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【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


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135話 蝦夷の冬と石炭

天文14年(1545年秋)――14歳


露天掘りが可能な炭鉱といえば、やはり夕張の名が頭に浮かぶ。

だが現状、この国では露天掘りに必要な人手を割けるだけの余裕がない。


この冬を乗り切るために必要な石炭については、アイヌの人々と相談のうえ、近隣で採れるものを少量ながら確保してもらっている。

いまのところ、それで冬越しに必要な量はどうにか賄えそうだ。


とはいえ、来年以降の安定供給体制については、早急に方針を定めておかねばならない。まずは“人手の確保”が最優先だ。このままでは何をするにも人が足りない。


一方で、城内の各部屋に設置した暖炉では、惜しげもなく石炭を焚いている。

そのおかげで、外は厳寒でも、館の中はまるで春のような暖かさだ。


そんな暖炉の様子を眺めていると――ふと、蒸気機関のことが頭に浮かぶ。

海軍には、すでに蒸気機関の模型や、外輪型蒸気船“サスケハナ号”のミニチュアを渡してある。


もちろん、原理や仕組みについても、しっかりと説明済みだ。

……が、海兵たちはといえば、例のごとくだ。

「習うより慣れろですよ!」と元気だけは一人前に返してくる。


……やっぱり理解してないな。


だったらいっそ、“サスケハナ号”そのものを“至高の匠スキル”で創造してしまおうか。そして例によって「壊しても構わん、まずは乗りこなしてみろ」と言ってやるのがいいのかな。


壊れても、また作れば済む。

やはりその方が、あいつらには向いている気がする。


外輪蒸気船の操縦に習熟できれば、いずれはアメリカ大陸までだって行ける。

そう考えると、夢が広がってくる。


……あ〜あ、さっさと(いくさ)の時代を終わらせて、皆で船旅でも楽しめる世の中にしたいもんだな。


作物の報告も入ってきた。小麦、蕎麦、米――どれも収穫できたようだ。

来年はもっと本格的に作らせよう。まずは目指せ、“農業・酪農王国”だね。


……その次のステップで工業化だな。蒸気機関を使っての製造業、鉱山の開発……やりたいことは山ほどある。ただ、その頃まで俺が生きていられるかどうかは……正直、神のみぞ知るってやつだ。


一方、“忍者調査隊”からの報告によれば、南部家と津軽家の様子も把握できてきた。


南部家は、こちらにまったく興味がないらしい。

というか、攻めたり攻められたりの連続で、自国の維持で手一杯のようだ。

まさに“食い物の奪い合い”――民にとっては地獄だろうな。


津軽家のほうは……うん、“どうでもいい”という印象。

国力も戦力も、まったく問題外レベルだ。今のところは、ね。


だが油断は禁物だ。少しでも不穏な動きがあれば、先制攻撃をしかけるつもりだ。とはいえ、港と船を破壊しておけば十分だろう。陸奥の攻略は氏親くんに任せるつもりだ。期待しているよ。


早川との婚礼は無事に終わったのだが、瑞渓院さんが帰ろうとしない。


「食事も美味しいし、畳より椅子とベッドの生活が気に入った」とか言っているらしい。きっと、早川が心配なのだろう。北条家は家族愛が深いからな。そういうところ、嫌いじゃない。


氏親くんは、幸隆に任せている。今は蝦夷に設立した学校を見学してもらい、内政や軍事についても俺のやり方を学ばせている。いずれ、越後と上野を治めてもらう予定だからな。


まだ9歳なので好奇心旺盛だ。護衛をつけて港やアイヌの村など、いろいろと見て回っている。年齢が近いこともあり、妹の幸が見学に付き添っている。北条家との縁を考えると、将来的には氏親くんは幸の旦那さんになるのだろうな。


ところで――来年の夏あたり、日本海航路を使った船が函館までやって来るかもしれない。


今の日本の航海技術だと、太平洋側よりも波の穏やかな日本海ルートが主流だからな。来るとしたら敦賀か博多あたりの商人たちかな。


……まあ、正直言って、来なくていい。商売仇だし。


だが、わざわざ蝦夷までやって来た商人を追い返すのも少し気の毒ではある。

だから、海産物を“ものすごく高値”で売ってやろうと思う。


そうすれば、日の本で蝦夷の商品を最も安く扱えるのは――

“商社正直屋”とその“系列店”ということになる。


たしか敦賀や博多の商人たちは、蝦夷の海産物を明へ輸出しているらしい。

相当儲かってると聞く。


……いっそ、この連中を“正直屋の系列店”に加えてしまえばいいんじゃないか?


蝦夷の物流を牛耳っているのは俺なんだから、彼らにとってもそのほうが都合がいいだろう。俺にとっても、新たに明への販路を開拓する手間が省ける。無駄なコスト削減だ。


ウィンウィンで問題なし。

商人たちの世界では、そろそろ“正直屋の天下統一”といったところだな。


それにしても、俺はどこに行っても、ぶつぶつ呟いながら、いろんなことを考えている。変わらないな。元が研究者だったから、色々なことが気になって仕方ない。



そういえば、女性陣はすっかりドレスの魅力にハマっている。

……まあ、それも当然か。俺が“至高の匠スキル”で、何着も試作してみたからな。


この西洋風の宮殿には、和服よりもドレスのほうが映えると思ったんだ。

だから作った――思い切って、ウェディングドレスを……ね。


うん、たぶん間違ってる気がする。

宮殿で着る普段着としてウェディングドレスってどうなんだ?


フォーマルすぎる? いや、そもそも場違い……?

よく分からん。


だがまあ……そこは妻たちに任せよう。

試行錯誤しながら、楽しんでくれればそれでいい。

“着てみたい!”という気持ちが大事なんだ。


全力で遊ぶのは、何かを生み出す元だからね。大いにどうぞ。


本気で遊んでるうちに、新しいファッションとして定着するかもしれないし……

産品として売り出せたら、それはそれで大成功。


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