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公爵令嬢みたいな生き物は全自動卓を粉砕する

作者: 騎士ランチ

短編悪役令嬢ものです、肩を外してお読みください。

「公爵令嬢シーラ・キール!お前のやってきた事は全部お見通しだ!」


 ハゲ校長の締めの挨拶がようやく終わり、ビュッフェに手を出そうとした時、婚約者であるアーノルド殿下が現れ邪魔してきました。

 まあ、当然無視しますけどね。モグモグ。


「ハムを食べるのをやめてこっちを見よ!フォークを置くのだ!」

「わかりましたわ」


 私は言われた通りにフォークをテーブルに置き、ゆで卵を剥く作業に移りました。


「食事に関する行為は全部止めて私の話を聞くのだ!」

「はいはい。それで、卒業パーティーに完全遅刻した上にイモ臭い男爵令嬢と浮気している殿下が私に何か用ですか?」

「さっきも言った様にお前の数々の悪事を暴きにきた!正直に話した方が身のためだ!後、浮気はノーだ。彼女からは事情を聞いただけだ!さあ吐け!今すぐ罪を認めよ!」

「記憶にごさいませーん。証拠は?ねえ殿下証拠は?」


 どの悪事の事を言っているのか知りませんが、私は公爵令嬢だから悪事に該当する様な事はやったそばからアルフレッド達が揉み消しているはずです。どうせお馬鹿な殿下はマトモな証拠なんて用意していないでしょうし、シラを切るのが一番です。


 それに、こういう時には殿下は必ずアレで決めようとするでしょうし。


「お前の悪事の証拠はここには無い、だか男爵令嬢マライアをはしめ多くの女学生がお前の悪事を訴えてくるのだ!私はお前の婚約者として、そしてこの国の王子として真実を暴かねばならん。この麻雀卓でな!」


 そう言い、殿下は亜空間から全自動卓と四つのイスを召喚すると、イスの一つに腰掛けました。


「25000点スタートの半荘一回勝負。私かシルベスターがトップを取れば罪を洗いざらい話してもらうぞ」


 ほら、やっぱりこうなった。そう、この世界は私が前世でプレイしたゲーム『乙女麻雀リーチでポン』にかなり似た世界。アーノルド殿下や攻略対象達は問題が発生する度にこうやってゲームと同じ様に麻雀で決めようとするのです。アホか。


「シルベスター、私の上家に座れ」

「おう!覚悟しろやシーラ!今日こそ化けの皮を剥がしてやるぜ!」


 殿下に呼ばれ上家に座ったのは騎士団長の息子シルベスター様。正義バカで麻雀バカで修行バカで殿下の一番の親友で殿下の従兄弟でバカです。


「さあシーラよ、お前は私の対面に座るのだ」


 シルベスター様が殿下の上家に座ったのを確認後、私は殿下の対面に座り、最後に我が公爵家執事、揉み消しの達人アルフレッドが空いた席に座りました。



 私:25000

 執事:25000

 殿下:25000

 取り巻きのバカ:25000


さあ、対局開始です。


「では行くぞ、【王の選択】!」


 配牌を取り終わった殿下が不要牌を右端に集め、念力で山にある牌と入れ替えようとします。


「アチョー!」


 ですが、動き出した牌をアルフレッドがチョップで弾きました。


「アルフレッド、何をする!」

「殿下、イカサマはいけませんぞ」

「貴様、我がスキルを愚弄するか!」


 顔を真っ赤にしてアルフレッドに詰め寄る殿下。私はこのスキにオレンジジュースを飲みに行き、戻った時にはシルベスター様が仲裁をしていました。


「落ち着けよアーノルド。恐らくこの爺さんはスキル封印系の雀士だ」

「なるほど」


 違いまーす。アルフレッドは常識的に対応しただけです。スキルとかいう必殺技ごっこが通用するのはゲームだけ、こちらはそんなのに付き合う義理は無いんです。すっすのすー。


 …なんて事を私は考えていましたが、スキルは駄目と殿下達が理解したのならそれで良し。どうせ説明しても無駄なので私は黙って右手を差し出しました。すると、殿下は私の手を力強く握ってきました。


「うむ、ならばここからは互いにスキル抜きだ!正々堂々勝負しよう!」

「すいません殿下、私が求めたのは握手ではなく点棒です。チョンボは罰符は4000オール。今回はタッグ戦なのでシルベスター様には払わず私とアルフレッドに6000点ずつお支払い下さい」

「そうか、そういうスキル効果か。はい6000」


 ボバァン!!


 罰符を支払い終わったと共に殿下の上着が弾け飛び半裸になりました。原作ゲームでは持ち点が減ると脱衣するシステムが採用されているからです。その辺の事情を知らないギャラリーは黄色い悲鳴をあげてますが、こうなると分かっていた私達はそれをスルーして対局再開です。男の裸なんて見ても楽しくないですしおすし。


 私:31000

 執事:31000

 半裸:13000

 取り巻きのバカ:25000


「カン!もいっこカンですわ!」


 うふふ、さっきのチョンボやら半裸やらの間に食べカスで字牌に印を付けてぃたから手が速いです。


「シーラ、テメエもうテンパってやがんなあ?隠しても無駄だぜ!俺のスキル【気配察知】は自動的に相手のテンパイを知る事がー」

「6000ください」

「ちくしょう、この爺さん自動発動スキルも妨害するのかよ!はい6000」


 ボバァン!


 イカサマの自白で12000点を支払い、シルベスター様は半裸になりました。ああ、目が腐りそうです。マライアさんが相手だったら良かったのに。


 その後、シルベスター様は再びテンパイ察知を自白。殿下の国士無双十三面待ちを暴き12000ボバァンし、その次局に殿下が気合を入れる為に乙女麻雀リーチでポンの主題歌を熱唱し無事マナー違反ボバァン。点数はこうなりました。


 私:49000

 執事:49000

 パンツ一丁:1000

 フンドシバカ:1000


 点数も衣服も後が無い殿下達。ですか、彼らは最後まで攻めの姿勢を緩めず、フンドシを緩めました。


「リーチ!」


 ボバァン!


 シルベスター様がリーチ、場に千点を出し持ち点はジャストゼロ。フンドシが消失しました。全てを失っても何ら恥じる事なく対局を続けるシルベスター様ですが、貴方に戦う意志があり、その手が役満だったとしてももう終わりです。


 な・ぜ・な・ら、


「そこまでだこの馬鹿どもがあ!!」


 国王陛下が来ましたからね!私が麻雀していたのは陛下が来るまでの時間稼ぎ、別に勝つ必要は無かったのです。幸い陛下は攻略対象達と違い頭リャンウッパーじゃありません。


「お前ら勉強もせず毎日麻雀ばかりして、しかも問題が起こる度に麻雀で解決しようとするし!今回の事でもう限界じゃい!」


 陛下は何枚もの書類を懐から出し、殿下とシルベスター様に見せつけました。


「ワシが今右手に持っている書類の束はお前達麻雀馬鹿を廃嫡にする為のものだ!」

「待って下さい父上、今は卒業パーティー中ですよ!そういう場違いなのはこの対局が終わってからにして下さい!」

「そうだぜオジキ!0点はまだトビじゃねえんだ!」


 二人は必死に抗議しますが屈強な衛兵に連れて行かれてしまいました。やったぜ。


「すまんな、シーラよ。馬鹿息子と超馬鹿甥が迷惑をかけた」

「いえ、陛下のおかげで助かりました。ところで左手に持っているのは何の書類ですか?」

「うむ、こっちのはな…お前ら公爵家の悪事の証拠だー!」


 ボバァン!


「いやぁん!」


 私はドレスを弾けさせながら下着姿でで倒れ込み、近くにあった全自動卓を豊満ボディで粉砕してしまいました。屈強な女衛兵に引きずられ会場を去る途中、奇跡的に崩れずに残っていたシルベスター様の手牌が視界に入りました。


 シルベスター様の手はただのリーチタンヤオドラ1でした。ブヒー!ふざけんな!せめて勝てる手作れよ!


「さあシーラ様観念して私達に着いてきて下さい」

「あっ、女衛兵に挟まれて運ばれるの興奮する」

「何を言ってるんですか貴方は」


 それから一年後、アーノルド様とシルベスター様は順当に廃嫡されましたが、周囲の9割が普通と化した中でゲーム世界と変わらず亜空間から物を出し入れしたり心を読んだりできる彼らは原作以上にチートな存在でした。麻雀を捨て、軍人として能力を使う彼らは王国に繁栄をもたらすでしょう。



 そして、マライアさんは他の攻略対象と結ばれたそうです。殿下は本当に彼女の相談相手をしただけみたいですね。


 一方、公爵家では地下に幽閉していた本物のシーラが発見され、身体検査を受けた私は牌魔王の配下が化けたオークだとバレて拷問の日々を送っています。あ、アルフレッドと公爵は私の正体を知りつつも協力して利益を得ていた罪で晒し首らしいです。


 ちくしょおおおおお!!!結局ゲームのトゥルーエンドと大体同じ流れになっちまったあああああ!


スキル説明の時間だオラァ!


・王の選択

王太子アーノルドが使用するスキル。

配牌の不要牌を好きなだけ山にある牌とチェンジできる。

なお、このゲームによく似た世界ではただのイカサマとして扱われる。


・気配察知

騎士団長(国王の弟)の息子シルベスターのスキル。

他家がテンパイするとその待ちが自動的にわかる。

なお、このゲームによく似た世界ではただのイカサマとして扱われる。


・悪食なる引力

公爵(国王の弟その2)の娘シーラ…に化けていた女装オークのスキル(?)。

牌に食べカス等で印をつけ、嗅覚で全ての字牌の位置がわかる。

なお、このゲームによく似た世界でもゲームの世界でもただのイカサマだか、執事がバラさなかったので堂々と使用していた。


・黙示録

公爵家執事アルフレッドのスキル。

世界の常識を瞬間的に非ファンタジーに近づける事で他人のスキル発動を無効化しさらにチョンボの罰符を払わせる。これのせいで最終バトルにシルベスターを連れて行くと詰む。

なお、このゲームによく似た世界は既に非ファンタジーな常識が支配してるので、ただのイカサマ指摘になっている。


・リーチでポン

ゲームのタイトルであり主題歌でもあり、好感度マックスのキャラのみが使用可能なスキルの名前でもある。

好感度マックスのキャラが味方側として対局している時、毎局開始時15%の確率で発動。BGMが主題歌(好感度マックスキャラが歌う特別バージョン)に変化し、この状態で満貫以上を和了ると限定衣装やおまけイベントが開放される。このスキルはアルフレッドの黙示録で無効化されない。

なお、このゲームによく似た世界で発動した時は二番のサビの部分でアーノルドが聖剣を抜き、牌魔王にジャンプ斬りを放つ動きをした所でストップがかかりマナー違反でボバァンした。


 ■ □ ■



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 感想にはなるべく返信しますが、答えたくない時やしんどい時、ご飯が美味しかった時は直前に食べたものを書くかも知れません!

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