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【改訂版】戦国時代の忍者に転生させられちゃいました  作者: ゲンタ


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112/180

112話 天下統一には30年も必要?

天文14年(1545年冬)――14歳


伊賀でいろんなことをやり始めて、もう10年が経つ。あっという間だったな。

振り返っても、忙しかった記憶しか出てこない。


でもね、いまだに俺は、伊賀と伊勢、そして南近江の一部を治めているにすぎない。


(え、“10年で……たったこれだけ?”って感じだよ)

(どうするよ! これ……天下なんて、まだまだ遥か彼方だな)


先が長すぎ、目が霞む。

今までのことを少し振り返ってみるとするか。


まず、伊賀を俺の国にしたよな。

……(うん、うん)


次に旧北畠家を滅ぼして、新・北畠家を創設。

……(頑張った。頑張った)


甲賀を傘下に収め、六角家を弱体化。

結果、北畠家は伊賀・伊勢・南近江の一部を領有するまでに成長した。

……(六角が元気だと困るからね)


人材面では、勘助、幸隆、祐長をスカウト。

武田家からは頭脳と、武田四天王のひとりを引き抜いた。


さらに信長、可成、貞勝もこちらにお迎え。織田家からは、英傑の嫡男に勇将、それに内政・外交の要までごっそり頂戴した。


おまけに藤吉郎くん、そして優秀な弟までスカウト済み。

……(スカウト上出来だ〜)


斎藤家には、一向宗の聖地を設けて内憂を作り、道三の動きを封じ込めた。

……(マムシは信用できないから嫌いなのだ)


この結果、少なくとも武田・織田・斎藤の三家は、本来の歴史ルートにだいぶ修正が加わっている……はず。


そして里見家の海賊は、ほぼ殲滅しちゃったな。

関東での北条家の動きは、これでずいぶんスムーズになるはずだ。


……(“海賊どもがよ〜”と、愚痴ってたぐらいだからね)


その副作用で、関東公方やら管領といった“いらない旧勢力”が息を吹き返すかもしれないけどね。

……(それはそれで面倒だ)。


北畠家は北条家と同盟を結んだ。


さらに、アイヌの皆さんには昆布と引き換えに、大量の武器を供与した。

この取引で、蠣崎 vs アイヌという従来の構図にも、何らかの変化が生じるはず!

……(蝦夷の歴史にゆらぎを与えてやったぞ)


つまり――俺の行動が、歴史の流れそのものに、ガッツリ影響を与えているのは間違いない。……(というかバシバシ与えているのだよ)


その結果、本来発生するはずだった歴史イベントが消滅したり、逆に新たなイベントが発生したり。あるいは発生時期がズレたりもするだろうな。

……(そいうこと)


もともと“歴史の記憶”なんて、当てにするつもりはなかったが……

今となっては、もう完全に「参考資料」程度にしかならないかもね。


起こるかどうか、わからなくなってきた“過去イベント”に命を預けるなんてつもりはサラサラない。


今後は、ますます“忍者調査隊”による“目と耳”の働きが重要になる。

……(俺にはそれがあるから、歴史知識はいらないのだよ)


そして俺は、有力大名たちからその“目と耳”となる忍者たちを、どんどん引き抜いていくつもりだ。

……(情報弱者にしていくわけね)


というか、全国の忍者たちが「北畠の傘下に入りたいです!」って目を輝かせて言ってくるんだから。こっちとしてもその流れに乗っていってるだけ。


そんなことを考えながら、湯飲みを手にお茶を一服。


(いやあ、なかなか頑張ってるな、俺……誰も褒めてくれないけど、自分で褒めておくか!)


さて今日は、今後の大戦略を立案するため、俺と軍師2人、そして新たに軍師に昇格させた信長を交え、じっくりと協議を行う予定だ。


実りある議論となることを願い、まずは戦略の大目標を改めて確認しておく。


「俺は豊穣神様と“民を幸せにすること”を約束した。この約束は、何があっても守らねばならぬ。ゆえに、これが北畠の揺るぎなき最上位目標となる。この目標を実現するために、どのような戦略が最善か。忌憚なき意見を求める」


「武力を用いて“大名を次々に臣従させる”、あるいは“臣従しない大名は討つ”という方針で、北畠が日の本を統一すると仮定した場合――その統一が成るまでに、どれほどの歳月を要すると思うか?」


この問いに対する3人の見解はそれぞれ異なっていたが、意見を集約すると、おおよそ「30年はかかるだろう」との結論に至った。

さすがは名軍師にして英傑たち。現実的で、史実にも即した見通しである。


たとえ至高の匠スキルによって武器に優位性があったとしても、短縮できるのは、あくまで武力によって領地を拡大するための(いくさ)の時間に過ぎないのだよ。


(いくさ)に勝ち、得た領地の民を慰撫し、秩序を回復させるには、やはり相応の時間を要する。結局、領地拡大はゆっくりとしか進まないだろう。


むしろ、これまでとは異なる統治体制を導入する以上、民の理解と信頼を得るまでに、より多くの時間が民の慰撫に必要となるだろう。


すなわち、“天下統一”を成し遂げるには、“武による制圧”と“民の心を治める政”の双方を、交互に幾度も繰り返し、長い歳月をかけて積み重ねていかねばならないということだ。


30年という歳月は、その現実を見据えた、きわめて妥当な見積もりと言えるだろう。


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