14話 悪徳奴隷商を潰して堺の富を手中に
天文4年(1535年 春)――4歳
乗っ取りの実行部隊――そのリーダーを任されたのは、才蔵!
さっそくターゲットの店主に、お色気たっぷりのくノ一お姉さんを送り込んだ。
いやぁ、伊賀忍者って、本当に人材が豊富。
そのくノ一お姉さん、得意の色仕掛けで見事に店に潜入成功!
……色仕掛けの詳細は――まあ割愛させていただきます。R指定入りそうだからね。
毎晩、「夜を楽しむための強壮薬でございます」なんて言いながら、伊賀特製の“暗示薬”をふわ〜っと嗅がせてるらしい。ふわ〜っとね。
そして耳元で、そっと囁くのだ。
「キツネ顔の商人が、あなたを殺しに来ます。財産を奪おうとしているのです……」
(財産を奪おうとしてる奴は――俺なんだけどね)
もちろん、店主の息子にも、別のくノ一お姉さんが鋭意対応中だよ。
親子揃って、ふわ〜っとね。甘く、静かに、しかし確実に。
当然ながら、事前に“店とつながりのある顧客”の中に、その“キツネ顔の商人”が含まれていることは調査済みだ。
あらかじめ信頼を疑わせる種をまいておけば、人は勝手に疑心暗鬼になって自滅してくれる。そこはくノ一お姉さんの得意分野。抜かりなんて、あるわけがない。
そして数日後――
奴隷を買いに現れたその“キツネ顔の商人”に対して、店主とその息子が突如、激昂した!
「簡単には殺されんぞ……!」
「財産を奪うつもりなんだろ? 必死でかき集めた銭だ……そう簡単に渡してたまるか! 死ぬのはお前のほうだ……!」
怒声を上げながら、男は店の奥へと駆け込んだ。
間もなく、小刀を手にして飛び出してくる。その手は小刻みに震え、目には恐怖と狂気が入り混じっていた。
理性はとうに吹き飛び、ただ怒りと不安に突き動かされるまま、鋭く光る刃をぶんぶんと振り回す――その姿は、もはや正気のものではなかった。
だが当然、商人側も護衛を連れている。
スパッと抜刀した護衛の一閃によって――親子そろって、あっけなく地獄行き。
……合掌。チーン。
さて、店には番頭が何人かいたんだけど、その中で真面目を絵で描いたような番頭に目をつけた。
――そう、ここでも出番。くノ一お姉さんの色仕掛けが炸裂!
心も体もメロメロになった番頭さん。
なんと「くノ一お姉さんを嫁にもらいたい」などと言い出す。
で、実際に嫁にもらっちゃったんだよ、これが。
くノ一お姉さんのほうも、まんざらでもない様子。
なんだかんだで、お似合いの夫婦になっていたりして。
……まあ、そういうこともあるよね。おめでとうございます!
かくして、新たに店主となった元・番頭――いや、“くノ一お姉さんの旦那様”は、完全に奥様の言いなりモード。
……うん、やっぱりくノ一お姉さん、最強だわ。
俺からも報奨金を渡しておいた。
「体張ったお礼です。任務ご苦労さまでした」とね。
すると、感激したくノ一お姉さんたちから、まさかの一言が飛び出した。
「若の妾にしていただけませんか……?」
……いやいやいや、気持ちは嬉しいけど!
「申し訳ないけど、僕まだ幼すぎるんで! 無理です、ほんと無理!」
――と、やんわり(でも全力で)お断りした。
その後、元の店主の家族には慰労金を渡して、堺の町から離れてもらうことにした。
どうやら、別の町で新たに商いを始めたらしい。さすがこの時代の商人、しぶとい。
逞しいね、ほんとに。悪徳店主が所有していた奴隷は、なんと200人。
どの者も酷い健康状態で、フラフラだった。
全員、伊賀に連れて行き、静養させた。
後で俺が治療するから、すぐに元気になるはずだ。
奴隷ではなくなったことを伝え、今後の希望を聞いたところ、
「伊賀で平穏に暮らしたい」と言うので、村人として迎えることにした。
皆、未来を諦めかけていた分、俺への感謝がすごかった。
……でも、俺としては店の乗っ取りが目的だったので、そんなに感謝されると逆に恥ずかしいというか……。
ともあれ、これで堺の店が手に入った。
ここが伊賀の“貧乏脱出”の転換点だ!
蔵の中には、2万貫の銭のほか、絵画や骨董品もたくさんあった。
すべて伊賀のために、有効活用させていただきますね。ありがとさん。
それにしても、奴隷商売ってこんなに儲かるとは……正直、驚きだ。
もちろん、奴隷商売はきれいさっぱり廃止した。人の道に反するからね!
これからは、“忍者調査隊”の情報を活かして――
米や武具の買い占め・転売で爆益を出してもらう。
今年の秋は米の買い占めだ!
……なんか、ワクワクしてきたぞ!




