第13話『雪と筋肉と、芸術的かまくら』
冬本番、村に大雪が降った。
子どもたちは大はしゃぎ、大人たちは雪かきで悲鳴。
そのとき動いたのは――雪にも屈しない、筋肉の男・ガルド!
「ガルドさーん! 雪、すごいですよーっ!」
朝、ミーナの叫び声とともに扉を開けると――
外は一面、真っ白な銀世界だった。
屋根の上、畑の上、木々の枝。
すべてが雪に覆われ、子どもたちは歓声をあげながら転げ回っている。
「……積雪、四十八センチ」
「それ測ったんですか!? 肉眼で!?」
ミーナが呆れるのも無理はない。
しかし、それだけ雪が積もったということは――
「村の通路が、塞がれてる……!」
「よし。片づける」
ガルドは無言でシャベルを構えた。
が――そのシャベルは村人のものの三倍サイズ、材質は鉄、重さは薪束5つ分。
「そのシャベルで雪かくんですか!? もはや武器では!?」
だがその“武器”が功を奏したのか、
1時間後には村の道はすっかりきれいに。
「すごい……これが筋肉の除雪力……」
「……終わったら、かまくらを作る」
「え?」
「約束していた。昨日、子どもたちと」
そう――前日に子どもたちから「一緒にかまくら作って!」とせがまれていたのだ。
その結果――
村の中心に、異様にでかい雪の構造物が現れた。
「え、なにこれ……神殿?」
「かまくら、です」
「いや嘘でしょ!? 支柱あるし天井高いし! ろうそく灯すスペースまである!?」
「内部は三重構造。風も冷気も通さない」
「もはや避難所ーー!!」
子どもたちは大喜び。
中でお弁当を食べたり、寝袋を広げたり、秘密基地状態で盛り上がっていた。
「ねえガルドさん、このかまくら、来年も作って!」
「……雪が降れば、必ず」
「やったーー!!」
その笑顔に、ガルドは静かに微笑んだ。
(気づかれない程度に)
今回の敵は“雪”――でも、筋肉には通用しませんでした。
ガルドの作ったかまくらは村の新名所に。
むしろ“雪が降ると期待される男”になってしまったようです。
次回は、“風邪ひきミーナと、おかゆ大作戦”!
ガルド、看病でまさかの大苦戦!?お楽しみに!




