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【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


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130/206

130話 北条家の別家を作りましょう

天文14年(1545年・秋)――14歳


「北条家と北畠家、そして蝦夷国は、今後ますます親しい関係を築いていければと願っております。その一環として、氏政殿を私にお預けいただけませんでしょうか。蝦夷国にて、北畠の内政の仕組みを学んでいただきたく存じます」


「北畠家では、“家臣に土地を与えず、役職と職務に応じて俸禄を銭で支給する制度”を採用しております」


「というのも、各地の領地を家臣ごとに分割して自由に経営させるよりも、国全体で方針を統一し、銭と人材、そして技術を集中投下したほうが――結果として、遥かに効率よく国を富ませることができるからです」


「その集中投下の対象となるのは、たとえば産業の育成、街道網や倉庫の整備、河川の改修といった公共性の高い事業です」


「これらは各家臣の判断に任せていては、とても実現できるものではありません。その成果については、北畠の今の姿をご覧いただければ、きっとお察しいただけるかと存じます」


「もっとも、この方式を北条家全体に一度に導入するのは、これまでの歴史や慣習を思えば現実的ではないでしょう。ゆえに、氏政殿に“別家”をお立ていただき、この方針に賛同くださる家臣方とともに、新たな形を試していただければと考えております」


「……その考えは理解しておる。氏政に別家を立てさせることも、異を唱えるつもりはない。考えに共鳴し、ついてくる家臣も出てこよう」


「だが――その場合、氏政が治める“領地”が必要となるぞ。北条領に氏政に任せられる土地がないわけではないが、小さい領地でそれを行っても意味がないと思うぞ?」


「関東管領である上杉憲政(うえすぎ のりまさ)に、ひと働き願うつもりです。それにより、越後と上野を攻め取り、“別家”の領地としましょう。北条家には武蔵をお譲りしますぞ」


「……面白い話ではあるな。詳しく聞かせてくれないか?」


その時だった――襖が勢いよく開き、氏親くんが部屋に飛び込んできたのだ。

病の快復について礼を述べようと部屋の近くまで来たところ、偶然にも氏政くんに“別家を”という話が耳に入ってしまったらしい。


無礼を承知の上で、思いを抑えきれず、そのまま扉を開けてしまったのだ。


突然の乱入に氏康さんは厳しい声をあげたが、氏親くんは一切ひるまず、まっすぐ我々の前へと進み出ると、その場で膝をつき、深々と頭を下げた。


「話を立ち聞きしてしまいました。誠に申し訳ござりません」


氏親くんは顔を上げず、深く頭を下げたまま続ける。

「しかし――この役目、ぜひ私にお任せいただけないでしょうか」


「三蔵様には、命を救っていただいた恩義がございます。それに本来であれば、私はすでにこの世にいなかった者です」


「その私が生かされている以上、何としても恩返しをしたいのです」


「北条家の嫡男であるそなたを、いきなり廃するわけにはいかぬぞ」


「承知しております」


氏親くんは顔を上げず、落ち着いた声で続ける。


「ただ、越後と上野を任されるのであれば、その領地の規模は、現在の北条家のものと大きく変わりはないかと存じます」


「ですので、あくまで“越後と上野が得られた場合”という条件で構いません」


「どうか――どうか、この氏親にお役目をお与えくださいますよう、伏してお願い申し上げます」


「氏康殿。私はその“別家”に、陸奥と出羽まで――つまり蝦夷国のそばまで、領地を広げていただきたいと思っています」


「すごい話だな。越後と上野の領地が手に入ったなら、という条件で認めようではないか。北条家は領地を増やすのは武蔵までとしておこう。将来を考えれば、その方が良いであろう」


その後、俺はこの3人に対し、上杉憲政を巻き込むための謀略について、詳細に説明を行った。


話の内容が突飛に思えたかもしれないが、彼らは最後まで遮ることなく、真剣な面持ちで耳を傾けてくれた。

――たとえ半信半疑だったとしても、その姿勢は実にありがたかった。


会談の後、俺は“忍者特別速達便”を使って、事の成り行きと3人に説明した内容を、勘助と信長に知らせておいた。優秀な2人のことだ、細かい指示をせずとも、きっと上手く動いてくれるだろう。


日本丸には、長綱さんと氏親君、早川さんに加え、侍女たちと嫁入り道具一式が乗り込んでいた。


さらに驚いたことに、なぜか“瑞渓院さん”――つまりお母上までが、当然のような顔で同船してきたのである。


***


大島を出港し、数日のうちに函館の港が見えるところまで進むことができた。


驚いたことに、北条チームは誰も船酔いしていない。氏親くんも元気いっぱいだ。

航海は順調で、今、日本丸から遠くに見えている港には、土手で囲まれた洋風の建物があり、その屋上には蝦夷国の旗がたなびいていた。


もう少し近づけば、我が国の国旗――玄武のデザインが見えてくるはずだ。


まだ外国船は来ないが、この建物は将来的に、外国船の検疫や登録を行う管理事務所となる予定だ。

交易に関するルール作りも、急がないといけない。


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