第16話『鼓動のリズムは、まだ不器用だけど』
あの吟遊詩人・トゥリオが再び村にやって来た!
今回は“村の音楽祭”が開催されるらしく、
なぜかガルドが打楽器担当に任命されるのだった――
「よぉ、岩のような戦士、再会だな!」
「……詩人」
村の広場にふらりと現れたトゥリオは、相変わらず羽飾りを揺らしていた。
手には琵琶、背中には旅の荷物。
今回の目的は――村の春祭りで行われる音楽祭への参加だった。
「でだ。今回は“打楽器”が足りないらしい。で、村の誰が最も重く強く正確に叩けるかと聞いたら、全会一致で君だった!」
「……筋肉を使うなら、反論はない」
「その発言がすでに武道家なんよ」
かくして、ガルドは大太鼓担当に任命された。
──第一リハーサル。
「せーのっ!」
ドォン!!!!!!
「村が揺れたーーー!!!」
「リズムじゃなくて地鳴り出してるよガルドさーーん!!」
「……力加減、難しい」
──第二リハーサル。
子どもたちと一緒に手拍子をとりながら叩くガルド。
だが無表情すぎて、誰も彼が楽しんでいるかどうかわからない。
「ねえ、楽しい……んですよね?」
「……無言でやるものではないのか?」
「顔、ちょっとだけ笑ってみましょうか……?」
「……これが限界だ」
(※目が1ミリ柔らかくなった気がする)
──そして、音楽祭当日。
村の広場には、にぎやかな音と人々の笑顔があふれていた。
ガルドは、巨大な太鼓の前に立ち、トゥリオの琵琶と子どもたちの笛に合わせ――
ドン……ドン……ドン……
一定のテンポで、確かなリズムを刻む。
それは、まるで鼓動のように。
ミーナがぽつりとつぶやいた。
「……なんだか、ガルドさんの音って、落ち着くなあ」
静かだけど力強い。ぶれない。温かい。
それはまるで、彼自身のようだった。
祭りの最後、トゥリオは言った。
「君はもう、立派な音楽家だ。無表情だけどな!」
「……楽器に表情はない。だが、伝わる」
音楽を言葉なしで伝える、それはガルドにぴったりな表現方法でした。
不器用でも、まっすぐなリズムは、人の心を揺らすことができるのです。
次回は、“村に届いた一通の手紙”が物語を動かす――
かつての知人、あるいは仲間から?
ガルドの過去に少しだけ触れる、しんみり回を予定しています。お楽しみに!




