆の反応を確かめねばならぬ。

(雰囲気はやや反対寄りというところか……このまま将軍職の話を押し通すのは難しいか)


「そうか。では、北畠が餓狼どもを返り討ちにした後に、信長を将軍とすることで良いな?」


(公家どもはあいも変わらず事なかれ主義じゃ)


少しは本気になってもらうために、玄武王に聞いた話をしておくか――


「最近、南蛮の船がこの日の本の近海に現れ始めておる。あの国は、日の本よりも遥かに強大な力を持つ国じゃ」


「今は、ただ我らを観察しているだけに過ぎぬ。だが、もし『この国は御しやすい』と判断されれば……南蛮の軍が、容赦なく攻めてくるであろう」


「強大な軍事力の前に、我らはひとたまりもないであろう。この国はすぐに占領されてしまうぞ」


――(奴らの反応はどうであろうか?)


「そんなことが、本当に起こるのでしょうか……?」

ざわつく公家たち。


(ピンとこないのか。想像力もないのか!)


「南蛮の国のさらに南には、広大な大陸がある。そこにも多くの民が暮らし、いくつもの国もあった。だが南蛮の者たちは、力が弱いと判断した国は、容赦なく奪い取ってきた」


「その結果――征服された国の者たちは奴隷とされ、南蛮の都で売るために連れ去られた。残された者たちは、南蛮で高値で売れる作物を、死ぬまで作らされる」


「その者たちが次に狙いを付けているのが我が国じゃ。その方らも、家族も奴隷として売られてしまうぞ」


何人もの公家たちが「怖いの、怖いの」と下を向いて呟いている。


(怖い以外に言うことはないのか!)


「この国の状況は、説明した通りじゃ。であるからこそ、北畠と蝦夷国の力を借りて、この長き戦乱の世を早く終わらせ、きちんとした国家を構築する必要があるのじゃ」


「朝廷が軍事に関与することは、かつての南朝・北朝の前例もあり、大変危険な判断ではないかと愚考いたします」と左大臣の二条晴良が奏上する。


「蝦夷国の軍事力は、桁外れに大きなものである。万に一も負けることはない」


「であるならば、蝦夷国に我が国が取り込まれてしまう危険はないでしょうか? 大変危険な判断ではないかと愚考いたします」と再び二条晴良が奏上する。


「朕はそのために普光を嫁がせておる。心配することはない。──北畠が餓狼どもを返り討ちにした後に信長を将軍とすることに、異存はないな?」


「御心のままに」


左大臣の二条晴良が下を向いたまま、ひそかに……ほくそ笑んでいる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ