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3話 ヒロイン(side)

相沢 沙羅(side)


「よしっ!明日から学校だし、買い物に行こ!!」


 そう言いながら家を出て、買い物に行く為にデパートに向かっていた途中、公園の前で外国人に話しかけられた。


「(英)すいません。○○神社って何処にありますか?」

「えぇーと(汗)うぅーん」


 外国人に話かけられたけど英語が苦手な私は凄く手間取っていた。

 大体私はやっとの思いで高校に受かって学力的(英語は)には全然自慢出来るほどではなかった。

 そんな事を思いながら考えていたら後ろから声が聞こえてきた。


「(英)○○神社だったら……」

「(英)イケメンなお兄さん、ありがとうございます。」


 背の高い金髪の男の人が英語で外国人の方に話しかけて来た。

 2分位会話を続けていたけど、その間私はぽかんと見ているしか無かった。

 話が終わって我に返って男の人に話しかけた。


「あっあのぅ~」


 声をかけてこっちを振り向いて来た、そしたら佐野君だった。

 佐野君の噂はいろいろ聞いて来たけど、今の私はそんな事は全く気にならない位に、見上げて太陽に輝いていた金髪とカッコイイ顔を見て胸がドクンって動いた。


「すっっ、すいません」


 私はパニックになって目を反らして気づけば謝っていた。


「なぜ謝ってるんだ?、別に悪いことしてないだろ?」


 そんな事を言われて恥ずかしくなったけど何とか顔に出さずに対応できた。


「あっありがとうございます。佐野君」

「いや、気にするな、たまたま目に入ったからやっただけだ」

「そ、それでも、助けられたので……」

「ほんと大丈夫だから、相沢は何も気にしなくていい。じゃ、俺はこれで」


 そう言って走り去って行く佐野君の後ろ姿に見とれていた。

 私は佐野君が見えなくなり再び歩き始めた。


「佐野君の目、綺麗で真っ直ぐだったな……」


 そう呟きながら考えた。

 佐野君の噂って本当なのかな?正直そんな悪い人には見えなかったな。

 少なくとも昔私を虐めて来た人達とは真逆の雰囲気を感じたし、誰かを虐める人には見えなかった。

 それにしても英語を話してる姿がかっこよかったな。

 

 次の日から相沢は自分でも無意識のうちにちらちら悪琉のほうを見るようになった。


 佐野君っていつも一人でいるな、でも中学で聞いてたみたいに誰かを虐めたり絡んだりみたいな事はしてないし、掃除もちゃんと隅々までやってるし全く悪い人に見えないな。

 そう考えたとき、佐野君がいつも独りぼっちでいることに少しだけ胸がチクって痛くなり、あいちゃんとはるかちゃんにも話を聴いてみたくなったので、昼休みに屋上に一緒に行ってもらうことにした。


 屋上に付いて早速あいちゃんから話し出した。


「それで、教室で話しずらいことって何?」

「それにしても珍しいね沙羅ちから話ずらい話があるって」

「うん、えっと、二人は佐野君について何か知ってる事ってある?」

 

 私は恐る恐る佐野君についての事を聞いてみた。


「えっっ?なんで沙羅ちはそんな事気になるの?」

「沙羅からしたら一番関わりたくない人じゃないの?」


 二人からは思ってた通りの返事が来たが私は話始める。


「えっと、最近まで私もそう思ってたんだけどね、この前外国の方に話かけられてる時に助けてくれたんだよ。その時からちょっと気になって少し見てきたんだけどね、掃除とかも隅々までしてるし、重たい荷物を運んでる先生を手伝ったりと悪い人にはみえないんだよね」

「ん~まぁ噂だしね、正直中学でも全く関わり無かったからどうなのか分からないけど噂がある時点で全くのデマってこともないんじゃないかな?」

「どっちにしても、沙羅ちが気にすることでもないんじゃないかな」

「そっか、それもそうだね」


 二人の話を聞いてそんな気にする必要ないのかもなって思いつつも、私の何処かで何かが引っかかるものの笑顔で返した。


 普段傑君と話してる時は佐野君のことは全く気にならないのに、傑君がいない時ふと佐野君の事を考えてしまう事に疑問に感じつつも教室に帰って傑君と話して、凄く楽しくなって、佐野君のもやもやは気のせいだろうなって考えていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

矢野 愛(side)


 放課後の塾からの帰り道


「ん~それにしても何で沙羅は佐野君の話してきたんだろ、関わりあるとは思えないんだけど、あの子優しい子だから心配だな」


 そんなことを思いながら歩いていると声が聞こえて来た。


「やっ、止めてください!」

「まぁまぁ二人ともそう言わずに一緒に行こうよ」

「そうだよ楽しませてあげるからよ」

「いっ、行きませんから放して下さい」

「いいから行くぞ!」


 男達が無理やり連れて行こうとするとまずいと思ったら体が動いた。


「やめなさいっ」


 そう言って止めに入った


「はぁー?なんだよねえちゃん?」

「ちょっとは空気読んでくれよな?」

「この子達だって嫌がってないだろ?なぁ?」

「いっ、嫌に決まってるじゃないですか!」

「ほらっ!嫌がってるじゃない!」


 私は強気に言ってはいたけど内心凄く怖くて今にも泣きだしたかったが、何とか踏ん張って二人を逃がした。


「おいおい、何で逃がしてんだよてめぇっ」

「あの二人のかわりに相手してくれるんだろ」


 そんな事を言われて腕を掴まれた。


「ちょっ、放しなさい」

「おいおい、逃がした責任取ってくれないとな?それにそんな抵抗した所でこんな所に助けなんてこねーぞ」

「大人しく俺たちと一緒に遊ぼーぜねーちゃん?」

「誰があんたらなんかと遊ぶのよっ!ちょっ、止めなさい」


 女子達を逃がせたはいいけど流石に自分より大きい男性を三人も相手にする事は出来るはずもなく、全く抵抗出来なく連れていかれそうになって、もう無理だと諦めかけていた時。


「おいっ、待てよお前ら!!」


 そんな声がして上を見上げた時、聞き覚えのある声が聞こえてきて私の喉から声が出た。


「え?佐野君?」

「なんだこの女の知り合いか、でもちょっとでけぇからって3人相手になにが出来るんだ?」

「ん?逆にたった3人で何が出来んの?」


 佐野君にびっくりしたけど男達の声を聞いて我に返った。

 確かに助けに来てくれたのはうれしいけど佐野君だけじゃ三人相手にどうにかなるとは思えず逃げてって思ったが、少し希望が湧いていたのも事実でそれもあり、声に出せなかった。


「てめぇっ、なめてるんじゃねーぞ」


 男の一人がそう言ってそれを仕切りに三人同時に襲い掛かってマズイと思ったが、次の瞬間あっという間に佐野君以外の三人の男が地面に寝転がっていた。

 あっという間の事で何が起こったのか分からず思わずぼけっとしてしまった。


「ん~、少しやり過ぎたな、とりあえずこいつらはしばらく起きそうにないから警察に連絡してくれる?」


 そう言われて我に返って警察に連絡をいれた。警察が来て話し合いが終わった。


「じゃ、俺はこれで帰るから」

「ちょっと待って!」

「ん?どうした」

「えっと、あ、ありがとう」

「いや気にしないでいいよ、じゃあね」

「いや、だからなんでそんな直ぐどっか行こうとするんですか」


 何故か逃げるよう立ち去ろうとする佐野君を呼び止めた。せめてお礼位したいのにと思っていた。


「いや、そんなことはないぞ?」

「あっそう」


 想像と違う返事を笑顔で言われてドキッてしてつい素っ気ない態度で返してしまった。


「うん、で?何か用事あるの?」

「えっと用事ってほどでもないんだけど、助けてもらったお礼がしたくて」

「ん~そんな気使わなくてもいいんだけどな」


 私は何故かどうしてもお礼がしたくてどう言えばいいか考えたのちに


「いや、それじゃ私の気持ち的に落ち着かないからっ!明日の放課後開けておいて!!」

「あっ、はい」


 つい必死な表情でそう言ってしまい、佐野君がびっくりした表情で返事をしてくれたけど、私は恥ずかしくて赤くなる顔を見せたくなくて走り去ってしまった。


 家に付き寝る前にベッドの上で考えていた。


「はぁ~今日は佐野君がいなかったらやばかったなぁ」


 深くため息を付いた。

 佐野君が来てくれなかった時の事を考えたくもなかった。

 それにしてもついつい明日の放課後に、ほぼ無理矢理約束をとり付けてしまったけど…なんであんな事言っちゃったんだろ?私らしくもないのにあんな必死になるなんて自分自身でもびっくりだ。


 そんな事を考えていたらいつの間にか眠ってしまった。

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