綴り帳 小話「京子さん、僕ばっかり写真を撮らないでくださいっ」
「京子さーんコーヒー買ってきましたよー」
パシャ。
「あ、なんですか?」
「いえ、なんでもありませんよ」
「今、写真撮りましたよね?」
「いーえ、撮ってません」
「僕がスマホを持ってないのをいいことに、僕だけバシャバシャ撮るんだから」
「撮ってませんよー。って、先生もスマホ持てばいいのに」
「スマホなんてものはですねえ。僕の仕事の支障になってですねえ……」
「先生、なに時代遅れなことを言っているんですか。スマホは便利ですよ〜。例えば花の写真を撮るだけで、その花の名前をパパッと調べることができるアプリがあるんです」
「え、……?」
「もちろん、花言葉だって美味しいお菓子のレシピだってワチパンベーカリーの新作だって、なんだって調べられるんです。パパッとね」
「うーん、それは便利な……いやいや京子さん、その手には乗りませんよ」
「ふふふ」
「花言葉なんて図書館に行けば調べられますし、ワチパンベーカリだって週二で通ってるんですから、新作なんていつでも食べられるわけですし、……京子さんは僕が文明の利器に振り回されている姿を見たいだけでしょ」
「失礼な。先生、私そんな意地悪じゃありませんから」
「いーえ、京子さんは僕に対してちょっと冷たいところがありますからね。油断しないようにしなければいけません」
「はいはい、わかりましたから。先生、早くそのコーヒーくださいな。冷めてしまうじゃないですか」
「ああ、はい、これ……」
「ありがとうございます」
「……京子さん」
「…………」
「きょ、京子さん、お、怒っちゃったんですか?」
「怒ってません」
「怒ってますね」
「いーえ、怒ってません」
「京子さ、」
パシャ。
「…………」
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砂礫零さまにいただきました 〜感謝を込めて