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第二十一話 気持ち


「……ど、どういうこと?」

「ん?ああ、そっか。……まあいっか。」


 いままで本格的に使わず、使わなくても苦労しなかったのでこの能力がチートであることも隠すべきであることも忘れていた。


 レンゲとは今後も一緒にいるかもしれないし、この世界の住人の意見も欲しいので教えることにした。


「えっとね、俺は自分他人関係なく魔力とかを操ることができるんだ」

「……嘘」

「あ、あははは」


 レンゲは目を見開いて、まさに驚愕という感じの表情でこちらを見ていた。


 言葉でこそ疑っているが、目の前で起きたことを説明するにはそれぐらいできないとダメなどと思ったのか、納得した様子で冷静に魔力を纏った剣を見ていた。


「あ、やべ。魔力が切れる」


 剣に纏わせた魔力を引っ込める。魔力の放出が収まった瞬間体がどっと疲れたような気がした。


 その様子に気が付いたレンゲが心配そうに近づいてくる。


「……大丈夫?」

「あ、ああ。この能力……スキルは強い代わりにめちゃくちゃ魔力を消費するから長く使えないんだ」

「……うん。それが無限に使えたら国が取れる」


 そこまで?!……いや魔力がこの世界の生命線、前世で言う電気と同じ働きをしてるといっても過言ではないから完全には否定できないが……。


「……そのスキルは他に?」

「他?ああ、他の人にってこと?それなら誰にも言ってないよ」


 言えば面倒ごとが増えるのが目に見えるしね。


「……そう。……なんで私に教えてくれたの?」


 レンゲが真面目な目で見てくる。……ここで隠すのを忘れていたなんて言ったらレンゲはどんな目をするだろうか。


 ……やめておこう。そんなことをして無駄に自分の評価を下げる意味は無い。


「そうだね。レンゲのことを信頼してるからかな?」

「……信頼?まだ会ったばっかりなのに?」

「だよね。信頼……じゃないな。どちらかといえば責任感というか……う〜ん、なんだろう?」

「……私に聞かれても……」

「ははは、確かに!」


 もしかしたらこの1ヶ月この世界で暮らしているのにまだゲーム感覚なのかもしれない。

 俺の中ではもしかしたらレンゲのことを『レンゲ』という名前のキャラとしてしか見てないのかもしれないし、女神様がセッティングしてくれたのかもしれない。


 いずれにせよ、今俺がレンゲのことを信頼して能力のことも話してしまったのは紛れもない事実だ。


「さて!さっさと魔力草を集めて次はスライム討伐に行こう!」

「……ん、わかった」


 レンゲは少し釈然としないようだったが、何か納得したのかすっきりした様子で依頼を優先してくれた。




 気配感知でスライムを突き止めて近寄る。レンゲは受け取った剣を構えて体に魔力を纏わせる。剣にも纏わせていたが雷の魔力は纏っていなかった。


「……鬼人流剣技・一式『斬鬼(かなきり)』!」


 その技はスライムがこちらに気が付く前にスライムに当たり、そのまま真っ二つにした。


 鬼人流剣技・一式『斬鬼』。その技は剣を上から下に剣を振り下ろすだけ……と言えば少し適当かもしれないが、そういう技だった。


 しかしその動きにはまるで昔話に出てくる鬼のようであり、まさに鬼が金棒を振り下ろすかのような迫力があった。


「……ん……。やっぱり鈍ってる」


 そういいながら刃の部分に手をかける姿は雰囲気的にはすごくあっているが、見た目は小さな可愛らしい女の子が剣を持っている姿は違和感しかなかった。


 しかもローブを着てて顔も見えず、確実に剣を持って戦うには動きにくい服装……。前世現世含めて大体の人が戦うなら魔法使いだろうと思うだろうな……。


「……ん?どうしたの?」

「ああいや、今後も剣で戦うならさすがに動きにくいかなって」

「……確かに」


 レンゲは自分の服装を見ながらそういった。


 そもそもレンゲ用の服も買っていないし、女の子だからおしゃれだってしたいだろう。まあ、今はそこまで余裕があるわけではないからお高い服は買えないが下着や予備の服は必要だろう。


「……ん~、服は欲しいけどこれは手放したくない」

「これって……ローブのことか。それってそのローブになにか思い入れが?」

「……いや、ローブの効果」

「なるほど……とにかく顔が見られたくないと」

「……ん!」


 いや、そんな元気に返事されても……。でもそうか、顔見られるの嫌かあ、頑張ってスキルを使って……あ、だめだ。何となく無理だってわかる。


「まあ、衣類は必要だから依頼が終わったら買いに行こう。」

「……ん、わかった」


 そうと決まればさっさとスライムを倒して解体して町に戻る。スライム程度なら少し戦闘感が戻ったレンゲと剣術スキルが手に入った俺でかかればあっという間に終わった。


 ギルドに戻ってきて納品場でおっさんに納品物を渡す。


「お、ナルミじゃねか、おつかれさん。ん?そっちのガキは?」

「……む、ガキじゃない」

「ははは……まあまあ落ち着いて。おっさん、この子はレンゲって言って今日からパーティーを組むことにした女の子なんだ。見た目に寄らず、すげえ強いんだぜ」

「へえ、魔法使いか?」

「ああ、そんなところだ」


 本職が魔法使いではないが、魔法使いとしても戦えるのであながち嘘ではない。


「パーティーといやあ、もうパーティー登録はしたのか?」

「え?なんですかそれ?」

「ん?しらないのか?パーティー登録っつうのは超簡単に言えば簡易生存報告機能だ。パーティーを登録することでどんな状態かとかそいつの場所まではわかんねえがそこに名前がある限り生きてるってのがわかる。つまり逆に言えば何の前触れもなくパーティーから消えていたらそいつはもう逝っちまってるってことだ。」

「へえ……」

「……初めて聞いた」


 レンゲも初めてだったのか。この情報は冒険者からすれば必須情報なのだろうが他のだれもが知っていることではないのだろうか?

 それとも鬼人族が必要としてないだけ?それともただ単にレンゲが教えてもらってなかっただけだろうか。


「ちなみにパーティー脱退するときは二人の時はお互いの了承が必要で、人数がそれ以上の時はパーティーリーダーの了承が必要だ。脱退したことと了承されたことは『ログ』と呼ばれるところに記されるぞ。そして追放とリーダーは投票で決めることが多いい」

「なるほど。勉強になるなあ」

「……ん」


 いい情報が聞けたのですぐに実践する。


 ステータスを開き『パーティー登録』と考えると『パーティー画面』的なウィンドウが開かれる。


 そこでレンゲのことを考えながら招待を送るとすぐに了承の返事が来てパーティー欄にレンゲの名前が書かれていた。


「よし、いい感じにできたな。」

「……ん、いい感じ」

「おーい、鑑定で来たぞ!」


 お互いに少し微笑みあっておっさんのところに向かった。




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