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残酷な魔女姫様  作者: soた
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第二幕

真夏の日差しが肌を焼く。

好きな奴と嫌いな奴で大きく別れるこの季節。ただただ暑いというデメリットしかない季節をなぜ神様は生み出したのだろう。ほんと嫌になる。


ついさっき今日の最後の授業が終わって、先生に出し忘れた提出物を届けたところ。

「あー…………今日もなにもなかった」

いつもと全く変わることのない日々。そんな僕は楽しくない学校で唯一リラックスできる場所がある。

「失礼しますね」

その教室の扉を開け中に入いる。扉を開けた瞬間、教室の中からひんやりした風が首筋をなでる。

「あら?今日も来たのね?」

すぐに出迎えてくれたのは、この教室の司書さん。一応は先生という立場らしいけど本当のところはよく分からない。

そう僕の放課後の行き付けというのは「図書室」だ。こんなに静かで快適で安心できるところは、この学校では他にないだろうと思う。

「えぇ。前に借りていた本が気に入ったので。今日はその続きを借りたいとおもいまして」

自分の手にある一冊の本を司書さんのカウンターの上に出す。

「そうなの。私が紹介したやつね。嬉しいわ。『夢幻泡影』は私が小さい頃からの愛読書なのよね」

僕が差し出した本を見て楽しそうに話す司書さんはとても素敵だと思う。僕の予想でしかないけど司書さんは図書室の本すべての内容を熟知しているんだと思う時が何度かある。僕の通っている学校は中学校と高校が一緒なので、もう5年間は放課後の図書室を

リラックスの場所として愛用している。が、僕の借りていった全ての本、それを返しに来たとき楽しそうに感想を話してくれる。

おそらく学校で一番凄い人は司書さんだ。

「そうなんですね。司書さんがオススメしてくれる本は全部気に入ってます。センスあるとおもいますよ」

「あはは。そんなことないよ。毎日来てくれるキミのためだよ。

ここにいると時間だけは無限だからね」

そんな他愛もない話をすることが僕は好きだった。

「それにしても野球部は元気いっぱいだねー」

司書さんは、先ほどからずっと聞こえる、グラウンドに耳を傾けた。この図書室は学校の一階でグラウンドの前に位置してるので

嫌でも僕たちの耳に入ってくる。

「そうですね。僕にはあんな大きい声は出せないですよ。もはや彼らとは生きてる場所が違いますね」

「もう。またそんなこと言って。いい加減に何か部活したら?」

「運動は苦手ですし、この学校の文化部は種類が少ないですから興味をそそられることはありません」

前々から司書さんには部活に入った方が良いとは言われている。部活の何がそんなに楽しいのか。それに部活をやったところで

就活が、有利になるわけではなかろう。僕は勉強が出来るのだ。

それさえあれば僕は十分だ。

「えぇー。この学校の野球部って強いじゃんか?甲子園だっけ?出場してるんだっけ?」

「興味ないです。第一に野球部員は基本的に嫌いなんです。第二に僕は帰宅部の魅力をちゃんと感じてます」

「…………………………」

僕は図書室には来るが、いつもながら部活の強制はいつも断っている。まぁ、100歩ゆずって部活に入部するとしたら文学部や天文学部などが良いのかもしれない。

「ん~わかったよ。じゃあせめて私が顧問してる部活覗いてみるか?」

「へぇ、司書さんって顧問してたんすか?」

初耳だな。普段は図書室にしかいないはずの司書さんが顧問だなんて。

「そうだよ?言ってなかった?先生の人数の問題で半強制みたいなものだけどね」

「……分かりました。見に行くだけなら」

うん。悔しいが確かに気になる。

「いいね。じゃあさっそく行っといで」



僕の学校は古い校舎と新しく校舎の二つがある。古い校舎には1年から3年までの学生の教室が集まっている。新しくできた校舎は部室棟のようなものだ。新校舎は一階建てで細長く、一本の廊下を軸に、いろんな部室がある。

司書さんが言うには部員は二人らしい。「新しく建った校舎あるでしょ?その突き当たりだよ」と教えられて、新校舎に向かったが正直、校舎は凄かった。新しくできただけあって一面が真っ白の壁で、掃除が行き届いてるのか埃一つ落ちていない。

それに比べて僕らのいる校舎といえば、壁にはヒビが入りゴミだらけで割れてるガラス窓さえある。

「…………ここかな?」

長い廊下を歩いてようやく辿り着いた部室。

真っ白なドアの中心にはネームプレートが掛けてある。

その部活の名は……………………『コスプレ部』…………………………。


「……………………………………………………………………はい~?」


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