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【神立】神の国学園へようこそ  作者: 尾形よしあ
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第四話:白き翼

 イエス様に会った次の日。

 


 あまり眠れずに朝を迎えてしまった。


 昨日のイエス様登場には、本当に驚いた。

 


 今日は休みだからゆっくりしよう。

 そう思い二度寝をしようとしていたら──


 ピンポーン


 家のチャイムが鳴った。

 いいや、無視無視……。


 ドンドンドン!!


 ……。


 ピンポーン、ドンドンドン!!


 「うるさいっての、誰だよもう」


 仕方なく起き上がり玄関に向かい、ドアスコープから外を覗く。


 「うわ母さんかよ」

 

 「あんたもしかしてまだ寝てたの?」


 ドアを開けた途端に母さんが話始めた。


 「だって休みだもん、いいじゃん」


 「休みだからっていつまでも寝てたらダメよ。まだ朝ごはん食べてないんでしょ?」


 「うん」


 「じゃあ何か作ってあげるわ」


 そう言って母さんは台所に向かい、簡単な朝食を作ってくれたので早速頂く事にした。


 「どう、こっちの生活には少し慣れた?」


 「まだ驚く事があるけど、ちょっとはね」


 「まぁ焦らずに、少しずつ慣れていくと良いわよ」


 「そう言えばさ、父さんと雪彦はどうしてるのかな」


 地上では父さんと弟が暮らしている。その二人の事が気になったので聞いてみた。


 「ラジエルさんから時々様子を聞いてるんだけどね、まぁ何とかやってるみたいよ。雪彦は相変わらずだって」


 俺の弟はマイウェイな奴で、幼い頃から自分がこうだと決めたら周りの意見に耳を貸さない性格だ。

 それに他人の事に興味がない様な所もある。


 「いずれこっちに来てくれると良いんだけどなー」


 母さんは箸を置いて、溜め息混じりに言った。


 「二人とも頭が固いからなぁ。父さんなんてさ、一緒に教会に行かないかと誘っても返事すらしなかったんだから。よっぽどの事がないと考えが変わる事はないんじゃない?例えばパウロみたいな強烈な経験でもしないと無理かもよ」


 「かもしれないわね。どうしたもんかな」


 ◇


 パウロは元々は反キリストで、キリストを信じる者を捕まえては処刑をしていた。


 ある日「サウロ、サウロ、なぜ私を迫害をするのか」と死んだイエス・キリストの声が聞こえ、目が見えなくなった。


 キリストの声に従い、アナニアという人物に祈って貰うと目から鱗の様なものが落ち、目が見える様になった。

 そしてこれをきっかけに、キリストを信じる様になったのだ。

 

 サウロというのはキリストを信じる前の名前ね。

 

 ◇


 「あんた今日は何か予定はあるの?」


 「別にないけど」


 「じゃあこっちの案内をしてあげようか?」


 「そういやバタバタしてて、こっちの様子を見て回ってなかったな。じゃあお願いするよ」


 という訳で、母さんに案内してもらう事になった。


 ◇


 暫く歩いていてみたものの、地上との違いが見つからない。

 何処を見ても日本の街並みが広がっている。

 マンション、コンビニ、スーパー、地上にあるものがこっちにも普通にある。


 「なんか地上と変わらないね」


 前に買い物でスーパーに行ったんだが、内装も品揃えも地上のそれと何も変わらなかった。


 「それが神様の配慮なのよねー。そうだちょっと飛んでみよっか」


 「飛ぶってどうやって?」


 「ほら、こんな感じよ」


 そう言うと母さんの背中から翼が現れた。


 「うっわスゲエ、それどうやって出したの!? てか俺にも出来る?」


 「自分の背中から翼が生える姿をイメージしてみなさい」


 そんな簡単な事でいいの?

 そう思いつつ試してみると、バサッという音ともに翼が現れた。


 「やった出来た!!」


 自分の背中から現れた白い翼に触れてみると、とても柔らかい。

 それにこれだけ大きいのに重さが全くない。


 母さんが俺の手を取り、フワリ宙に舞う。


 「お、おおおおぉぉー!!」


 少しずつ足元の地面が遠くなり、視界一面に町の景色が広がっていく。


 いつの間にか母さんは俺の手を離しており、俺は自分一人で飛んでいた。


 母さんから飛び方を教えてもらい、初めはゆっくり、コツを掴んでからはスピードを上げてみる。

 かなりのスピードを出しているのに、息苦しさは全くない。

 それは当たり前か。


 空を飛ぶのがこんなに気持ち良いなんて、生きていた時には知りもしなかった。


 でも、もうちょっと早く教えてくれても良かったんじゃないかと思ったが、来たばっかりで色々教えられても混乱するだけだったかもね。


 暫く飛び回った後に、母さんの元へと戻った。


 「これが天国よ。天国には果てがなく、どこまでも続いているの」


 「こりゃスゴいよ。とんでもなくスゴい」


 なんて素晴らしい所なんだ。ここに来れた事をとても嬉しく思う。

 


 「もう少し行ったところに美味しいスイーツのお店があるから、行ってみる?」


 「いいね、行こう行こう!!」



 俺達親子は甘いものに目がないのだ。




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